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埼玉県立歴史と民俗の博物館 特別展「鉢形城主 北条氏邦」をもっと楽しめる!おすすめ本5選

埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催される企画展「鉢形城主 北条氏邦」(3/16~5/6)をもっと楽しめる!

戦国時代、小田原北条氏が北武蔵支配の重要拠点とした鉢形城(はちがたじょう)。
武田信玄、上杉謙信、前田利家、上杉景勝ら名だたる名将たちの攻撃に耐えた名城です。

国指定史跡・鉢形城跡。現在は「鉢形城公園」として整備されています。
(埼玉県公式観光サイト ちょこたび埼玉 より転載)

後北条氏三代当主・北条氏康の子、北条氏邦はその城主を務めました。
国指定史跡・鉢形城跡がある寄居町や、秩父市、小鹿野町など周辺の地域には、氏邦やその家臣団ゆかりの文化財が数多く残されています。

なかでも、小鹿野町両神薄に所在する法養寺薬師堂の木造日光菩薩・月光菩薩立像、木造十二神将立像は、氏邦らが奉納したものと考えられています。

これらの仏像群は近年全面的な修理が行われ、本展が修理後の初出品となります。
奉納当時に近い姿によみがえった氏邦ゆかりの仏像群を一堂に公開!

下のリンクからは予告動画が見られます。

戦国後期の関東に確かな足跡を残した名将、鉢形城主 北条氏邦。
調査研究等の成果を踏まえつつ、鉢形城と北条氏邦をめぐる歴史像を描く特別展をもっと楽しめる!そんな5冊をご紹介します。

本日ご紹介するのは、こちらの5冊です!

①北条氏邦と武蔵藤田氏 (岩田書院 論集戦国大名と国衆 2) 黒田 基樹・浅倉 直美 (編)
②北条氏康の子供たち(宮帯出版社)黒田基樹・浅倉直美 (編)
③ 戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団 (角川ソフィア文庫) 黒田 基樹 (著)
④ 関東の名城を歩く 南関東編―埼玉・千葉・東京・神奈川(吉川弘文館)峰岸純夫・齋藤慎一(編)
⑤ 戦国の城攻めと忍び 北条・上杉・豊臣の攻防(吉川弘文館)戦国の忍びを考える実行委員会・埼玉県立嵐山史跡の博物館 (編)

①北条氏邦と武蔵藤田氏 (岩田書院 論集戦国大名と国衆 2) 黒田 基樹・浅倉 直美 (編)


http://www.iwata-shoin.co.jp/bookdata/ISBN978-4-87294-630-7.htm
著者名:黒田基樹・浅倉直美   (編)
出版社名:岩田書院
定価:2,750円 (本体2,500円+税)
A5判:218ページ

【北条氏邦が婿入りした北武蔵の有力国集・藤田氏】

戦国大名・国衆といった地域権力に関する研究のうち、とくに研究成果が充実しているものについて、個々の大名や国衆ごとに研究成果を総括し、新たな指針を示す。2は、武蔵藤田氏と同氏を継承した北条氏邦に関する論文を収録。
(ハイブリッド型総合書店 honto より)

北条氏邦と武蔵藤田氏」では、鉢形城に入城した頃の北条氏邦と、その養子先である武蔵藤田氏を取り上げます。
続刊となる同シリーズの第3巻には「北条氏邦と猪俣邦憲」があり、こちらでは北条氏邦と氏邦の家臣団、鉢形城を中心とした領国支配の構造を考察しています。
2冊を合わせると、北条氏邦をとりまく人々の姿が浮かび上がってきます!

猪俣邦憲は氏邦の「邦」字の偏諱を受けた有力家臣。
豊臣秀吉による小田原征伐のきっかけとなる「名胡桃城(なぐるみじょう)事件」の中心人物として知られています。

北条方の沼田城と睨み合う真田方の城、名胡桃城。北条VS真田の最前線にあったこの城を猪俣邦憲が奪ったことを「惣無事令」違反として咎めて、小田原征伐が始められました。(筆者撮影)

② 北条氏康の子供たち(宮帯出版社)黒田基樹・浅倉直美 (編)


http://www.miyaobi.com/publishing/products/detail.php?product_id=860
著者名:黒田基樹・浅倉直美   (編)
出版社名:宮帯出版社
定価:3,850円 (本体3,500円+税)
菊判:368ページ

【戦国の関東を戦い、つなぐ。北条氏康の子どもたち】

後北条氏は、戦国期関東を支配した戦国大名である。中でも名将として名高い氏康と、その覇業を受け継いだ氏政の時代は、武田信玄・上杉謙信との抗争など、魅力的な話題が多い。
 本書では、氏政とその兄弟についてはもちろんのこと、姉妹たちについても徹底研究。また、彼らの居城についても最新の研究成果を収載する。
(宮帯出版社ホームページより)

親子、兄弟の間でも血なまぐさい争いが珍しくなかった戦国時代。
ですが、北条氏康とその子供たちの間は、数多い兄弟姉妹(本書に登場するのは7兄弟・5姉妹!)が良好な関係を保ち一致団結した、戦国時代には珍しい?良好な家族関係が築かれていました。
小田原城で本家当主を継いだ氏政と、
氏照(八王子城 東京都八王子市)
氏邦(鉢形城 埼玉県寄居町)
氏規(三崎城 神奈川県三浦市)
氏忠(唐沢山城 栃木県佐野市)
氏光(小机城 神奈川県横浜市)
関東各地の城主である兄弟たちのネットワークが、北条家の関東支配を支える柱でした。

