2024年 ベスト音楽総まとめ(VTuber / Vsinger部門)
どうもです。
2024年の総まとめ的な記事、第4弾。
最終的に「2024年 ベスト音楽総まとめ」記事に反映される「VTuber / Vsinger部門」です。VTuber、Vsingerとして活動している方のオリジナル楽曲アルバム・EPが対象。2024年は豊作だったのもあり、15枚選出しました。
#1『FACET』/ 來-Ray-
avexよりリリースされた記念すべき1stアルバム。デビューシングル「フィグ」を始め、新規書き下ろしの3曲を加えた全10曲を収録。
スルメ名盤。朝から夜まで日常の色んなシーンに合う楽曲が揃っているので、通しで聴いた時の気づいたらハマっている感が凄い。ハスキー気味の低音域から中音域に掛けて少しエッジの効いたソウルフルな歌声の持ち主で、言葉一つ一つへのニュアンスやアクセントの付け方が本当に巧み。エネルギッシュなビートが響くTr.2「Turning Over」やTr.3「Dope」、ジャズロックナンバーTr.5「knock knock」などで魅せるラップも楽曲の持つグルーヴ感を更に引き出していて、ガチでカッコイイです。一方で、お洒落なチルアウト曲Tr.7「f.i.n」や新録曲のバラードTr.8「隔世よ」では、エモーショナルなメロディに乗せて美しい高音を響かせており、特に気に入っています。リード曲でもあるTr.9「Loosely Taboo」は、心地良いグルーヴが光り、穏やかながらも胸が高鳴るメロディが印象的でした。総じて、彼女の歌声の魅力を引き出した隙のない1枚。個人勢になりましたが、Live2Dモデル制作のクラファンも成功し、今後の活躍が楽しみです。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「フィグ」、Tr.2「Turning Over」、Tr.3「Dope」、Tr.5「knock knock」、Tr.8「隔世よ」、Tr.9「Loosely Taboo」
#2『幽』/ アルバ・セラ
待望の1stフルアルバム。「Bloom」「God Willing」「メシア」などシングル全てに、新録曲3曲を加えた全11曲を収録。楽曲提供には、ゆよゆっぺ、鬱P、Rockwell、丸山漠(a crowd of rebellion)など最強メンバーが集結。
メタルVsinger代表格。遂にVTuber界隈からここまでメタル/ラウドロックで固めたアルバムが出た事に喜びと感謝で一杯です。先行リリースされた、Tr.1「メシア」は開幕を告げる楽曲に相応しい破壊力抜群のメタルコアナンバー。中毒性あるサビメロを中心にした展開美が光り、ブレイクダウンではモッシュ不可避のTr.4「指切り」、治安悪い重低音が鳴り響くヒップホップナンバーTr.8「Aphrodite」、煌めきと疾走感溢れるシンセが心地良いTr.10「フロンティア」と新録曲も文句無しのカッコよさ。再録となった前作EP『Ego』の楽曲達の配置も良く、ラスト「エゴイスト」は「メシア」と対になる様な救済の形を示してくれました。幅広い表現力を求められる中で、天高く突き抜けていく様な歌声が彼女の持ち味で、「エゴイスト」でも、弱さを包み隠さずに力強く美しく歌う姿は心に刺さるモノがあるはず…。2024年は遂に現地で生歌を聴けて嬉しかったですね、2025年も必ず行きます。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「メシア」、Tr.4「指切り」、Tr.6「God Willing」、Tr.8「Aphrodite」、Tr.9「Scarlet Pulsation」、Tr.11「エゴイスト」
