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「noteの収入で家族4人暮らす」新世代作家・岸田奈美を支えるのは、一家の幸せ願うファン

2020年9月に初のエッセイ集『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を出版して話題を集め、わずか1年で3冊もの著書を出版した作家の岸田奈美さん。

今年2月からは日本テレビ『スッキリ』で、9月にはNHKが中継したパラリンピックでコメンテーターを務めるなど、ネットや書籍だけでなく、テレビなど多方面で活躍されています。

岸田さんのエッセイは、日々の暮らしの中で起こるアクシデントや、障害を持つ家族と過ごした時間をユーモラスに表現。どんなに深刻で辛いエピソードも、軽快な筆致でまとめ、読めば不思議と前向きな気持ちになれます。

チャップリンは「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」と言った。

わたしことナミップリンは「人生は、一人で抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ」と言いたい。

『もうあかんわ日記』

そんな岸田さんの職業は確かに「作家」ですが、活動の中心は、雑誌連載や書籍の執筆ではなく、noteで記事を書くこと。収入の大部分はnoteのマガジンを定期購読するファンからの直接課金なのだそうです。

そんな新世代の作家活動がどのように成り立っているのか、話を聞きました。

岸田さん 1

岸田奈美
1991年、神戸市出身。障害者支援のための各種サービスを手がけるミライロ創業メンバーとして広報を担当したのち、2019年より、メディアプラットフォーム「note」での執筆を中心とした作家活動を開始。2021年より日本テレビ『スッキリ』コメンテーターを務める。著書に『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』、『もうあかんわ日記』、『傘のさし方がわからない』。

ある日突然、noteが120万人に読まれてしまった

ーー2020年に作家として初の書籍を出し、今やTV番組でコメンテーターも務める岸田さん。デビューしてからとんとん拍子で活躍の幅を広げられていますが、どういう経緯で作家としてのキャリアを歩み始めたのでしょうか?

岸田:エッセイでよく書いている、ダウン症の弟がきっかけをくれたんです。

会社員として働いていたとき、私がメンタルをやられてしまって、休職していたことがあったんですが、そのときに彼が旅行に誘ってくれて。

当時の私は「この先、社会人としてやっていけるのか」と毎日不安だったんですが、弟は景気づけに旅行でもするのが良いと言ってくれて、まあお金を支払うのは私なんですけど。

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岸田さんの4歳下の弟・良太さんはダウン症という知的障害があり、大人になった今も運動、知能、言語などさまざまな面の発達が不十分なのだそうです

岸田:そうしたら、大人になってから仕事が忙しすぎて弟の成長をちゃんと見られていなかったんですが、人目を気にせず自分にとって気持ちいい行動を貫いているし、見返りを求めない優しさみたいなものを感じるし、家族として誇らしいなと思ったんです。

自分には自信を持てないけれど、こんな家族がいることは自信が持てるし、誰かに話して聞いてもらいたいなと。

休職中で毎日何もやっていないことに罪悪感があったことも後押しして、弟のことをFacebookに書いたんです。

それを読んだ知り合いが「知人限定にしておくにはもったいない内容だから、読み物として出した方がいい」というふうに言ってくれて。

そう言ってくれるならばとnoteに出すことにしました。2019年のことですね。

ーーそれで、noteに書いてみたと。

岸田:しばらく弟の話をnoteで書いてみたんですが、まあそんなに読まれない。

それでもなんとなく文章を書き続けて、ある日ブラジャーの試着をした話を書いたら、それがものすごく読まれたんです。

「一時間かけてブラジャーを試着したら、黄泉の国から戦士たちが戻ってきた」というタイトルで、専門店でブラを買ったら体のシルエットが変わった、という話なんですが。

書いて寝て、起きたらTwitterのフォロワー数が3万人近く増えていました。

なんでだろうと調べてみると、投資家の藤野英人さんという方が「めちゃくちゃ面白い」と言ってくださったことも影響して、最終的には120万人くらいに読んでもらえたんです。

*​「友人にすすめられた下着専門店でブラジャーのフィッティングをして感動した」という一見なんでもないような出来事ですが、ユーモアのある語り口ゆえに思わず読み進めてしまうエッセイに仕上がっています*

ーーすごい。noteではサポート機能で気に入った記事にお金を支払うことができますが、それだけたくさんの人から読まれると、たくさん支援があったんじゃないですか?

