SOCIAL CONTEXTで、脱旧型広告しちゃいません?
このnoteの結論からお話しします。
このnoteは『自社の商材をちゃんと広告してるのに、前に比べてなんか効果が出づらくなってきたな〜』と悩める人に『SOCIAL CONTEXTで考えてみたら、ちょっといいことあるかもしれませんよ』ということをお伝えするためのnoteです。
社会的意義のある活動、いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals)やCSV(Creating Shared Value)にご興味のある方はもちろん、CSVってなに?EXCELのファイル?と思われた方も、きっと明日の打ち合わせで話せるネタがこの記事のなかにあると思いますので、お時間が許す限りお付き合いくださいませ。
はじめまして、ADKクリエイティブモール”SOCIAL CONTEXT”の下っ端コピーライターの關(せき)と申します。
字むずかしいですよね、これ”関”の旧字体なんです。
門がまえの中にあるのは、糸っぽい字とカンヌキ(鍵)という字で、なんでも昔の門がカンヌキに縄をぐるぐる巻きにして閉めていたいたことから、その様子を表した字だそうです。(諸説あり)
……というやりとりを、人生で3000回くらいしてきました。
名刺交換の場で主役に躍り出て、打ち合わせが進むほど静かになるタイプです。
ええ!?SOCIAL CONTEXTの説明するかと思ったら自分のこと説明しだしちゃったよ!!!と思われたでしょうか?大丈夫です、すでに本題に片足を突っ込んでいるんです。
おそらく、これを読んでくださった方は今後「関さん」にお会いするたび、ちらっと上述のエピソードを思い返すことになります。
その理由は「関」にまつわる発見とストーリーを知ってしまったから。
これまで「よくある苗字」だと認識していたものが、私の自分語りによって「由来を知っているウンチク苗字」に変わってしまったのです。
発見とストーリーによって人の認識や行動を変化させる、これが「CONTEXT」通称”文脈”です。(諸説ありです)
私はすこぶる英語が苦手なので、自分のチームにSOCIAL CONTEXTとかいう横文字ネーミングがついていることに日々疑念を抱いているのですが、”文脈”というものに特化した広告クリエイティブチームがあるのは、素敵なことだなと思っています。
そもそも”文脈”は、広告に限らず多用されてきました。例えばTV通信販売。
通販の基本構成は、
①発見とストーリーの提示
②今だけのおトク
の2段構成が多いですよね。
最新サイクロン式掃除機だろうと羽毛布団だろうと、開発秘話というストーリーや驚く様な実験による発見性が、紹介のなかに含まれていると思います。
セクシービデオを題材とした某人気配信ドラマ、すっぽんぽんな監督の2期はご覧になったでしょうか?
ここでも「ものを売る、人を動かす」ために”文脈”を使ったシーンがありました。
とある浜辺で、主人公が仕事のパートナーにこう投げかけられます。
「この石、あなたならどう売りますか」
少し間をおいて、主人公は語り出します。
「この石は世界中の海を何百年と渡り歩き、この砂浜にようやくたどりついた。世界にひとつだけの石なんですよ」
なんの変哲もない石に、発見とストーリーを付与しているシーンでした。
もうひとつ”文脈”の活用事例といえば、この求人広告がわかりやすいと思います。
The 100 Greatest Advertisements 1852-1958という、アメリカのすごい広告100選にも選ばれたことのある『南極探検隊』への募集広告です。
著作権が心配で画像を載せられないため、こちらの画像検索結果のリンクから該当の広告をご覧くださいませ。
(ご面倒おかけして恐縮です!)
