レモンカードとグリルチキン
有機レモンで久しぶりに作り、
前回投稿のパンケーキにも添えたレモンカードの話を。
私にとっては、作るたびに若い頃の心持ちが甦ってくる、大切なものです。
大学3年の春休みに
心配する父に反対されながらも、アルバイト代を貯めてイギリスに語学研修に行ったのですが、
なぜか頭に刻まれていくのは英会話よりも食べ物ばかり。
このレモンカードもその一つでした。
初めて口にした時の高揚感は、いまだに忘れられません。
レモンのバターのようにさわやかで甘く、
口当たりは至極なめらか、
生まれて初めて味わう、思い出深い味になりました。
カードといっても、cardではなく、curdと書きます。
牛乳にレモンなどの酸を加えて凝固した凝乳をカードと言い、凝固したものという意味でよく使われます。
レモンのジュースや皮にバターと卵を加えて加熱してとろりとなり、冷めるごとに固さが加わるからレモンカード。
ちなみに豆腐は…TOFUが浸透してはいますが、本来の英語では bean curdです。
薄切りのトーストやクラッカーはもちろん、
レアチーズケーキにかけても、焼いたパイやタルトにたっぷりのせても。
キャンドルで温めながらいただく、
レモンカードのフォンデュも爽やかです。
他のジャム同様、電子レンジでお手軽にもできるけれど、
ゆっくりのんびり湯煎してとろみが加わるのが、
なんとも言えず良い時間です。
気が向かれたら、ぜひ直火でお試しください。
*レモンカード レシピ
材料
レモン2個、食塩不使用バター125g、きび砂糖220g、卵2個
作り方
1、レモンは無農薬、ノーワックスのものを使い、沸騰した湯に通して汚れを落とし
力を入れずにおろし金で皮をすりおろす。
白い部分まで強くおろさないほうがおいしい。
2、卵は溶いて裏ごす。バターは細かく刻む。皮をおろしたあとのレモンは半割りにし果汁を絞り、これもこしておく。
3、酸に強い鍋に、沸騰した湯を入れた一回り大きな鍋を当てて湯煎にし、
外側の鍋を弱火にかけながら内側の鍋も温めておき、そこに1、2、の材料を全て入れる。
4、木べらでかき混ぜながらのんびり30分、優しいとろみがつくまで火を通す。
冷めると固さが増すので、少しゆるめで止めるとちょうど良い仕上がりに。
5、煮沸し乾かした瓶に入れる。1週間くらいで食べきると安心。
材料をそろえていっぺんに湯煎にかけるだけで
昔から失敗もなく、安心して作れます。
レモンの他、柚子やライム、オレンジなど柑橘類全般で作れますし、ベリー類やマンゴーなどのトロピカルフルーツでもアレンジ可能の、面白いものです。
木べらで混ぜているうちに、心の緊張もゆるみ、
ゆるやか~に、安定して来るようで、
作って良かったと思えました。
このレモンカードを使って、骨付き鶏肉のソースにしたりもします。
塩胡椒でこんがりぱりっと焼いてから、
レモンカードをとろりとかけてフライパンに蓋をし、あたたまったら出来上がり。
焦げ付きやすいので、鶏にのせて温めるのが一番良いです。
塩気とレモンカードの甘味、鶏の旨味がからんで
甘めのおいしいグリルチキンになりました。
気の張る仕事などがある日の朝にたっぷりと。
頑張った日の夜に…ちょっぴりと。
そんな大切な味です。
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