あらゆる人の“したい暮らし”を実現する『FRIENDLY DOOR』のこれまでとこれから
イベントについて
CULUMUでは、社会課題の解決策から新たな事業機会を生み出すために、2ヶ月に1度のペースでイベントを開催しております。次回はオンラインイベントにて「デザインは超高齢社会をどこまで“解決”するのか?」と題し、12月7日(水)18:30より開催させて頂きます。こちらからご応募可能ですので、是非ご参加ください。
LIFULLのご紹介
株式会社LIFULLは「LIFULL HOME’S」などの事業が代表的で、「住まい・暮らし」の領域を主軸に様々な事業を展開している会社です。
株式会社LIFULLには「ひとりひとりの人生に寄り添う」というコンセプトに基づいて、個々人が抱える多種多様な課題に対する解決案を探る際の31の指針「LIFULL アジェンダ」が存在します。
今回は、31の指針の中から5つの指針を紹介していただきました。(「LIFULLアジェンダ」は株式会社LIFULLの公式サイトにて公開されているので、ぜひご覧ください。)
物件を見つけられない!日本の人口の3割を占める「住宅弱者」と増加する空室
龔さんには、住宅弱者問題に取り組む「FRIENDRY DOOR」の事業内容と今後の展望についてご紹介いただきました。
ではまず、「住宅弱者」とはどのような人のことを指すのでしょうか?
「住宅弱者」とは、外国籍・シングルマザー・高齢者・LGBTQなどに代表される住まいを探す際に様々な困難や障壁を感じる方々のことを指します。
「2万件/300万人」が何を表しているか、わかりますか?
これは、日本に在住している外国籍の方々300万人に対して、外国籍の方々が探すことができる住居数が2万件ということを表しています。
その他にも「住宅弱者」の方々の実体験として、「理由も教えられず審査が通らないこと」「そもそも来店を断られること」「自分の状況を開示することに躊躇いを感じてしまうこと」などが挙げられました。
下記の表を見ても、「住宅弱者」の方々は、外国人、高齢者、同性カップル、シングルマザーだから等の理由で通常の対応とは異なる対応をされ、住宅選びに障壁を感じる場合が多いことがわかります。私たちは、この現状を今一度考え直す必要があるのかもしれません。
ではこの「住宅弱者」と呼ばれる方々は、マイノリティなのでしょうか?
公益財団日本賃貸住宅管理協会あんしん居住研究会によると、2017年時点で高齢者を含む住宅弱者の割合は全人口の約30%にものぼると言われています。また2035年には45%まで上がると予測されています。
これらのことを踏まえると、日本の全人口の約3割を占める「住宅弱者」はもはやマイノリティと言うことは難しいことがわかります。
そして「住宅弱者」の方々に対するマーケットは、今後企業戦略としても見過ごすことは出来ない大きなマーケットになっていくのではないかと龔さんは指摘されました。
では、「住宅弱者」の方々に提供が不可能なくらい、日本の物件は空室がないのでしょうか?
結論から言うと、日本全国の空室は年を追うごとに増加しています。
具体的に、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査結果」の情報では、2018年の空き家総数は約850万戸にも上るとされています。
「住宅弱者」と「理解のある不動産会社」をつなぐサービス
上述してきた事柄を踏まえ、龔さんは入居場所を探している「住宅弱者」と空室を埋めたい「理解のある不動産会社」をつなぐ「FRIENDLY DOOR」を立ち上げました。
「FRIENDLY DOOR」では「住宅弱者」と一括りにせず、該当する個々人に焦点を当てて、それぞれの抱える問題に対して段階的にサービスを提供しています(順次追加予定)。例えば、「外国籍フレンドリー」や「LGBTQフレンドリー」など、それぞれの抱える問題の特徴に合わせて不動産会社を検索できます。
サイトを立ち上げるにあたっては当然のことながら、「住宅弱者」の方々が使いやすいUI/UXの構築を心掛けることが必要になってきます。
その一例として、サイト内の情報を読み上げる「ボイスオーバー」機能を紹介いただきました。
「FRIENDLY DOOR」が始まってから現在にかけて、住宅弱者に対して理解のある不動産会社の数は増加している一方で、LIFULL HOME’Sに登録されている不動産会社数は約28,000店舗あることから、まだまだ「住宅弱者フレンドリー」な不動産会社の割合は低いことがわかります。
龔さん自身も課題意識を持ち、「住宅弱者フレンドリー」な不動産会社の数を増やすべく活動しているとして、ここからは「FRIENDLY DOOR」の上述した課題解決のための具体的な活動内容を紹介いただきました。
「FRIENDLY DOOR」の具体的な活動
具体的な活動として、「FRIENDLY DOOR」ではただ不動産会社につなげるのでは無く、オーナーや不動産会社向けで行っている「無意識のうちに持ってしまうバイアスを認識させる事」「身体障害者等の受け入れノウハウを学ぶ事」などを目的としたセミナーの開催や、LGBTQの接客に対する注意事項などをまとめたチェックリストの提供なども行っています。
オウンドメディアも活用し、「住宅弱者」の方々に対して役立つ情報を発信しています。
また「住宅弱者」の問題を広く知ってもらう為の活動も行っています。
「65歳を過ぎると家が借りにくくなる」
「男性同士のルームシェアはOK。男性カップルの同棲はNG」
などの認知されづらい「住宅弱者」の問題を、渋谷にポスターを掲示する事やSNS等で広げる活動も行いました。
まとめ
実は、龔さん自身も外国籍という理由で日本での住まい探しに困る経験をしてきた「住宅弱者」の一人だったそうです。当時を振り返りつつ、不当な理由でエクスクルードされる現状を変えるべく、「FRIENDLY DOOR」を立ち上げたとのことです。
龔さんを含め株式会社LIFULLは、「FRIENDLY DOOR」自体がいらなくなるような差別のない社会を目指し、今日も活動をしています。
次回イベントのご招待
インクルーシブデザインスタジオCULUMUでは、社会課題の解決策から新たな事業機会を生み出すために、2ヶ月に1度のペースでイベントを開催しております。次回はオンラインイベントにて「デザインは超高齢社会をどこまで“解決”するのか?」と題し、12月7日(水)18:30より開催させて頂きます。こちらからご応募可能ですので、是非ご参加ください。
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