#3『色彩』/ ヰ世界情緒
2年3ヶ月ぶりとなる2ndフルアルバム。香椎モイミ、はるまきごはん、柊マグネタイト、廉、糸井塔、SLAVE.V-V-Rら豪華クリエイター陣を迎え、2022年以降のシングルに新録曲を加えた全15曲を収録。
ガチ名盤。先述したクリエイター陣がイメージする“ヰ世界情緒”をテーマに楽曲が制作され続けた結果、自然と出来上がった本作。彼女らしい独創的で美しい世界観を保ちながらも、色々な側面を映し出す楽曲が揃った1枚でした。しかも、アルバム構成が素晴らしい。壮大な雰囲気で幕を開けると、そのままTr.5まで神秘的な歌声に誘われ、何処かに迷い込んでしまったかの様な感覚に襲われる曲が続いていきます。ダークでファンタジックな世界観漂うロックナンバーTr.6へバトンタッチすると、ポエトリーラップを魅せたり、大人っぽい華を魅せたりと、影を落とす様に新たな色が描かれていく。後半Tr.10に差し掛かると、疾走感溢れるロックナンバーを畳み掛け、燃え上がる様な力強い歌唱を披露。終盤はリードトラックTr.12と、初めて作詞を手掛けたTr.13から彼女の想いが前面に出た歌声が沁み込んでくる。そしてラストTr.14「ANGELIC」は、天界の花園を彷彿させる壮大な美しさに感動せざるを得ない、アルバムを締めるに相応しい1曲でした。彼女自身の創作の行く先、届く先を確信した強さが歌い方にも表れている様に感じましたし、1stアルバムとはまた一味も二味も違う、芸術的で完成度の高い傑作。8月7日の初現地ワンマンライブも総合芸術作品として素晴らしかったです。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.2「そして白に還る」、Tr.4「パンドラコール」、Tr.5「ディメンション」、Tr.6「キミ消失セカイ」、Tr.7「グレイスケイル」、Tr.10「暮れなずむ約束」、Tr.11「ヴァーミリオン」、Tr.12「描き続けた君へ」、Tr.14「ANGELIC」
#4『覚醒』/ V.W.P
花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜で結成したV.W.Pの2ndアルバム。全曲カンザキイオリが手掛けていた1stから、彼の卒業と共にクリエイター陣を一新。笹川真生、廉、香椎モイミ、MIMI、Goat、Kanata Okajimaらを迎えた、新しいV.W.Pの可能性への挑戦を感じさせる全15曲を収録。
カンザキイオリと共に築いた電脳世界を生きる彼女達の世界観を大切にしながらも、メンバー達の新たな個性をタイトル通り"覚醒"させた1枚でした。様々な方向へと要素を尖らせた幅広い楽曲が揃い、それに応える様な歌唱でも新たな一面を魅せ、色んな角度から感情を揺さぶってきます。新録曲では、泣けるエモーショナルバラードTr.6「明日」と、サイバー感溢れるサウンドとラップが印象的なTr.8「未遂」、温かい音色と軽快なリズムに希望を感じずにはいられないTr.11「暁光」が気に入っています。先行でシングルカットされたTr.3「感情」、Tr.10「切札」、Tr.12「花束」、Tr.14「同盟」も壮大なスケールやドラマティックな展開で存在感を放っており、カンザキイオリの意思を継承している様にも感じました。全体的に歌詞からは未来への決意を感じるモノも多く、最後の「顕在」を聴いていると、新章を力強く踏み出す彼女達が目に浮かぶ様で、とても誇らしかったです。2024年は2ndワンマンから始まり、フェスや再演まで本当にありがとうございました!