岸田:いや、そのときはたくさんサポートしてもらえたとか、noteがきっかけでエッセイの仕事を依頼されたみたいな話は特になく、もてはやされただけでした(笑)。

そのときはすでに復職していたし、そういう文章を書くことが仕事になるなんて思ってもいなくって……でも、しばらくしてnote社から「クリエイター向けのイベントを主催するから登壇してほしい」という依頼が届いたんですよ。

それを受けることにして、イベント当日まで3ヶ月くらいあったので、その間にもっと作品を出しておこうと文章を書いていたら、弟が昔、万引きを疑われたときのことを書いた記事が、またすごい勢いで読まれて。

*岸田さんが高校生の頃、普段お金を持ち歩かない良太さんがペットボトルのジュースを持ち帰ってきたときの騒動が書かれています。とても心温まるお話です*

岸田:このときは、会社員時代の月収を上回る額のサポートが集まって、びっくりしました。

とはいえ、会社を辞めて作家を目指そうとは考えなかったんですけど、クリエイターのエージェント会社のコルク・佐渡島(庸平)さんから連絡が来て。

多分、一発屋じゃないぞと思ってもらえたんでしょうね(笑)。それで誘ってもらって、作家を目指し始めたんです。

会社員としての“コンプレックス”が、エッセイを書く“才能”に

ーーじゃあ、コルクさんから誘われるまでは、特に作家を目指したりはしていなかったんですね。

岸田:趣味で同人活動をしていたことはあったんですけどね。

小学生、中学生のときに好きなアニメの二次創作をト書きで書いたり、あと実は、携帯小説を書いて投稿したこともあるんです。

でも、箸にも棒にもかからなくって。読書感想文とかで賞をもらったことも一度もないし、物書きの仕事をしたいと思ったことはあったけれど、大学に入るくらいの時期には諦めていましたね。

それから会社に入って広報の仕事を担当し、2016年くらいからプレスリリースや会社のブログなどで、外向けに分かりやすく会社のことを伝えるような文章を書くことはありました。

それでもやっぱり、自分に面白い文章を書く才能はないと思っていましたね。

ーー文章を書く才能がないと自覚していた岸田さんが、会社を辞めて作家として生きようと踏み切れたのはなぜですか?

岸田:実は、むしろ会社にいるのが不安だったんです。出世には興味がないし、自信を失ってまた休職することの方が心配だったくらいで。

私って多分、2〜3人くらいの規模のベンチャー企業だと重宝されるタイプなんですよ。誰も思いつかないような意味の分からないことを、すごいスピードで達成したりするのは得意で……。

私は障害者支援のサービスを手がける会社で働いていたんですが、自社の取り組みを取り上げてもらおうと広報営業をして、『news zero』の取材で櫻井翔さんに会社へ来てもらったり、『ガイアの夜明け』に会社を独占取材してもらったりしたんですけど、なんでかそういう提案はうまくいったんです。

その代わり、時間を守ったり、机の上を綺麗に保ったり、忘れ物をしなかったり、みんなの意見をちゃんと聞きながら喋ったり……そういう、小学校で教わるようなことができなくて。

会社の人数が増えるほど自分のせいで困る人が増えちゃって、周りに馴染めなくなっていき、次第に自分がやった仕事よりも自分が周りにかけている迷惑の方が気になるようになっちゃったんです。

