武道館の奇跡 其の三
ター・ナー・カーとシモシモ(オフィスキューの楽曲はほとんどと言っていいほどこのお二人が手掛けてくれている)が作曲した
「コラーゲン」
おもしろ系かと思いきや、これが良い曲なのよ。
肩、腰、膝が痛くなっても、君が僕を忘れてしまっても、僕が必ず君を笑わせるよ。
っていう洋ちゃんらしい愛の歌。
なんで私がぼけちゃう設定なのよって奥様に叱られたらしい。
ライルの曲 タイトル忘れた。
GLAYのTAKUROが提供してくれた「ふわり」
そしてセンターステージに現れたグランドピアノ。
おもむろにそこに向かう洋ちゃん。
どよめく会場。
確か10歳くらいの洋ちゃんが半ズボンに白ハイソックスでピアノの発表会の写真を見たことがあるし、ファンタンのMVでも弾いてたからまったくできないってわけじゃないのは知ってるけど、大丈夫なのかしら?
その不安は見事に的中する。
スポットライトの中、弾き始めた曲が何かもわからない三音くらい弾いた時に
「あれ?」
って洋ちゃんの手が止まった。
間違えっちゃったって焦る洋ちゃん。
2回目の失敗で会場は、学習発表会の我が子の演奏を見守るお母さんたちと化す。
頑張れ
落ち着いて落ち着いて
大丈夫だよ
ちゃんと弾けるよ!
頑張って!
SONGSのメイキング放送のために、立ち上がって水を飲んで編集点を作りながら、「あんなに練習したのに」「リハでも一回も間違わなかったのに」と半泣きの洋ちゃん。
「武道館の魔物」と闘い、やり直すこと7回目。
やっと
「ハナ~僕とじいちゃんと」
が始まった。
そして、みんなで両手を振りながらシャララの大合唱。
その後のMCでマジで落ち込む洋ちゃんを、またお母さんたちの温かい声が包む。
なんだかジーンとしちゃう。
そしてラストは
「あの空に立つ塔のように」
ピアノの失敗を取り戻すかのような大熱唱。
ありがとうと手を振って退場する洋ちゃん。
もちろんのアンコールの手拍子の中、再登場の洋ちゃんが歌ったのは
ご存じ マイケルジャクソン というか 真池 龍 (まいけりゅう)
「マン・イン・ザ・ミラー」
完コピ!最高!
なまら笑った!
そして
「バカね…冬」
エル オー ブイ イー レッツゴー ヨウチャン!
最後は
「バカね」
愛してるよーー!
って思い切り叫んだ。
「俺も愛してるよー!!」
って洋ちゃん。
何度も投げキッスしてエアハグしてくれた洋ちゃんが、花道を通って消えて行った。
あっという間の3時間。
まさに聖地武道館での50歳の大泉洋の集大成だった。
感動に包まれて放心状態だった私が、我に返って一番に思ったことは
シゲちゃん!どこ???
関係者だし、奥様と一緒だし、オーディエンスと一緒に会場を出るわけないかとすぐ諦めたけどね。
武道館を出て、別館に展示されていたこれを観るため行列に並んだ。
MCで洋ちゃんが言っていた通り、等身がちょっと微妙で絶妙に小さい黄金像を見てエミちゃんとなまら笑った。並んで観ている方々がクスっともせず、真剣に見ているのがなんか不思議だった。
外に出ると、ここは本当に東京か?って疑いたくなるくらいの冷たい風が吹いている。
シゲちゃんのメンバーカラーの真っ赤なストールを首に巻きなおして見上げた空には金色の玉ねぎが光り輝いていた。
ああ、あの玉ねぎの下に洋ちゃんとシゲちゃん、そして私がいたんだ。
尊い2人と同じ空間に3時間も。
そう思うと、ついさっきまでの熱い時間が本当に現実だったのかと思う。
大泉洋という天才エンターテイナーと、その彼を見つめていたシゲちゃんを観られた幸運と
ファンタンと同じ時代に生きていることに感謝しながら、
夢と現の狭間の夜道をホテルまで歩いた。
武道館の奇跡 番外編も書きます!
したっけ
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