★特にオススメするTrack
⇒Tr.3「感情」、Tr.4「強気」、Tr.6「明日」、Tr.10「切札」、Tr.11「暁光」、Tr.12「花束」、Tr.14「同盟」
#5『Tensegrity』/ Nornis
2024年6月23日に2周年を迎えたNornisの1stミニアルバム。先行リリースされた「innocent flowers」や「Deep Forest」を含む全7曲を収録。
タイトル"Tensegrity"は、Tension(張力)とIntegrity(統合)を掛け合わせた概念との事で、2人が時に掛け合い、時にシンクロして、Nornisならではの魅力を突き詰めた様な1枚でした。可憐ながらも芯のある歌声を持つ町田ちま、妖艶で力強い歌声の中に優しさも感じる戌亥とこ、個人個人でも様々な表情を覗かせる歌声を魅せ、美しいハモリからは世界観やメッセージを更に押し出すパワーが生まれてますね。表題曲Tr.1「Tensegrity」も始まりを告げるに相応しい壮大で神々しさ感じる1曲。新録曲では、奇妙な無機質感が中毒性あるメロディを後押しするTr.3「ジョハリ」(ケンカイヨシ提供)、クールな雰囲気だけど抑えられない激情が表現されたTr.4「just wonder」(堀江晶太提供)が特に気に入ってます。Tr.5「Shangri-la」も音の拡がりが気持ち良く、シンガロングやクラップ必至のライブ曲でしたね。9月に開催されたツアーは大阪公演に参加し、圧巻の景色を魅せてくれました。来年3月は初のオーケストラライブ、ガチで楽しみにしています。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「Tensegrity」、Tr.3「ジョハリ」、Tr.4「just wonder」、Tr.5「Shangri-la」、Tr.6「innocent flowers」
#6『PHANTOMIME』/ Mori Calliope
2ndアルバム。2022年12月にメジャー1stアルバム『SINDERELLA』、2023年8月にEP『JIGOKU 6』と、相変わらずとんでもないペースでリリースが続いているの純粋に凄すぎだし、本当に有り難い限りです。
アルバムタイトルは「PHANTOME(幻影)」と「PANTOMIME(パントマイム)」を組み合わせた造語で、ヴァーチャルアーティストである彼女がパフォーマンスを通して奮闘している様子を表現。その言葉に噓偽り無しと云うか、ヒップホップ色が強かったこれまでの作品とは一線を画す挑戦的な1枚でした。前半はテンション高めに勢い付くハードロック、オルタナティブメタル感が強い楽曲が揃っており、カリオペ史上最もメタルに仕上がった名曲Tr.4「Overkill」がお気に入り。Tr.7以降はお洒落なポップナンバーやR&B、バラードが並んでおり、ハイパーポップデュオ LUSSのBENがプロデュースしたバラードTr.9「Last Days」が断トツで気に入っています。胸が苦しくなる歌詞と切なげな歌声が突き刺さって本当に泣ける。迷いや苦悩の先に希望を見出したい、その戦いには価値があるんだと、本作のメッセージ性も感じ取れるかと思います。何かに縛られる事なく幅を広げた音楽性、カリオペのエネルギーに満ち溢れた歌唱力を味わえる名盤です。武器であるラップ以外でもこれだけ器用に表情豊かに歌声を魅せてくれるとは…改めて、彼女に惚れてしまいました。来年はロサンゼルスにてワンマン、他のライブと日程が被り現地に駆け付ける事はできないけれど、日本から応援しています。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「タイド」、Tr.3「Go-Getters」、Tr.4「Overkill」、Tr.5「Cult Following」、Tr.6「DONMAI」、Tr.9「Last Days」
#7『真っ白は色褪せない』/ えのぐ
3rdフルアルバム。2023年の「LIVE Ⅳ LIFE」から、2024年夏までにリリースされた楽曲に加え、書き下ろし新曲2曲を加えた全14曲を収録。
