見出し画像

ブランドエンゲージメントの鍵は、チームエンゲージメントにあった!

アートディレクター、金子と申します。

“そのブランドにしか提供できない体験をニュートラルに考え、顧客との強いエンゲージメントをつくること” をコンセプトに掲げた、”ブランドエンゲージメントチーム”に所属しています。

もうちょっと平たくいうと、“ブランドと生活者が両思いになるまでのお膳立て”みたいなことをやってます。

一方通行ではなくなった広告

アートディレクターとして広告代理店2社、デザイン事務所1社の通算10数年になるのですが、広告のお仕事を始めた当初は、グラフィック広告をメインに制作するデザイナーとしてスタートしました。

当時は、「顧客とのエンゲージメント」という言葉を僕個人が実感することは少なかったように思います。つくったものが実際に生活者さんの目に触れる瞬間のリアクションが見れないことは、ちょっと寂しいなと思っていました。

しかし、時代と共に広告媒体も僕の仕事も大きく変わり、今や生活の中心にあるインターネットやSNSによって、自分が携わる仕事についても、生の反応を見て取れるようになり、エンゲージメントを少しリアリティを持って感じることができるようになりました。

インターネットを通して社会・生活者と接点を持って仕事ができるっていいじゃん!と思い、生の反応が返ってくるような仕事を目指し日々取り組んでいます。

脱アートディレクター

そんな僕がアートディレクターとして、どのようにチームに貢献しようとしているかというと、、、アートディレクターということを、一回忘れるようにしています。

広告の仕事はアートディレクションでもデザインでもないコンセプトやインサイト探しの部分から始めることがほとんどです。課題をいただき、混沌としたふにゃふにゃの粘土みたいなところから、アウトプットを形作っていく作業だと思います。

特に現代はアウトプットの形が、サービスであったりPRであったりと様々です。「アートディレクション=絵」の係に縛られない方が柔軟にアイデアが考えられると思っています。

また、初動のふにゃふにゃしたものは、なるべくチームのみんなで「さわってコネて分析して」が良いと思います。その際には肩書きにとらわれない方がお互いに視点が自由になり、自分の考えと混ざり合い良い思考がうまれると思っています。

見る人の舌に合う料理を

クリエイティブの人間なので、個人の志向がむきだしにされたすごい素敵なものや面白いものに対する敬意だったり、自身の制作欲求だったりも、もちろんあります。

しかし課題によってはそれが邪魔になる時があります。肩書きや志向に最初からこだわったあまり、ターゲットに届かないものになるのは避けないといけないと言い聞かせています。

そういう意味でもみんなで一つの粘土をこねるような打ち合わせは、個人の好みだけではないスクリーニングができるという意味で重要だと思います。

TVや、SNSは社会の人たちの好みを知るのにすごく勉強になる媒体だと思っています。

ブランドエンゲージメントの鍵はチームエンゲージメントだった

現代は、僕が広告業界に入った時とは比べ物にならないくらいの情報が溢れかえっています。

クライアントさんが一番近くでブランドや商品を見ている視点からの情報。営業視点からの情報。クリエイティブ視点からの情報。戦略視点からの情報。メディア視点からの情報。さらに言えば、SNSのおかげで生のターゲット視点からの情報まで手に入る時代です。

これらは全てもともと広告の仕事に必要なものだったと思います。その中はヒントであふれています。個人で考えて悶々とした時、同じ部署のチーム内で超えられない壁がある時、少しチームの定義を広げて知恵を寄せ合えばきっと正解に近づくのではと信じています。

ブランドのためにチームが同じ方向を向いて一丸となることがエンゲージメントへの近道になるんだと思います。

[ちょっとブレイク]誤植かと思いますよね。

ここで事例を一つ紹介させてください

ブックオフの本の買取強化キャンペーンのWEB広告です。


本を生き物のように溺愛するおじさんが主人公です。おじさんは本を回収しようとする古紙回収業者に向かって、”本のお散歩ですか?”と歩みより回収トラックの荷台に飛び乗り、連れていかれそうになっていた”本”を助け出します。

よ〜しよしと本を撫でたり頬擦りしたり、”本は優しく開かないと読ませてくれないんです。”と説明したり、食べられそうになっている本を山羊から必死で守ったり。

最後に、“元気な本は売ってほしい”と言うことを泣きながら訴えます。

※本キャンペーンは終了しています。

伝えたいことをひたすらまっすぐに

とにかく伝えたい。ただ本を売って欲しいんじゃないんです。売って欲しいのは”元気な本”なんです。ブックオフには書き込みがある本ややぶけてる本は次に使う人のためにも買い取れないなどの規定もあります。

シンプルで強いメッセージを一言でいきたいところですが、一言に収まらないことも多々あります。一言ですまないんだけど、全部言いたい。インパクトのある言い方で。そこで本を子犬のように溺愛するおじさんキャラクターに代弁してもうことにしました。

やっぱりチームエンゲージメントの賜物でした

この企画も最初は紙ペラに書かれた文字でしたが、クリエイティブやプランニングのみんなでコネコネして、クライアントさんにも笑ってもらいながらコネコネしていただき、制作のみんなや監督が具現化してくれて一本の動画になって、営業やメディアのみんなのおかげで電波にのせてもらって、生活者さんの目に触れて。

さらに広告に対して感想をコメント欄に書くという行為をしてくださった方もいました。

クライアントさん、僕ら、と、たくさんの人でバトンを繋いで生活者さんまでそれを渡して、なんなら生活者さんにも動いてもらう、広告って考えようによっては生活者さんも巻き込んだチームワークの賜物だと思うのです。

SNSの普及で当たり前のようになって来ましたが、生活者さんの反応が見える化されるって僕にとってとてもやりがいにつながっています。怖いこともありますが。

動画ひとつとっても、生活者さんとの接点が持てるのはSNS社会のいところだと思います。ブランドに本来的にエンゲージメントしてもらうインフラがやっと整ったくらいの認識です。

だからこそ、僕はそのインフラを背景に、少しでも機能するアイデアをつくっていきたいと思います。

世の中にその魅力を伝えたい商品やサービスを持っているけれど、なんとなく、どう伝えたら良いかわからないと悩まれている皆さん。ぜひ、お声がけください。まずは、一緒に粘土をこねる作業からお手伝いさせていただきます。

金子義幸 Yoshiyuki Kaneko
アートディレクターとして、広告コミュニケーション全般の企画・制作を担当。表現だけにとどまらず、遊びや体験を生み出せるようなコミュニケーションアイデアを模索しています。

Awards
Canne Lions MEDIA Gold / AD STARS MEDIA Silver / ADFEST DIRECT Finalist / Spikes Asia FILM Bronze / ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS Branded Communication BRONZE / 広告電通賞 / 交通広告グランプリ 企画部門 優秀作品賞

この記事が参加している募集