新会社の5つのバリューと人事評価制度をアップデートした話 〜M&Aを経た事業統合・子会社化から5ヶ月〜
株式会社CREAVE、代表の中村です!
本題の前に、簡単な会社紹介をさせてください。
私たち、CREAVE(クリーブ)は、30万人のクリエイタープラットフォームを運営し、クリエイターの可能性を最大化しながら企業のマーケティング・クリエイティブ支援をしています。
スマホで写真が売れるアプリ「Snapmart」の運営や、企業の商品・サービスの素材と熱量の高いUGCを収集できる「アンバサダーサービス」、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokを中心に、企業様のSNS運用を戦略設計から投稿まで一気通貫で支援する「SNSコンサルティング事業」などを広く行っております。※サービス一覧は下記▼
会社の形態としては、株式会社ガイアックスの社内の事業部として立ち上がり、2社のM&A・事業統合を経て、5ヶ月前の2024年2月にガイアックスの子会社としてCREAVEがスタートしました。
さて、ここから本題ですが、新たな会社として走り出して早5ヶ月。
今回、社内の行動指針となる5つのバリューを策定し、既存の人事評価制度をアップデートして社内全体に共有を行いました。
人事担当は居ないため、中村が主導でマネージャー陣を巻き込みながら進めた本プロジェクト。課題はあるものの、進め方含め何も分からない状態からのスタートでした。背景や思考過程などをざっくばらんにシェアできればと思います!
(書き上げてみてびっくり。4500文字を超える長文になってしまったのですが、是非お付き合いください。。)
なぜこのタイミングだったか
組織において、「これが正しい行動だよね・重要にしたい価値観だよね」という"共通認識"を全員が持つことは、組織力を高め事業を伸ばしていく上で、無くてはならない要素だと思っています。
そして、その"共通認識"が、これまでは阿吽の呼吸・暗黙の了解で共有できていた感覚があったのですが、組織が大きくなっていく上で、しっかりと明文化していないことによって認識のずれが発生したり、メンバー個人の行動やマネジメントの中にそれぞれ迷いや不安が出てきたり、ということがポツポツと発生してきたというのが一番のきっかけになります。
特に大きな問題には繋がっていなかったのですが、大きな問題が発生し出してからでは、時すでに遅し。という感覚もあり、なるべく急務で進めていこうと思い、上半期中に整えるという目標を立てていました。
※これは細かい補足ですが、CREAVEはこれまでM&A・事業統合を2回行っており、1回目のM&Aは、当時代表1名+業務委託4名の組織であり、私たちも社員が2名という状況だったため、PMIの中でも組織カルチャーの統合という観点は重要度が高くありませんでした。
2023年2月の2回目のM&Aでは、社員7名+アルバイト7名の組織と、既存の社員6名+業務委託50名の組織を事業統合しており、これまで全く異なる文化の中動いてきた、同じ規模感の組織同士が統合するという中で、組織カルチャーのすり合わせ・整備は必須だろうなという感覚をその当時から持っていました。ただ、二つの組織の規模感が同じだったこともあり、どちらかに無理やり合わせるのではなく、両組織がこれまで大切にしてきた価値観やカルチャーをうまく調和しながら最適解を探していきたいという思いが強かったです。なので、1年間の事業統合を経て、ある程度組織にいるメンバーが納得感や当事者意識を持てる状態になったこのタイミングが適切だという判断になりました。(1年間の調和期間を持てたのは、組織の規模がまだ小さかった+同規模だったことと、そもそものカルチャーで致命的にずれている部分がなかったという点が大きいと思っています。)
バリューと人事評価制度
きっかけとしては社内の共通認識が明文化されていないという課題感が一番大きかったのですが、それらを明文化したバリューを策定するだけでは不十分であり、人事評価制度全体を見直す必要があると考えました。
というのも、そもそも人事評価制度はミッション・ビジョン・バリューを元にした全社の経営方針/事業計画と、それに紐付くセクション・チームの目標を達成するために必要な仕組みだと捉えています。(下図)
そのため、バリューと人事評価は切っても切り離せないものであり、
バリューを社内に浸透させ、メンバーの理解を深めていくためにも、人事評価制度を同時にアップデートし、バリューに沿った行動を評価できるような仕組みにしていくことが必要不可欠だと考えました。
既存の人事評価制度における課題
これまでは下記のような流れで半期ごとに評価を行なっていました。
期初:チーム・セクションの目標&方針共有を行い、等級別行動要件(等級ごとに求められる行動や姿勢を示したもの)を元にMBOと呼ばれる個人目標設定を行う
期末:MBOを個人と上長で振り返り、「等級&ランク=給与」が決定する
そしてこの既存の人事評価制度には大きく2つの課題がありました。
①バリューに沿った行動が評価できるような制度になっていない。
→これは前述した内容と重複しますが、これまでの等級別行動要件は等級ごとに求められる仕事の進め方・姿勢が明文化されていたのですが、ここにCREAVEが組織として大切にしたいバリュー(行動指針)が組み込まれていませんでした。また、評価においてもMBOでの個人目標の達成度がメインになっており、バリューに紐づいた評価が出来る仕組みになっていないことがそもそもの課題としてありました。
②等級ごとに求められる役割や責任範囲が明確になっていない。