ーーそんな状況が続くと、確かにメンタルがやられてしまいそうです。

岸田:一緒に仕事をしていた人間からチャットで悪口を言われているのを見つけてしまったときは本当に辛くて、「私っていらない存在なんや」みたいに思ってしまって。

でも、そんな私が書く文章だからこそ良いんだと、佐渡島さんは言ってくれたんですよね。

どういうことかと言うと、私の文章はできるだけ人を傷つけないようにする想像力が働いていて、それは私が自分のことや障害のある家族のことでたくさん傷ついて来たからじゃないかと。

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良太さんだけでなく、岸田さんの母・ひろ実さんも下半身麻痺という障害を抱えています

岸田:その文章は岸田さんだから書けるんだ、と。当たり前のことができないのって、会社で働く私にとってはただのコンプレックスだったんです。

でも、佐渡島さんがそう言ってくれたことで、エッセイを書く上では誰かを幸せにする才能になるんじゃないかと思えたんですよね。

ーーすごく素敵な話です。

岸田:私、Twitterでもよく書いているんですけど、ただ当たり前のことができないだけじゃなくって、トラブル引き寄せ体質なんです。

会社員のときも、女性社員の誕生日会でケーキを発注したらお店側の取り違えで知らないおじさんの顔写真が印刷されたケーキが届いたり、新人歓迎会のお店を予約したらそこでカンピロバクターが発生して多くの社員が感染し、誰も働けなくなったり……。

*部屋に飛び込んできたスズメバチを焦ってルンバに吸い込ませてしまったツイートがたくさんの人に読まれ、「スズメバチルンバの人」と呼ばれたことも*

岸田:そういうとき、会社だと怒られたり気まずくなっちゃったりするんですけど、文章にすれば笑ってもらえるんですよね。

そう考えると、食べていけるか分からないし不安定かもしれないけど、それでも自分が好きなことをしてみんなに面白がってもらえる場所に行った方が良いんじゃないかって思えてきたんです。

それに、佐渡島さんは「売れなくても食べていける環境を作ろう」と言ってくれて、売れることよりも創作を続けることが大事だし、そのためには売れない作品を出すことも大事だからと。

そう言ってもらえて、私でお金儲けしようとしているんじゃなく、私の人生に寄り添ってくれそうな人だなと信用できたので、独立に踏み切れました。

「岸田家を応援したい人」が有料購読してくれる

ーーここから少し突っ込んで、note中心の作家活動をされている岸田さんの収入面のお話を伺いたいです。

岸田:私の収入の約9割はnoteでの定期購読マガジン『岸田奈美のキナリ★マガジン』に登録してくださっている方からの支援金で、そのまま岸田家の生計を支えているお金です。

今、岸田家は私、弟、母、祖母の4人なんですが、この中で働いているのは私だけなんです。

具体的な金額は言えませんが、その4人の生活を支えられるくらいには有料購読で支援してもらえています。あとはときどき記事ごとにサポートをいただけたり、書籍の印税が入ってきたりです。

キナリ★マガジンは「岸田家を応援してくれる人はぜひ購読してください、その代わり岸田家の全てをお見せします」という主旨のもので、私のエッセイを読みたいというよりは、岸田家を応援したい人が多い印象があります。

私がエッセイを書くことで生活できるという幸せな状況を岸田家に続けてほしいと思ってくれる人ですね。

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岸田さんが購読者限定のエッセイを更新している『岸田奈美のキナリ★マガジン』。購読して岸田家を応援したい方は記事下からどうぞ

ーーコンテンツを読みたい人に加えて、ただ応援したい人も多いというのは面白いですね。支援してもらった金は、生活費以外にはどういう使い方を?