何年経っても色褪せることのない「真っ白な想い」を込めた"現在のえのぐ"を象徴する1枚であり、グループ曲と各メンバーのプロデュース曲も網羅された決定盤。最高に盛り上がれるライブアンセムから、しっとりと胸に沁みるエモーショナルバラードまで揃い踏み。Tr.5~Tr.7、Tr.11~Tr.13のプロデュース曲もハッキリと三者三様の個性が伝わってくる楽曲になっています。個人的トップ3は、3人新体制初となるシングルTr.2「星は三度瞬く」、4人体制ラストのシングルTr.9「LIVE Ⅳ LIFE」、独立して「えのぐ合同会社」を立ち上げてから初となるワンマンライブにて初披露されたTr.14「僕色インフィニティ」。どれも意味深い大切な曲ですし、何より畳み掛ける様な泣きメロが搭載されてて本当に好き。新録であるTr.1「プロローグ」も始まりの高揚感に溢れており、表題曲Tr.10「真っ白は色褪せない」もえのぐにしか歌えない歌詞が魅力的。9月30日より開催されたワンマンライブプロジェクトのクラファンでは感動的なストレッチゴールもありました。1月4、5日のワンマン興味沸いた方は是非ライブにお越しください。観客の心を撃ち抜くパフォーマンスを必ず魅せてくれます。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.2「星は三度瞬く」、Tr.3「ヴァーチャルバーサーカー」、Tr.5「ビリバリッ!!!」、Tr.6「BAD DANCE」、Tr.9「LIVE Ⅳ LIFE」、Tr.11「またね、って言うよ」、Tr.14「僕色インフィニティ」
#8『flower rhapsody』/ さくらみこ
記念すべき1stフルアルバム。じん、ナナホシ管弦楽団、カルロス袴田(サイゼP)、Aiobahn +81/にゃるら、Medansy、キノシタ、かいりきベア、やしきん、真島ゆろ、40mP、堀江晶太、など豪華作家陣書き下ろしの新曲含む全12曲を収録。
6年間の活動を経て見つける事ができた「自分らしさ」と、ずっと隣を歩いてくれた「あなたへの想い」を詰め込んだ、と云う1枚。確かに2023年にリリースされた初EP『heart♡connect』より更に彼女の人柄や内面が色濃く反映された、非常にパーソナルな1枚に仕上がっていました。"さくらみこ"を知らない人がこのアルバムを聴いても、自然と伝わってくると思いますし、彼女と対話しているかの様な親近感があるはずで。一度耳にすれば忘れられない中毒性ある可愛いらしい歌声と、素直で真っ直ぐメッセージがそうさせてくれます。そこには、配信者でもありアイドルでもありたい等身大のVTuberアイドル像もしっかり貫かれていて、だから思わず笑顔になる楽曲も多くて。ラストのTr.12「flower rhapsody」は名曲です。アルバム冒頭から流れてきた"ありのまま"というテーマが、最後に"大丈夫だよ"というメッセージに着地する美しさよ。歌詞を後押しする堀江晶太らしい泣きメロの応酬も凄い。10月26日に開催された初ワンマンも大盛り上がりで大成功でした。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.2「DAI DAI DAI ファンタジスタ」、Tr.4「にゃっはろーわーるど!!!」、Tr.7「きゅんきゅんみこきゅんきゅん♡」、Tr.8「あーゆーれでぃ」、Tr.11「Re:flection」、Tr.12「flower rhapsody」
#9『Stairs』/ 龍ヶ崎リン
待望の1stフルアルバム。OHTORA、水槽、ポリスピカデリーらが手掛けた過去7曲に加え、YACA IN DA HOUSE、春野、4naら豪華クリエイター陣による書き下ろし楽曲や、龍ヶ崎リン⾃らが作詞作曲を手掛け、編曲に⽔槽を迎えた新曲「tremolo」など、新録4曲を含む全11曲を収録。