→これまでの等級の扱いでは、等級ごとに1等級=メンバー/2等級=中堅メンバー/3等級=シニアメンバー/4等級=リーダー/5等級=マネージャー/6等級=経営メンバー以上という定義はあるものの、明確な定義が存在しませんでした。また、リーダーやマネージャーの等級がプレイヤーより上になっているため、レベルの高いプレイヤーを評価が出来る構造になっていないことも課題だと考えました。
アップデート内容
これらの課題を受け、今回行ったアップデート内容は大きく下記の3つになります。
バリューの策定
等級別行動要件のアップデート
各等級で期待する役割、責任範囲を示す「等級定義」を作成
バリューと紐付けて「行動要件」を作成
評価項目に「Value評価」を追加
1.バリューの策定
今回新しく出来たバリューは5つ!詳細はこちら。
CREAVEが定義するValueとは、今後CREAVE全体で大切にしていきたい価値観です。ValueはCREAVEが事業・組織共に成長していくために必要な行動指針を逆算して、言語化したものです。
マネージャー陣で、「これまでCREAVEで評価されてきた人ってどういう人だろう?」というこれまで大切にしてきた観点と「これからCREAVEの事業成長を担う人ってどういう人だろう?」というこれから大切にしていきたい未来の観点を合わせて要素を洗い出しを行いました。出てきた要素から共通点を見つけて整理し、優先順位をつけて作成しました。
大きく5つの要素に分かれたので、それらを仮のバリューとし、各バリューごとに具体的に必要な行動要件に落とし込んで言語化し、細かなニュアンスなどを調整していきました。
最終的にバリュー自体のワーディングは、覚えやすく、社内に浸透しやすいように、簡潔かつありきたりすぎるワーディングは避けることなどを意識しました。
2.等級別行動要件のアップデート
まずは、各等級で期待する役割・責任範囲を示す「等級定義」を新たに作成しました。
等級定義は、1等級〜6等級まで、影響範囲、専門性の高さ、複雑さ、状況の曖昧さ、インパクトの観点で定義をしました。
また、等級別の職位に関しても実態に合わせて明文化しました。マネージャーやリーダーとしてマネジメントを行わない場合でも、特定の高い専門知識・スキルを行いながら事業貢献を行っている場合は「スペシャリスト」として等級が上がっていくという仕組みになっています。
そして最後に「行動要件」をバリューに沿う形で等級ごとに言語化していきました。バリューごとに2つずつの要素に分かれており、各要素を具体的な行動要件に落とし込んでいます。
例えば、1等級であれば下記のような形です。1等級〜6等級と等級が上がるごとに期待値が上がっていくようなイメージです。
3.評価項目に「Value評価」を追加
新評価制度の全体像は下記です。今回新たに作成した等級定義と等級別行動要件を元にMBO設定を行い、「MBOの振り返り」と「Value評価」を元に7:3の目安で最終評価(等級&ランク)が確定するような制度になっています。
共有から3日間の社内の反応
6/19(水)に全社に新たなバリューを発表し、Slackでは5つのバリューのスタンプも作りました。
メンバーの活躍やナイスな動きを発信する#all_happycommentのチャンネルで共通言語に使われたり、投稿にバリューのスタンプが続々とついていたり、、会話の中でもバリュースタンプが使われていたり、、!
初速は良い調子だと思うので、しっかり継続させていきたいのと、CREAVEは業務委託メンバーが非常に多い組織のため、業務委託メンバーを含めた組織全体のバリュー浸透にも力を入れていきます💪
まとめ
以上が、組織の共通の価値観を言語化するために、バリューを新たに策定し、それと共に人事評価制度のアップデートを行った話でした。
課題起点で必要最低限なアップデートとなりましたが、CREAVEの事業戦略から逆算したCREAVEらしさを反映したバリューを策定でき、なおかつ、バリューに沿った目標設定や評価が出来る制度に一歩近づいたのではないかと考えています。また、バリューや行動要件をああでもない、こうでもないと試行錯誤して作っていく中で、マネージャー陣同士の価値観のすり合わせが自然と行え、目線を揃えることが出来たことも非常に価値ある時間だったなと感じました。
人事評価制度は、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の構成から成り立ち、それぞれがバランスよく保たれることが重要だと言われていますが、今回具体的にアップデートした部分は、「等級制度」と「評価制度」にあたる部分になります。
「報酬制度」に関しては、今回は現状維持という判断でしたが、今後もちろん見直すタイミングも出てくるかもしれません。
バリューも評価制度も100%完成ということではなく、事業のフェーズや組織規模によって都度見直し、変化させていくことが重要だと考えているので、これからも継続的に改善していく予定です。
また、人事評価制度は作って1割、運用9割と言われている記事にもよく出会いました。運用が根幹を担うことを忘れずに、整えただけで満足せず運用や浸透のためにもチーム一丸となって取り組んでいきたいなと考えています。
最後に、今回のプロジェクト進行にあたり、社外のプロフェッショナルにもお力添えをいただきました。親身に相談に乗って下さったメルカリHRマネージャーの北原豊さん、才能と情熱のプロフェッショナル 中村勇気さん、本当にありがとうございました!
長い文章を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
CREAVEでは一緒に働くメンバーを社員・業務委託などさまざまな形態・職種で募集しています。興味がある方はぜひお問い合わせください!