日本語に訳すと、こんなことなようです。
求む男子。
至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。
アーネスト・シャクルトン
ジェンダー意識がいまと違う時代なので、男性向けの公募であることは前置きしつつ、なんてストーリーと発見のあるコピー広告なんでしょうか。
いまでこそ南極の様子は写真や動画を通してよく知られていますが、当時は激寒いこと以外は知られていない、危ない未開の地という認識でした。
しかし、苦難を耐えに耐えた先に、名誉と賞賛を受ける自分が目に浮かんでしまった男子たちが、なんと5千人も応募したというのです。
誰も行きたがらない、宇宙よりも遠い場所だった南極大陸を、踏破を夢見る栄光の大地へと、文脈の力で変えてしまったと言えると思います。
さてさて、”文脈”の有用さについては十二分にお話ができたかと思いますので、わざわざSOCIALとくっつけ、SOCIAL CONTEXTを私たちがご提供する意義をお伝えするために、SOCIALのお話をさせてください。
マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラーは、著書『マーケティング3.0』を記した際に、
ニューウェーブの技術の発達がもたらしたグローバル化が、政治、経済、社会文化的パラドックスを引き起こし、消費者は社会的不安や問題を解決する、ソーシャルグッドな「文化ブランド」を求める。
と書いています。
めちゃくちゃ簡単に言い換えると、ネットの発達でグローバルになった分、他の国の事情もよく見えて、これまで無関心だった社会課題にもみんな興味を持つようになった。ということだと思います。これは私たちの住む日本でも実感のある話ですよね。
これにより消費者に起きた需要の変化を、ちょっと図に書き起こしてみます。
品質と価格という2軸から、
さらに下の図のような社会性(慈善活動や、コーズマーケティングよりも上位である社会問題の解決力)という手前に向かう3軸を加えたなかで、より社会性が高く品質がよいもの、そして価格が低いものからときには高いものまで選ぶように変わりました。たとえ値段が高くても、自己実現(こんな自分でありたい)を叶えられるなら、高い金額でも払いたい!という人が増えているというのです。
この黄色いスペースが、今の時代の需要ゾーンのイメージです。
ここがまさに、このnoteのおヘソとなる部分でして、もしも貴社でいま出している広告が「品質」と「価格」の話だけをしているものならば、必然的に広告効果は落ちていきます。なぜなら世の中ではすでに始まっている2軸を超えた3軸目の社会性の競争に乗り遅れているからです。
いやいや、もうウチではCSRとかちゃんとやってるし関係ないよ。と思われたそこの方、待ってください。競合優位性を持つ社会性はCSRよりCSVのほうがいいかも、というのが昨今のトレンドなんです。
私の嫌いな横文字が増えてきたので今一度整理します。
CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業の社会的責任と言われている、企業の利益を社会に還元する行為です。
一方 CSV(Creating Shared Value)は、共通価値の創造と言われている、社会の課題を解決と同時に事業活動を経済的に拡張させる(=営利をもたらす)良い事づくめな取り組みです。
CSV自体は2011年にハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授とマーク・R・クラマー氏が2011年に発表した論文から提唱され始めたものですが、今となっては名だたるグローバル企業が実践する"営利を得られる社会貢献"となっています。CSRとCSVの比較図解をするとこんなイメージかと思われます。
このCSVは地域社会の課題解決が重要であり、SDGsとも密接な関係を持っている。つまり、昨今のトレンドであるSDGs対応を会社の義務から会社の成長戦略に進化させるのがCSVなのです。
長々とSocialの説明としてCSRやCSVについてお話ししましたが、私どもがご提案するSOCIAL CONTEXTはまさにCSVと考え方を共にしています。Social(社会性という競争軸)にContext(貴社の商品が繋がる文脈)を見出すことを専門としたチームなのです。
さて、じゃあ実際にどんな施策がそれに該当すんねん。と思われたでしょうか。二つ、該当事例をご紹介したいと思います。
一つ目は海外のピザ配達企業が実施した『Paving for Pizza』というキャンペーンです。著作権の都合でこちらの画像検索結果のリンクから該当施策をご確認ください。
このキャンペーンを一言で説明しますと『宅配ピザ屋として、凸凹な道は綺麗なピザを運べなくて困っちゃうので、勝手に舗装しちゃいました』という企画です。
地域の社会課題である「荒れた道路」を解決しながら、自社の「ピザ配達に込める熱い想い」を上手な文脈で伝えている事例だと思います。
つづいて二つ目。こちらは世の中のCxO層(偉い人たち)の、女性に対する偏見をなくすキャンペーンとして、カンヌライオンズという海外のクリエイティブ賞が主催するアイデアコンペティションで私が提案した企画です。
(英字表記なのはそのためです)
一言で申しますと、女性はゲームチェンジャー(世の中を大きくいい方向へ変える人)になり得ることを、男ばかりの世界である将棋の盤上で示すために、女の将駒"女将(おかみ)"を作ってしまおうというアイデアです。
お題である女性のエンパワーメントからの発想でしたので、いわゆるクライアントワークとは逆の発想順序ではありましたが、仮に国内の将棋団体のどこかをクライアントとしたならば、SDGs"ジェンダーの平等"の取り組みとして、将棋の文脈を生かしながら実施できるSOCIAL CONTEXTな企画だと思います。
この記事をお読みの方で、将棋関係の方がいらっしゃいましたらぜひ実施させてくださいませ!
このnoteの総括です。SOCIAL CONTEXTとは、貴社の商材から発見とストーリーの文脈を掘り起こして、品質価格に次ぐ第三の競争軸"社会性"を持たせながら、世の中に伝えていく広告のワザです。
我々のチームではメンバーそれぞれの視点でこのワザを駆使しています。私の場合は15年来のアニメオタクだったり、SNSバズ事例の法則研究が好きだったりするので、"商品×社会性×IPコンテンツ"や"商品×社会性×話題化"といった、さらなる付加価値をご提案に入れられるよう心がけています。
「さいきん広告がなんか効かないんだよな」というお悩みがありましたら、ぜひ下記サイトよりお声がけくださいませ。チーム一同、それぞれの視点から精一杯考え抜かせていただきます!
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