そしてもうひとりの兄弟が、上杉謙信の養子となった上杉景虎。
彼は義兄弟・景勝との戦い“御館の乱”に敗れ、謙信の跡を継ぐことはできませんでした。もし、彼が北条家を後ろ盾にとして、関東管領上杉家を継いでいたら……戦国時代の歴史は、まったく違ったものになっていたでしょう。

氏康の娘たちの中では、駿河の今川氏真に嫁いだ早川殿、甲斐の武田勝頼に嫁いだ桂林院殿が有名ですね。
相模・駿河・甲斐・越後の四強による複雑な同盟と敵対の歴史を、「氏康の子」からよみとく1冊です。

③ 戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団 (角川ソフィア文庫) 黒田 基樹 (著)


https://www.kadokawa.co.jp/product/322104000027/
著者名:黒田基樹 (著)
出版社名:KADOKAWA
定価:1,012円 (本体920円+税)
文庫判:272ページ

【「関東王国」を築き上げた、北条氏最盛期の真実とは。】

両上杉家の打倒、北関東への進出、武田信玄との抗争と越相同盟……小田原北条氏三代・氏康の時代は、戦争が広域にわたって展開され、それを支える領国支配の仕組みが確立された戦国大名の形成期であった。当主のもと、領国の統轄に当たったのが一門衆・家老衆らの執行部である。「関東王国」を支えた、最強といわれた家臣団の知られざる戦争と統治の人事の実態を明らかにし、北条氏の最盛期を築いた氏康時代の真実に迫る。
(KADOKAWAホームページより)

洋泉社より刊行された「北条氏康の家臣団 (歴史新書y)」に、“付論 北条氏邦と越相同盟”を加筆、文庫化された1冊です。
これまで北条氏に関する本を紹介してきましたが、まず最初に読むならこれがオススメ! 前2冊で深く掘り下げられている内容が、コンパクトによくまとめられています。

④ 関東の名城を歩く 南関東編―埼玉・千葉・東京・神奈川(吉川弘文館)峰岸純夫・齋藤慎一(編)


https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b89053.html
著者名:峰岸純夫・齋藤慎一(編)
出版社名:吉川弘文館
定価:2,530円 (本体2,300円+税)
A5判:324ページ

【北条氏ゆかりの城巡りにも便利! 全国城ガイドの南関東編】

関東に今も遺る多くの中世城館跡。天守や櫓(やぐら)こそ無くとも、往時を偲ばせる石垣や土塁、郭(くるわ)の痕跡は訪れる者を魅了する。南関東編は、埼玉・千葉・東京・神奈川の4都県から精選した名城64を、豊富な図版を交えて紹介する。詳細・正確な解説とデータは城探訪の水先案内人として最適。最新の発掘成果に文献による裏付けを加えた、新しいガイドブック。
(吉川弘文館ホームページより)

吉川弘文館から刊行されている「名城を歩く」シリーズ。
関東地方は「南関東編」「北関東編」の2冊に分かれています。

戦国時代に関する本を読んでいると、城の位置関係がうまくイメージできずにモヤッとすること、ありませんか?
「北条氏康の子供たち」で紹介した5つの城も、どこにあるのか即答できる人は少ないと思います。

そんな時は横にこのシリーズを置いておくと、とても便利!
城巡りまではやらない「書斎派」の戦国好きも、持っておいて損はありません。

⑤ 戦国の城攻めと忍び 北条・上杉・豊臣の攻防(吉川弘文館)戦国の忍びを考える実行委員会・埼玉県立嵐山史跡の博物館 (編)


https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b623089.html
著者名:戦国の忍びを考える実行委員会・埼玉県立嵐山史跡の博物館 (編)
出版社名:吉川弘文館
定価:2,200円 (本体2,000円+税)
A5判:266ページ

【関東の戦いで活躍! 北条・上杉に仕えた忍者たちの実像】

武の達人として世界的人気を誇る忍び。その学術的検討は近世中心にされてきたが、戦国期についても深まりつつある。下総の葛西城や武蔵の羽生城などの攻防戦で行われた忍びの戦術を、資史料をもとに探究。忍び独自の道具「忍器」を考古資料から復元し、忍びの関わりという新視点で岩付城・八王子城の籠城戦の実像に迫る。謎多き忍びの世界へ誘う。
(吉川弘文館ホームページより)

戦国時代を題材にした作品の多くで、武将に仕える忍者が大活躍します。
北条家に仕える風魔一族、風魔小太郎や、上杉家に仕える軒猿衆、“鳶加藤”加藤段蔵はまちがいなく北条氏邦より有名マンガやゲームでもおなじみですよね。
幻術が使える、塀や堀を飛び越えて城中に忍び入ることができるなど、創作の中では様々な超人的能力を持つ存在として描かれる忍者。
関東の戦いにまつわる各種の資料から、その実際はどのようなものだったのかを復元する、読み応えある1冊です。

埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催される企画展「鉢形城主 北条氏邦」(3/16~5/6)をもっと楽しめる!
おすすめ本5選。いかがでしたか?

埼玉県立歴史と民俗の博物館は、昨年11月にリニューアルされたばかりです。
特別展に行ったら、ぜひ常設展も覗いてみてくださいね!

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