彼女が幼い頃から嗜んできたHIP-HOP・R&B・Black Music・CityPopを通過したテイストが多くの楽曲に反映されており、静かな深夜帯は勿論の事、肩の力を抜いて一休みしたい時に、積極的に耳のお供にしたい1枚でした。常に若干ウィスパー気味で、どこか宙を漂っている様な感覚を与える独特のハスキーボイスは唯一無二の魅力。時にクールに、時に色っぽく、耳心地良いフロウから、伸びやかなロングトーンまで、幅広い歌唱を様々なムーディーなチルアウトミュージックを通して披露。作詞だけでなく作曲も手掛けたTr.7「do it」は相当歌い易いんでしょう…真っ直ぐに身体の奥まで歌声が届いてきて最高です。彼女のリリックに込められたメッセージも親近感を覚える位にストレートに刺さってくるので好きですね。アルバムの中で、特に異彩を放っていたのは、ダークで扇情的なサウンドが鳴るアグレッシブナンバーTr.3「ギヴミー」と、魅惑的なサウンドとフロウがひたすら気持ちよさに溺れられるTr.5「not for me.」。新録ではTr.10「tremolo」が龍ヶ崎リンの真骨頂とも言える楽曲に仕上がっていたので必聴です。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「Twilight Stream」、Tr.3「ギヴミー」、Tr.4「Moonshine」、Tr.5「not for me.」、Tr.7「do it」、Tr.9「飾り窓」、Tr.10「tremolo」
#10『Still』/ 水魚みぃむ
記念すべき1st EP。2024年10月26日には活動1周年を迎え、これまでモモ(デザイン・作詞)、ヤミヤミ(作詞・作編曲)、wagataki(作編曲)と共にチームで制作してきたオリジナル楽曲である「ミクロコスモ」や「依代」に、新録3曲を加えた全7曲を収録。
私の新曲記事等でも名曲として紹介してきた曲が収録されているのでね…新録含め素晴らしい名盤でした。素朴な温度感の音を巧みに操りながら広がりのあるサウンドスケープを描き、その中で優しく深みある歌声が響いていきます。初オリ曲「おまじない」は、EPの幕開けを飾るだけでなく、1日の始まりを鮮やかにしてくれる様な1曲。新録曲は、未来へ歩み出す力強さを感じさせ背中をそっと押してくれる「わたつみの栞」、サビで力強い歌唱とシューゲイザーっぽく掻き鳴らされるサウンドを堪能できる「映画」、ピアノの旋律に乗りながら色んな方向から反響する様に歌声が重なっていく「階段の精霊」の3曲。舞踏会を彷彿とさせるエレクトロスウィング調の高揚感に満ちた「Qlock」も含めTr.2~Tr.5は趣向に富んだ楽曲が揃っています。そして、忘れてはならないラスト2曲。宇宙スケールのドラマティック展開と儚げな歌声が胸を打つ「ミクロコスモ」、情景が目に浮かぶサウンドアプローチと高らかに声を上げる歌詞が印象的な「依代」、どちらも改めて名曲。これからも沢山聴いていきたい、自分にとって宝物とも想える大切な1枚がまた増えました。ありがとう。
★特にオススメするTrack
⇒全部だけど、Tr.6「ミクロコスモ」、Tr.7「依代」は頭一つ抜けてる
#11『ReGLOSS』/ ReGLOSS
記念すべき1stアルバム。デビュー曲「瞬間ハートビート」は勿論、これまでリリースしたシングルに新録3曲+Remix1曲を含む全8曲を収録。全曲の作詞・作曲をOHTORAが担当。
音楽をメインに活動していくグループとして僅か1年でこのアルバムを完成させた事に、本当におめでとうと言いたい。間違いなく名盤です。ソウルフルでクールなクラブミュージックで統一されており、5人の個性的な歌声が織り成す掛け合いやハーモニーが魅力的な1枚。浮遊感と近未来感もあるスタイリッシュなサウンドデザインも特徴的で洗練された美しさを感じさせます。力強いサウンドの拡がりを魅せるデビュー曲「瞬間ハートビート」は勿論、抑揚の効いたフロウに次第に引き込まれる「シンメトリー」、蕩けるメロディに浸り身体が軽くなってくる「泡沫メイビー」、そして、エモーションと開放感が溢れるサビが最高に気持ちいい名曲「フィーリングラデーション」まで隙無しの完成度。新録3曲もどれも新鮮で、特にTr.6「SUPER DUPER」が気に入っています。小気味よく飛び交うサウンドと飛び跳ねたくなるサビが好き。9月28日にオンラインにて開催された3Dライブも大反響で凄かったですね。次は現地ワンマンライブの開催を全力で待ってますよ!
