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タイプ別【東洋思想】の学び方

チャイナに存在した、
唯一の女帝が則天武后(武則天)。

この則天の撰による『臣軌』という本がある。

臣軌とは、臣下が持つべき軌法、
即ち皇帝に仕える者の心得のこと。

にしてを用ふるは、
にしてを用ふるにかず」

『帝範・臣軌』

この意味は、

智略に優れているが
私心の強い者は、

愚鈍であるものの
公廉公正で潔白な者に及ばないということ。

賢くて自分勝手な部下よりも、
愚かとはいえ公正な部下のほうが良い
と。

賢い人は、組織を興し、国を興す。

同時に会社をつぶし、国をつぶす。

平凡な人は、興しもしない
代わりにつぶしもしない。

賢い人は非常に危険。
賢い人は独断專行をやる。

それでうまくいかない。

失敗する人には「私」がある。
成功する人には「私」がない。

一国の首相や組織のトップとなる人は、
全く私心のない人でないとうまくいかない。

「松下幸之助研究」

「賢い人は非常に危険である、
組織を伸ばしを潰しもするからだ」


松下翁も異口同音に警鐘を鳴らす。

この言葉には、

組織の人事に於いて極めて
重要な視点が込められている。

これを四元論で考えてみる。

縦軸の上が「公」、下が「私」、
横軸の右が「智」、左が「愚」。

四マスでは、
(1)右上=公智、(2)左上=公愚、
(3)左下=私愚、(4)右下=私智。

これら四タイプを説明すれば下記のようになる。

(1)「公智」〜最も理想的〜
能力が高くて性格が公明正大なタイプ

(2)「公愚」〜皆から好かれる〜
能力は低いが性格が公正穏和なタイプ

(3)「私愚」〜頭数にしかならない〜
能力が低くて自分のことしか考えないタイプ

(4)「私智」〜賢い人は非常に危険〜
能力は高いが独断専行をやってしまうタイプ

また各タイプの注意事項は以下の通り☝️

(1)能力優秀にして人格公平な「公智タイプ」

完成度は高いが、現状に満足し、
こじんまりした人物で終わらぬよう、

更なる脱皮を忘れず研鑽すべし。

(2)能力は低いが性格円満な「公愚タイプ」

凡庸ないい人止まりで終わらぬよう、
智恵と能力をしっかり磨くべし。

(3)能力が低くて自分事ばかり考える「私愚タイプ」

未熟な状態で終わらぬよう、

人の役に立つ利他の喜びを意識し、
小さな約束や時間を守るよう努め

まずは細事から信頼される人間になるべし。

(4)能力は優秀だが私心が強く
独断専行をやらかしてしまう「私智タイプ」

自分勝手に能力を発揮するほど
トラブルメーカーで終わっていた過去を反省し、

上下に謙虚な親分肌の器量を養い、
身に備わった才能を滅私奉公に活かすべし。

【問答】あなたが社長なら

新卒10年目の「私愚」
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◆ 東洋思想のタイプ別人物育成法◆

四元図「公智・公愚・私愚・私智」と
レベルに合わせた学び方

更に、四タイプそれぞれが学ぶべき
タイプ別フェーズ別の学習がある。

4タイプそれぞれに必要となる
東洋思想を“処方”していく。

(1)「智」にして「公」

→指導者の在り方を諭す吉田松陰、易経
陽明学、佐藤一斎、安岡教学、武士道
古事記、日本書紀、旧事紀など神話神学

(2)「愚」にして「公」

→勝利するための知恵を教える
韓非子(法家)、孫子(兵家)

(3)「愚」にして「私」

→初心者の就業心得がまとめられている
聖徳太子の「十七条憲法」
二宮尊徳の入門的な倫理道徳

(4)「智」にして「私」

→徳や義の大切さを教える「論語(儒家)」
器量や包容力の必要性を教える「老子(道家)」
私心を削ぎ落とし利他に生きる「仏教」

聖徳太子曰く、
「人の道に段飛ばし無し」

明治以来の教育は、
国民を平均化させる性格を持った。

近代国家建設のため、国民の
資質・能力を揃える必要があったのだ。

「並になれ」という圧力が漂う。

そして、この平均化教育と
西欧的な個人主義が相俟って、

指導者の小粒化
中間層の個人主義化が進み

自己中心的な私愚タイプや
私智タイプが増えてしまった。

東洋のあり方(智)を
西洋のやり方(知)で
伝えるところに無理がある(笑)

しかし、希望はある。

公智タイプは基本的に
どの国でも尊敬されており、

「人物育成」において

目指すべき方向であることに
間違いはないからだ。

だからこそ、必要となるのは、

現在地の意識と能力のレベルに応じて、
着実な成長を目指す綜合教育である。

「私」を「公」へ(意識レベル)
「愚」を「智」へ(能力レベル)

私愚タイプを公愚タイプへ、

公愚タイプや私智タイプを
公智タイプへ高めていくのが、

「高徳への道」となる。

そのため、人に学問を勧める際には
それぞれの人に応じた方法を採る可し。

聖徳太子『通蒙憲法・第十四條』に曰く、

私に背き公に向かう
是れ大徳の道なり」

さて、妬みや蔑み、怨みや怒りなどの
陰の感情が渦巻く人間社会を見ると、

人類の精神レベルは、
随分未熟で低い段階にあるとしか言えない。

地球人類は、
まだ発展途上にあるというわけだ。

その中にあって、公意識のある者は

絶望も深いだろうが
決して気持ちを折ることなく、

世界のお手本となるよう努める可し。

そうして、正直者が損をせず、
真面目な者が報われる世の中をつくり

人の為に励むほど幸せになり、
世の為に働くほど成功するという、

本来の世界を
共に創りたいものである。

本来は人の集まりにおいても国においても
中心ミナカにいくほど私我が小さくなっていくのが

「日本的組織の基本形(クミ)」である。

企業もそうであり、

徳の高い経営をしている会社ほど、
幹部より役員、役員より社長の方が、

公徳に生きる公智タイプとなるものだ。

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