岸田:生活費を差し引いて余った分に関しては、どうすれば応援してもらえた気持ちに還元できるかを常に考えて使っています。

例えば「岸田家に会うだけで元気をもらえる」と言ってくれる人がいるので、自腹で書籍のサイン会をやっていて、全国を飛び回ったり。

サイン会には毎回200〜300人くらい来てくれて、その人たち全員が書籍を買ってくれても赤字なんですけど、気にせずやっています。

気になる場所や気になる人がいれば自腹でどんどん行くし、その体験を元にまたエッセイを書けますからね。

ーーnoteでの継続的な支援があるおかげで、新しい作品を書くことができる好循環が生まれているんですね。集まったお金を、創作の予算として使える。

岸田:個人的な意見なんですが、支援していただいたお金を生活費に充てるのって、プレッシャーがすごいんですよ。

定期購読マガジンって一気に読者が減ることもあるので、支援金だけを当てにして生活をしていると、結構落ち込んじゃうんです。

だから、例えば毎月2〜3万円くらいの支援金があるとすれば、その分生活を良くするというよりは、より良い創作をするための投資をする方がおすすめです。

機材等を買うというのもアリなんですけど、青天井なので、ある程度揃ったら、何か新しい経験をするために使うのがより良いと思います。

創作って技術を身に付けることももちろん大切なんですけど、それよりもその人にしかない面白い視点の方が重要で、それを広げるには良い経験をする必要があるんじゃないかなと。

ーーなるほど、その人にしか書けない作品を書くための投資ということですね。

岸田:あとは、作家とかクリエイターって結局、体力と精神力の安定がものを言うと思っていて。心身のバランスを崩して、帰って来れなくなっちゃったりする方もいらっしゃるので。

だから、心身の健康を保つためのトレーニングやコーチングにお金を使うのも良いと思います。

私の場合は、佐渡島さんやコルクに所属する漫画家さんたちと週一で、仕事関係なく最近どう?って雑談するだけの時間を作っていて、その時間が創作活動を続ける上で本当に大切なんですよね。

ーー確かに一人でずっとエッセイを書き続けていると、それはそれでメンタルがやられてしまいそうです。

岸田:私の創作スタイルは基本的に一人で書き上げるというもので、毎回のエッセイの内容を編集者と一緒に考えるという感じではないから、人となんでもない雑談をする時間は本当に貴重で、大切です。

「こういう内容を書こうと思っています」という相談は、週一で佐渡島さんにしているんですが、その時間も仕事と関係ない雑談をして、私から話を引き出してくれたりするんです。

本当にしんどくて仕方ないときに打ち合わせをスキップしようとしたら、「こういうときこそ雑談しよう、時間が早く過ぎるから」って言ってくれて、「上手いマッサージ屋って、店に入る前の雰囲気だけで分かるよね」って話をしたりとか。

そういう話をしていると、どんどん記憶が引き出されていって、マッサージ屋の雰囲気の話だけでエッセイが一本書けるんですよ。時間と心の余裕を作るのって本当に大事なことです。

ーー今後、クリエイターエコノミーが発展して、個人で活動するクリエイターさんが増えると、一人で活動しているからこその問題に悩む人がより増えそうですね。

岸田:それに関しては、クリエイターの人たちに向けてぜひ伝えたいことがあって。

クリエイターエコノミーって基本的にSNSと結びついていて、クリエイターがお金をもらう人と直接やり取りする場面が多々あると思うんですけど、それをサポートする信頼できるエージェントと契約することを強くおすすめします。

良い作品を書いて、納期もしっかり守って、ビジネスの話まで一人でこなすのって本当に大変だし、何かで失敗したときに親身に相談に乗ってくれる人がいないとメンタルをやられます。

SNSで心ないことを言われて辛い思いをしたとき、すぐカウンセリングの先生や弁護士さんにつないでくれる冷静な人がいるとすごく救われるんですよね。

もちろん一人でやっていける強い人もいるんですけど、そうじゃない人は多少手数料が発生したとしても、そんなの些細に思えるくらいものすごく助かるので、ぜひエージェントを探すと良いと思います。

noteで書くからこそ、短い時間でたくさん書ける

ーー岸田さんは今や作家として多方面で活躍されています。今年10月には3作目の著作を出版されました。これだけ多くの人に岸田さんの文章が届くようになったのは、なぜだと思いますか?