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「瞬間ハートビート」、Tr.2「シンメトリー」、Tr.4「フィーリングラデーション」、Tr.6「SUPER DUPER」
#12『for ASTRA.』/ HACHI
通算3枚目にして、初のメジャーデビューアルバム。3ヶ月連続先行リリースされた「Dusk」「万有引力」「万華鏡」に、新録10曲を加えた全13曲を収録。コンポーザーには、お馴染み海野水玉や春野、tee teaに加え、未来古代楽団やPowerlessを新たに迎えています。
"ボイジャーのゴールデンレコード”をモチーフに「まだ見ぬあなたに届ける歌を」という想いを込めたと語る本作。前作までの寄り添う歌はそのままに、まるで宇宙旅行へ出掛けるかの様な壮大さも加わった印象を受けました。出発を告げるTr.1の高揚感から、Tr.2へと繋がる加速感で一気にアルバムの世界へと引き込まれ、前半は可愛いらしくも、クールにも、漂う様に歌声を響かせてくれます。美しくも退廃的な世界観が描かれるTr.7から後半はスケールアップ。神秘的で重厚感のあるサウンドに圧倒されるTr.8、オルタナ/エモ/シューゲイズが凝縮されたTr.9はライブで更に化けた名曲。旅路はTr.11から盛大なクライマックスを迎えていくんですが、Tr.12「Pale Blue Dot」は2023年にリリースされた「HONEY BEES」のフレーズを用いた後継曲とも言える1曲で、言葉を失う程に感動しましたね。彼女の儚さと力強さが共存した歌声は本当に魅力的。初の作詞にも挑戦したバラードナンバーTr.13「レコードのように」は、ファンへの想いがストレートに綴られており、感動の余韻をじんわりと残してくれました。12月14日に開催されたワンマンライブも前回から更にスケールアップした世界を堪能できて、本当に幸せでした。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.2「スウィングバイ」、Tr.3「Dusk」、Tr.6「√64」、Tr.8「VESTIGIA」、Tr.9「fragment」、Tr.11「万華鏡」、Tr.12「Pale Blue Dot」、Tr.13「レコードのように」
#13『Kiss and Cry』/ 七海うらら
メジャー1stフルアルバム。2024年1月にリリースしたミニアルバム『PRISM』の7曲に、「感情革命ロックンロール」や表題曲「Kiss and Cry」を含む新録7曲を加えた全14曲を収録。
『Kiss and Cry』はフィギュアスケートで滑走後に点数を待つ場所であり、今迄の人生を1度諦めたフィギュアスケートの世界に重ねて描いたアルバムに仕上がったとの事。アルバムの開幕も飾る表題曲「Kiss and Cry」では、彼女自身が作詞しており、切なる想いと力強い決意が、煌びやかで推進力あるメロディに乗せて綴られていました。Tr.2でマイクを握った後、中盤Tr.3~Tr.6まではキュートでキラキラした世界観が拡がり、Tr.7で小休止も兼ねて雰囲気を一変。Tr.8~Tr.10ではアッパーチューンを熱くパワフルに畳み掛け、Tr.11とTr.12ではエモーショナルバラードが涙を誘います。辿り着いた先はメジャー1stシングル「ダイヤノカガヤキ」と、渾身作にして名曲「Seventh Heaven」となっており、壮大に美しくアルバムを締め括ってくれました。幅広い音域、感情表現の高さ、抜群のリズム感等でどんな曲でも歌いこなす歌唱スキルが光るのは勿論、彼女の人生の軌跡と真っ直ぐな想いが詰まっているからこそ、共感を呼ぶし、感化されるんだと思います。ライブセトリにしても違和感がないくらい、多彩でメッセージ性に優れた完成度の高い1枚。2024年はフェス等で活躍を見れて良かったです。またワンマンライブあれば絶対に遊びに行きます。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「Kiss and Cry」、Tr.2「蒼のカケラ」、Tr.5「リバースラバーズ」、Tr.6「キワメテカワイイ」、Tr.7「Rhapsody」、Tr.10「Love and Hate」、Tr.11「茜光」、Tr.12「光のみちしるべ」、Tr.14「Seventh Heaven」
