時代に翻弄→自由なおじさんへ!#おじさんのキャリア(キャリコンサロン編集部#21)
今週のテーマは「おじキャリ」、つまり #おじさんのキャリア ということで、カイシャで見た、人事から見ていた「カイシャのおじさん」のことについて書きたいと思います。
(私自身が子育て真っただ中ですが、子育てから切れ目なくセカンドキャリアをどうするか、という「おばさんのキャリア」については、改めて書きたいと思います)
まずは、おじさんを翻弄する法律のおさらい
カイシャのおじさんのキャリアは、「高年齢者雇用安定法」の歴史と一体のようです。
近年の同法の歴史を振り返ると、
となっており、2000年以降の法改正は、国による「年金支給開始年齢の繰り上げ」と関係があります。
それまでは60歳になると「基礎年金部分(定額部分)」と「比例報酬部分」の、いわゆる「2階建て」で支払われていた年金が、
2001年から段階的に、まずは基礎年金部分の支給開始年齢を引き上げることで、2013年には、すべての人が65歳になるまで基礎年金部分はもらえなくなり、
次に比例報酬部分の支給開始年齢を段階的に引き上げることで、
2025年には、すべての人が65歳になるまで比例報酬部分ももらえなくなる
(つまり、65歳になってやっと年金が支給される)
こととなるため、60歳定年後→65歳年金受給までの空白期間について、国は企業側に雇用義務を課すことで、舵取りをしてきました。
(画像出典:くらしすと)
翻弄されたカイシャのおじさん
再雇用制度導入期といいましょうか、65歳までの雇用が義務となった2006年前後でも、カイシャもまだもおじさんの扱い、おじさんの活かし方が分からず戸惑っているようなところがありました。
そのため同じ仕事をさせるわけにもいかないのか、製造で40年がんばってきたおじさんをいきなり管理部門に配置、そのおじさんはある日私の隣の席にやってきました。
上司もそのおじさんに与える仕事をどうするか分からなかったらしく、おじさんは日々何もすることがなく暇そうにしており、気の毒だなと感じていました。
年下の私から仕事をふるわけにもいかず、見て見ぬふりをしていたのを覚えています。
おじさんはその後、再雇用契約を更新せずに1年で去っていきました。
また、それまでは、「定年退職するおじさん」対しては、長年苦楽を共にしてくれたことに対して、役員から感謝の言葉をもらったり、社員も敬意を払っていたと思うのですが、
2010年頃になると、60歳という年になってもおじさんはそのまま職場にいる光景がよく見られるようになりました。そのため、「定年までお疲れ様でした!」と全社をあげて祝福?された空気の中で、華々しく会社を去ることはなくなり、
何もなかったように定年から再雇用契約に移り、契約満了後はこじんまりとした送別のもと、職場からいなくなるという光景に変わっていったように思います。
新卒で入社して会社と共に40年近く人生を歩んできたおじさんにとって、再雇用後は自分がどんなポストで、どんな仕事をして、どんな風に組織の中でいられるか、どんな気持ちで会社を去る日がくるのか、この間ものすごく、気持ちが揺れているのだろうな…と、おじさんの心を覗いては思いを寄せることしかできませんでした。
あの時のおじさんを、これ以上作らないために…
そんな私が第1子出産後、復職して初めに与えられたミッションは、「再雇用制度の再構築」でした。
法律の施行まであと2か月を切っていました。
この間、年金や雇用に関する法制度、シニア人材活用のベンチマーク、自社の制度の問題点を猛勉強。
制度に翻弄され、声をかけることができなかったあの時のおじさんの顔が浮かんできて、いい制度、いい環境を作りたいという気持ちでした。
もうすぐ再雇用を控えている定年前のおじさんたちからも、「年金も出ないのに今の給与体系で俺たちは一体どうなるんだ」、と不安の声があちこちで上がっていました。
これまでの、
「カイシャに残りたかったら残ってもいいですよ、でも給与は半分以下ですよ」というスタンスから、おじさんの能力と意欲に合わせたコースを用意し、制度として導入しました。
大手や先進企業のような、時代の先を行く制度ではありませんでしたが、「どのコースで働くのか」だけでなく、セカンドライフ、セカンドキャリアについて真剣に考えてもらうことこそが重要であるとの思いから、
会社で初めて、シニアの方(50歳以上)を対象として、
環境変化や法律の理解、自社の方針と新しい人事制度の概要だけでなく、
年金制度の理解とライフプラン(お金と人生計画)の理解、セカンドライフ研修による自己のたな卸しと今後のキャリア、生き方プラン
をまで含む総合的な研修を行いました。
自分の将来の生活、働き方をどうするかというのは、生き方を見直すことでもあり、すぐに答えがでるようなものではありません。
だからこそ、これからじっくりと考えてもらうためにも、企画運営には相当なエネルギーを費やしましたが、丁寧に、かつ熱くやりたいと思いました。
(当時はできませんでしたが、さらに一人ひとりのキャリア面談(外部コンサル)まであるとなおいいですね)
未来を語るおじさんは、ステキだった☆彡
50歳前後というのは、
など、一人ひとり違うキャリア、違うモチベーションでいると思いますが、共通しているのは、「家族のために」、「必死に食らいついて働いている」ことだと思います。
そして私から見ると
そんなおじさんたちは、研修を通して環境変化を理解し、これから年金や自社の報酬がどうなるのかを理解し、このまま終わっていいのかと危機感を抱きつつも、自分のことをたくさんたくさん語ってくれました。
これまでの仕事の業績、自慢話はもちろん、
普段言えないようなこと、実はこんなことやってみたいんだという思い。
同じ世代の方が共有する苦労や喜び、危機感、夢…。
その時のおじさんのキラキラした顔は今でも忘れられません。
一連の研修が終わると、普段は厳しいことばかり言う一人のおじさんから、「制度の理解とか知識以上に、期待以上の研修だった。こんな研修を僕ら世代にやってくれるというのが驚いた。本当にありがとう。」との声をいただきました。
そういえば、若手や管理者層への階層別研修はあっても、おじさんという世代への研修はこれまでなく、カイシャを挙げてこの世代に研修をすること自体が、モチベーションになったというのは驚きでした。
あれから時は過ぎ、2021年4月から企業に対し、70歳までの雇用の努力義務が課されました。国としてもおじさんのフリーランスでの働き方を支援するなど、新しいカタチが広がっています。
50歳と言わず、40代のうちにセカンドライフを考えるおじさんも増えてきました。
時代に翻弄され、仕方なくと諦めるのではなく、
社会や会社への貢献の仕方をもう1度自分なりに考え、「家族のために」、から本当の意味で自己を解放して自由になって、
いつまでも熱く夢語るおじさんを応援したいと思います。
この記事は、キャリコンサロン編集部として掲載しています。
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