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【読書日記#2】田端信太郎『ブランド人になれ!』:何も知らない金魚でありたい!
「ブランド人になれ!」というタイトルに心を惹かれ、人としてのアイデンティティや個性を磨きたいと手に取ったこの本。その中で一番印象に残ったのが「金魚鉢理論」だ。「経験がない」「知識がない」ということが、実は最大の強みであるという驚きの事実がそこにはあった。金魚鉢理論を通じて、「経験がない」「知識がない」ということがなぜ強みになるのか、その理由を探ってみた。
金魚鉢理論
金魚鉢理論とは一般に、ある特定の環境や状況において、その環境や状況が外部から隔離されているために、そこにいる人々が外部の影響を受けずに独自の価値観や行動様式を形成する現象を説明する理論である。
これは、金魚鉢の中の金魚が外の世界を知ることなく金魚鉢の中だけで生活している様子に例えられている。その良い例えが、この本で紹介されていた。
僕がいつも新入社員に語っている「金魚鉢理論」というものがある。
ここに金魚が20匹泳いでいる水槽があるとする。 その真ん中に、透明なアクリルの板を入れて、片方にだけ金魚を寄せる。しばらく経つと何が起きるか?金魚は向こう側に行けないということに気づき、片側だけで暮らし出す。ある時、その仕切りをパッと取る。
するとどうだろうか?アクリル板を取ったにも関わらず、金魚はそのまま水槽の片側でしか泳いで暮らさない。どうせ向こう側にはいけないと洗脳されてしまったのだ。このような状態を心理学では「学習性無力感」という。
ではどうしたら、この金魚たちは再び水槽全体を泳ぐようになるのか?正解は、「新しい金魚を2、3匹ほど水槽に入れる」だ。
アクリル板の存在など知らない新しい金魚は、無邪気に水槽全体を泳ぎ回る。
それを見た最初の20匹は、あれ? そっち側に行けるのか! となるのだ。
何も知らない金魚であれ
ここで著者が私たちに伝えたいメッセージは、「何も知らない金魚であれ」ということだ。
学習性無力感によって、アクリル板が取り除かれても水槽の片側だけで暮らし続ける金魚のように、会社のルールや過去の成功体験に縛られたサラリーマンも思考停止に陥りやすい。その結果、新たなイノベーションは生まれず、変化のない古い企業体質が続き、次第に廃れていく。
ここで私たちに求められるのは、水槽全体に新しく加えられた金魚のように、過去の経験に囚われず、暗黙のルールをゼロベースで問い直すことだと思う。毛沢東は革命の三原則として「若いこと」「貧しいこと」「無名であること」を挙げたように、持たざるものだからこそ、無理や無謀を突破できる。
つまり、状況を打破するためには、既成概念にとらわれず、未知の世界に飛び込む無邪気さであったりする。それでこそ、ゆらぎと流動性が生まれ、組織は活性化する。
【感想】
この本を読んで「経験がない」「知識がない」ということが、使い方や考え方次第で強みになる事を知った。それは視野を広く持ち、柔軟に考えたり、他者から意見を取り入れたりできるということを意味する。同時に、固定概念や慣習に盲目に従うことの危険性を改めて実感した。
これからの時代で生き抜くのは、右向け右で組織に従う人材ではなく、自分で考えて行動し続ける人材なのだと、、、
「何も知らない金魚でありたい!」
そう強く、心に刻んだ。