#14『RUMBLING』/ VESPERBELL
記念すべきメジャー1st EP。まとまった作品は『革命』から2年ぶり。メジャー1stシングル「Noise in Silence」や、ドラマ『私の死体を探してください。』のタイアップ曲「羽化」などに、新録3曲を加えた全6曲を収録。
全体的にはラウドロック感が強調され、武骨なバンドのダイナミクスに、躍動感溢れるエレクトロサウンドが添えられた楽曲が揃った1枚。「鳴動」や「Bell Ringer」は特にそれを感じられるかなと思います。狼煙を上げる勇ましさを感じられる「Noise in Silence」や、ダークなトーンで緊張感のあるトラップナンバー「羽化」の存在感も抜群。新録のTr.4とTr.5もゴリゴリのバンドサウンドですが、ポエトリーリーディングがあったり、スケール感が増したりと、新たな魅力がありました。芯のあるハスキーな歌声でインパクト強く発声するヨミと、丸みのある可愛い歌声で突き抜けていくカスカ。2人のどんなメロディでも乗りこなす流麗なボーカルラインは更に進化を遂げ、前作からの成長が明らかでしたね。このデュオだからこそ生まれる独特の美しいハーモニーと、一切の迷いなく目の前をド派手に切り裂いていく様な力強さの共存は活動初期から変わらない魅力だなと。2025年1月16日にはO-EASTにて2ndワンマンライブを開催、今から本当に楽しみです。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.1「鳴動」、Tr.2「Noise in Silence」、Tr.5「Imperfect」、Tr.6「Bell Ringer」
#15『寓話』/ 花譜
4thアルバム。活動初期から3rdアルバムまで全ての楽曲を共に創造してきた盟友・カンザキイオリの神椿卒業を経て、新体制となってからは初となる1年9ヶ月ぶりとなるリリース。2024年の代表曲「ゲシュタルト」を始め、廉、Guiano、水槽、Neuron、獅子志司、笹川真生など豪華クリエイター達との制作体制による楽曲群「歌承曲」を全13曲(+inst2曲)収録。
2024年にリリースされたEP『GSA』の3曲以外は、ライブ先行披露された楽曲もあるとはいえ、全て新録曲。アルバムを"喪失と獲得の物語"と銘打っているのも頷ける、新たな花譜の世界を沢山受け取る事ができました。自然と多彩な楽曲が揃う中でも、花譜の歌声で確かに一本筋が通っており、ニュアンスや距離感など表現力も更に広がりと深みを増していて。改めて彼女の歌声には、聴く人の身体に言葉を沁み込ませると云うか、心に響かせる力があると感動の再認識。序盤のTr.2~Tr.4は、未知の世界へ飛び出したかの様な疾走感溢れるロックナンバーが揃っており、中盤のTr.6~Tr.8は、儚い歌声と透明で洗練されたサウンドスケープの相性が抜群。終盤Tr.11~Tr.14は彼女の魅力が最大限に発揮された繊細で叙情的な楽曲群。カンザキさんと共に培ってきたモノも感じさせる仕上がりで、余計に"泣き"でしたね…。特にTr.14「Replaceable Goodbye」はエンディングであり、狼煙を上げる曲としても完璧。アルバムとして完成された側面は勿論ある一方で、花譜ちゃんの可能性を感じた側面も強かった1枚。2024年もワンマンから始まり、現地で花譜ちゃんの歌声を沢山聴けて嬉しかったです。
★特にオススメするTrack
⇒Tr.2「アポカリプスより」、Tr.4「俯瞰する事象」、Tr.5「この世界は美しい」、Tr.7「ホワイトブーケ」、Tr.8「黄金の木」、Tr.10「ゲシュタルト」、Tr.11「カルペ・ディエム」、Tr.14「Replaceable Goodbye」
以上、VTuber / Vsinger部門の15選でした。昨年以上にアルバム・EPリリースが増え、15選でも選出するのに頭を抱えました。嬉しい悲鳴ですね。アルバムリリースと併せて参加したライブも最高の想い出。ここまでお読みくださり、ありがとうございました!ではまた!