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神奈川県立歴史博物館 特別展「近代輸出漆器のダイナミズム―金子皓彦コレクションの世界―」をもっと楽しめる!おすすめ本5選

注目の特別展にあわせて、CUMAGUSおすすめの5冊を紹介するマガジン
「特別展・企画展をもっと楽しめる!おすすめ本5選」

今週は、神奈川県立歴史博物館で開催されている企画展
「近代輸出漆器のダイナミズム―金子皓彦コレクションの世界―」(4/27~6/30)をピックアップ。
本日のブックリストはこちらです!


企画展紹介

 滑らかで深みのある黒の質感、そこにほどこされる蒔絵や螺鈿といった装飾の華麗なきらめき―漆器は日本美術の精華にほかなりません。

 古くは中世から世界の人々を魅了してきましたが、開港後には、万国博覧会などで西洋からさらなる注目をあつめます。西洋の趣味を反映し、その需要に応えて、国外への輸出が本格化しました。各産地では、小箱やアルバムの表紙などの小さな土産物から、衝立や飾棚といった大きな家具にいたるまで、工夫を凝らした多種多様な漆器が制作されました。国内向けに作られた漆器とは異なる用途をもち、和洋の文化と嗜好が融合して生まれたデザインは、新時代の魅力をたたえています。

 横浜は、輸出漆器の中心地でした。国内各地で生産された漆器が集められ、輸出される貿易港だったのです。さらに、各地から漆器商や職人が移り住み、近代では有数の漆器の産地ともなりました。なかでも貝や象牙などを立体的に象嵌する芝山漆器は、その花形でした。このように、各地で新たな展開を迎えた漆器は、近代の輸出工芸の大きな柱の一つに成長していきました。

 本展覧会は、金子皓彦氏のコレクションを中心に構成されます。輸出工芸のコレクターとして長年、海外で主に蒐集してきた、充実したコレクションです。本展ではそのなかから、芝山漆器や、静岡・会津などの産地で制作され、横浜を通じて海外へ渡った輸出漆器を中心にご紹介します。あわせて、同時代に漆器と括られることもあった、寄木細工や木象嵌などの輸出向けの木工芸もご覧いただきます。本展を通じて、知られざる近代輸出漆器の全貌に触れ、そのダイナミックな魅力を体感してください。


オススメ本① 西洋を魅了した「和モダン」の世界―明治・大正・昭和に生まれた輸出工芸品 金子皓彦コレクション(三樹書房)金子 皓彦 (著)

https://www.mikipress.com/books/2023/10/801.html
著者名:金子 皓彦 (著)
出版社名:三樹書房
定価:3,300円 (本体3,000円+税)
A5判:221ページ

【近代の輸出美術工芸品に宿る美の世界】

近代、輸出用に作られた家具、食器、日用雑貨など金子コレクション20万点から、博物館や美術館の企画展でも展示された選りすぐりを収録。当時の日本の職人の精緻でユニークな意匠を生かした工芸品をオールカラーで収録し、詳しく解説する。
さらには、自分だけのコレクションの始め方、骨董市での「骨董」の買い方、見分け方を具体的に紹介する。今回の増補新訂版では、新たに蒐集した家具や食器、工芸品のコレクションを口絵として収録。
(三樹書房ホームページより)

オススメ本② 貝と漆 横浜芝山漆器と七十年 (神奈川新聞社)宮﨑輝生 (著)


https://www.kanagawa-shimbun-bookbar.com/book/230301.html
著者名:宮﨑輝生 (著)
出版社名:神奈川新聞社
定価:1,650円 (本体1,500円+税)
四六判:276ページ

【本展にも多数展示される横浜芝山漆器。伝統の技を継ぐマイスターが語る】

貝や象牙、牛骨などを彫刻して花鳥や人物の形にしたものを素地に立体的に嵌め込む技法「芝山象嵌」。“最後の芝山師”である著者が横浜芝山漆器の歴史や技法を解説。
(神奈川新聞社ホームページより)

オススメ本③ 起立工商会社の花鳥図案  明治初期の工芸品構想(光村推古書院) 黒川廣子・野呂田純一 (編)


https://www.mitsumura-suiko.co.jp/detail/index.php?bid=576
著者名:黒川廣子・野呂田純一 (編)
出版社名:光村推古書院
定価:2,640円 (本体2,400円+税)
B6変判:256ページ

【世界へ羽ばたけ! 明治初期の絵師たちが描いた、美しい花鳥図案】

明治初期、日本の美術工芸品を世界へ輸出した貿易会社「起立工商会社」の図案から、山本光一、鈴木誠一ら、絵師たちの仕事としての花鳥図案を中心に紹介する。起立工商会社をめぐる諸資料の詳細な分析なども収録。

起立工商会社は、明治時代初期、主として日本の美術工芸品を世界へ輸出した、日本の貿易会社。
明治6年のウィーン万国博覧会を契機に現地で結社され、明治7年に銀座で創業。
会社経営を通じた支援・育成により日本近代美術史、日本近代史に名を残す画家、工芸家、美術商を輩出したが、明治24 年に解散。
(ハイブリッド型総合書店hontoホームページより)

オススメ本④ 木工具・使用法: 機能・種類・仕立て・使い方(創元社)吉見 誠 (述), 秋岡 芳夫 (監修)


https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=1301
著者名:吉見 誠 (述), 秋岡 芳夫 (監修)
出版社名:創元社
定価:4,400円 (本体4,000円+税)
B5判:184ページ

【『私の道具愛はこの本から始まった』――人間国宝〈木工芸〉須田賢司氏推薦!】

日本の木工技術が華やかに咲き誇り、建具・家具などのほとんどが木製の時代に編まれた原著(昭和10年発行)を復刻。
建具・洋家具・指物用の木工具を中心にさまざまな道具を網羅し、原理から構造、使用法や手入法まで詳述。図や写真を多数掲載。
(創元社ホームページより)

オススメ本⑤ 幕末・明治の横浜 西洋文化事始め(明石書店)斎藤 多喜夫 (著)


https://www.akashi.co.jp/book/b281731.html
著者名:斎藤 多喜夫 (著)
出版社名:明石書店
定価:3,080円 (本体2,800円+税)
A5判:388ページ

【西洋から最先端の文化が伝わる「横浜もののはじめ」】

幕末・明治初期における横浜への西洋文化の移転に関して、外国人による居留地への移植に重点を置いて描く。
「横浜もののはじめ」として論じられてきた、大半が日本初の文化移転について、新しく発見された史料や事実も交え詳述する、本テーマの決定版。
(明石書店ホームページより)

あとがき

神奈川県立歴史博物館で開催されている企画展
「近代輸出漆器のダイナミズム―金子皓彦コレクションの世界―」(4/27~6/30)
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今後も注目の特別展・企画展を取り上げていきます。お楽しみに!


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