岸田:「こんなにしんどいことを、こうやって面白おかしく書いていいんだ」と思える安心感のようなものがあるからじゃないかなと思っています。

みんな、本当にしんどいときって人に言えないと思うんです。自分で思っている以上に。ただしんどいだけじゃなくて、本当にしんどいときです。

それは、ちょうどいい言葉を見つけられないから、言いたくても言えないんじゃないかと。

私の場合、しんどいんですけど、ギリギリのところで笑えることを探して、なんとか自分の中で腹落ちできたことを、文章にするんです。

それによって、読んだ人に、言葉にできなかったモヤモヤが解けるような感覚というか、前向きに思えるような何かを渡せているのかもしれないなと。

ーー作家として本を出すようになってからは、何か変わりましたか?

岸田:いや、それがほとんど変わっていないんですよ。というのも、私の書籍はnoteで書いたことを編集者さんがまとめてくれているだけで、私はほとんど何もしていないんです。

どの話を入れるかとかも編集者さんが決めてくれて、縦書きにしたときに読みやすいように調整もしてくれたりして。

ーーじゃあ、岸田さんとしては変わらずnoteを書くのが活動の中心なんですね。

岸田:そうなんです。もともとnoteは1〜2週間に一回のペースで書いていたんですが、今は週3本くらいのペースで書いています。

今年の春、母が命を落とすかもしれないような大手術を受けたんですが、その時期の2ヶ月くらいが本当にしんどすぎて、毎日何かを書かずにはいられなくて、母の入院記録をnoteに書いていたんです。『もうあかんわ日記』というタイトルで。

その日のしんどかったことを読者に共有して、一緒に考えてもらったりとか。そのとき、毎日書くことの良さに気づいて、書くペースが上がったんですよね。

*『もうあかんわ日記』は岸田さんの二作目として書籍化されています*

岸田:私が文章を書くときは、4,000〜5,000文字を一時間くらいで書いちゃって、校正もあまりしないんです。

息を吐くように書くし、書く苦しさみたいなものもあまりない。今は3時間くらいかけて書くこともありますが、『もうあかんわ日記』はそれくらいのペースで書いていました。

そういうふうに書けるのは、noteで書いているからでもあると思います。基本的に私のことを知っている人が読んでくれるので、前提の説明を省いていいし、より短い文章で大切なことを伝えられます。

無理にオチを付けなくてもいいし、私がただ悩んでいることを書くだけで面白がってくれる人がいる。「読んでくれる人を楽しませなきゃ」という思って書いていたら、多分ここまで続かなかった気がします。

私のことを応援してくれる読者のことを信用しているからこそ、短い時間でたくさん書けるんです。

ーー岸田さんが文章を書くときは、自分を応援してくれている人に向けて書いているんですね。

岸田:とはいえ、書くときは誰に向けてとかは特に考えず書いているんです。ただ、今まで会ってきた人たちの顔を思い浮かべて、誰かを傷つけないか気をつけながら書くようにはしています。

耳が聞こえなかったあの人が読んだら、シングルマザーだったあの人が読んだら、精神疾患を抱えたあの人が読んだら……と、私が知っている誰かが傷つくなと思ったら、書き方を変えるようにしています。

ただ、私が何かを書くだけで嫌がる人はいて、例えば障害のある人を好きになれないとか、家族と楽しそうにしている人が嫌とか、どうしてもそういう感想は目にします。

誰一人として傷つけない文章を書くのは無理と前向きに諦めているので、もし私の文章が合わない人がいたら他の人の文章を読んでもらえればいいなと思うし、特に怒ったりもしないんです。

だから最近は、「自分にとって良い文章を書ければそれでいいや」と思いながら書いています。

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岸田さんの「無料で読める人気記事」はこちらから。
https://note.kishidanami.com/m/mce65de3854be

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岸田さん3作目のエッセイ『傘のさし方がわからない』発売中。
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