きっと叶うまで夏は終わらない
「エアコンなかった夏ってどうやって生きてたんだろう。」
三男くんが呟いた。
確かに北海道の夏だってのに、甲子園が終わっても30℃越えの日々が続くなんて、私の人生で初めてかもしれない。
今年もほぼ全試合を観た夏の甲子園。
慶應義塾高等学校、優勝おめでとうございます。
閉会式で、丸刈りもしくはスポーツ刈りじゃない球児たちが優勝旗を持って行進しているのをみて、時代が変化しているのをうれしく思った。
私の甲子園好きはいつから始まったのか。
あれは広島代表の崇徳高校が優勝した年。
キャッチャーの応武選手がカッコいい!ってときめいちゃった春から。
マスクを取った時の応武君はイケメンだった!と思う。
もうどんな顔だったか思い出せないけど。
長い高校野球ファン歴の中で、一番燃え上がったのはもちろん
駒大苫小牧高校の初優勝、2連覇
と
再試合での準優勝の時だ。
ファイターズの北海道移転、日本シリーズ優勝も相まって
この三年間の私の野球愛は最高に熱かった。
イトーダーキさんも燃えていた。
2004年初優勝の時、私はデイサービスで介護福祉士として働いていた。
仕事中も利用者のおじいちゃんおばあちゃんを だまくらかして テレビの前に集めて、いかにも○○さんが甲子園観たいっていうから仕方ないなぁみたいな雰囲気を出して、しっかり観戦していた。
試合中誰よりも声を出して応援していたのは私だったから、他の職員にはバレバレ。
甲子園の間だけは全く使えない介護士だった。
神がかりな勝ち方で決勝まで進んだ駒苫を、当日仕事が休みだった私は少しでも近くで応援したいと、苫小牧の親戚の家まで家族全員を道連れに向かった。
苫小牧市内に入るとそこはまるでゴーストタウン。
北海道4位の人口17万都市の苫小牧なのに、駅前通りを歩いている人が見当たらなかった。
みんな家の中で試合開始まで待機していたのだ。
親戚の家で迎えた、ショートフライを主将佐々木君が捕った初優勝の瞬間は、声が出なかった。
人差し指を突き上げて抱き合って飛び跳ねて、喜び爆発している駒苫球児たちが滲んで見えた。
本当にうれしい時って涙が自然に溢れてくるんだって知った。
連覇の年もデイサービスで働いていた私は、中堅どころの仕事ができる(?)介護士だったのに、甲子園の間はまたもやポンコツ職員と化した。
さらに2連覇をかけた甲子園の決勝の予定日から2日間(雨のため順延ということも考慮して)休みを取るという暴挙にでた。
理由の欄に「甲子園決勝のため」と書いた人は後にも先にも私だけだと思う。
たぶんみんな呆れていたとは思うが、甲子園好きもここまで突き抜けると誰も何も言わない。
はいはい、いつものことねって感じだ。
デイサービス職員の皆さん、その節はほんとうにありがとうございました。
大阪桐蔭との準決勝はすごかった。
優勝の瞬間のマー君の雄たけび。
最高だった。
初戦敗退が常だった北海道の高校野球が2連覇。
初優勝の時より信じられない気持ちだった。
すごい、本当にすごいことやり遂げた駒苫球児たちを誇りに思った。
三連覇のかかった2006年夏の決勝の日は元から仕事はお休みだったから、安心してしっかり朝から心の準備をして、テレビの前を陣取っていた。
ご存じのように延長15回で勝敗が付かず、翌日再試合となったのだが、ずっと手に汗握って応援していた私の脳裏に浮かんだことは
「明日、仕事じゃんか!」
同僚に電話をかけまくったが代わってもらえず、泣く泣く仕事に行ったのを憶えている。
仕事をしていたはずなのに、最後のマー君が三振して天を仰ぎながら少し笑った顔をみて泣いている自分が思い出される。
まあ、なんも仕事してなかったんだろうな。
残念だったねと利用者さんたちに慰められた。
利用者と一緒にテレビの前から動かない職員に、何もいわないで笑って見守ってくれてるなんて、なんと寛容な職場だったのだろうか。
本当に申し訳ないっす。
負けたけれど、駒苫球児たちは爽やかだった。
特にまったく打てなくて号泣していた本間君の肩を抱いてベンチに戻ってくる田中将大投手は笑顔だった。
清々しかった。
最後の試合で涙を見せない選手はプロに行って活躍するっていうのが、私の勝手な思い込みの持論。
熱い熱い夏だった。
それから何年か後、親戚の家に行ってお昼ご飯を食べようとラーメン屋さんに入った時に、見たことある方がカウンターでラーメンを食べていた。
なんとそれは
初優勝の時の主将
佐々木孝介くん!!
と、私はすぐに分かったのだが、一緒にいた家族は
「え~わかんない。覚てない~。」とそっけない。
そこはもうおばさんパワー全開で、引き留める子どもたちを振り払って
話しかけた。
握手してもらった。
写真も撮ってもらった。
佐々木君はとっても気さくで、やっぱり笑顔が爽やかだった。
その時はまだ、駒苫のコーチだったと思う。
「もう一度甲子園にいってね。」
と図々しく言ったおばさんに佐々木君は
「はい。必ず!」
と爽やかな風と共に去っていった。
カッコいいったらないべさ。
その時の写真
佐々木君が駒苫の監督になって初めて行った春の甲子園の時のエースは、
現日本ハムファイターズ、WBCでも中継ぎとしてビシッと抑えた
伊藤大海投手だ。
昨日の試合で今季初完封、ヒーローインタビュー受けてる大海くん。
彼の負けねーぞ!っていってる目が
なぜだか あの時のマー君を彷彿とさせるんだよな。
いい面構えっしょ?
私の死ぬまでにやりたいこと5つのうち一つはもう叶っている。
あと4つのうちのひとつは
甲子園で北海道代表チームの応援をする。
できれば 母校でもないのにしっかり歌える駒大苫小牧高校の校歌をうたいたい。
これが叶うのはいつになるかな。
したっけ