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🇧🇹ブータンの殺生観と日本の「いただきます」

ブータンは敬虔なチベット仏教徒が多い。
そしてチベット仏教には殺生を禁じる戒律があるので、ブータンの人々は無用な殺生を好まない。

また、ブータンの人々は輪廻転生をとても重んじている。
だから彼らは身近な人が亡くなったら、周囲の動物に生まれ変わっているかもしれないと考えている。

この殺生観と輪廻転生の2つの考えがあるからブータンの人々は家畜はおろかハエや蚊であっても殺さない。

・・・これはガイドのSさんに聞いた話だ。

「え、ちょっと待って、でも肉食べるよね?」
といじわるな質問をする僕。だってローカルレストランで肉食べたんだもん。

ー食べるのは問題ないです。殺さなければ。

「え、ちょっと待って、でも肉売ってるよね?」
だってスーパーマーケットでベーコンやらソーセージやらめっちゃ売ってたの見たもん。それって家畜を殺してるってことでしょ。

ーあれは海外からの輸入品です。自分たちでは殺してないから大丈夫です。

・・・屁理屈ブータン人め!とちょっと思ってしまう。

ーあと、自然死した動物を食べるのも問題ありません。

なんかもうわけがわからない。
肉食べたいがゆえの言い訳にも聞こえてきた。

でもしばらく考えていたら彼らの思想が少しわかったような気がした。

つまり、他国で殺された豚であっても、自国で自然死した牛であっても、
命がなくなってしまったことに変わりはない。
であれば、その命を敬い、無駄にしないために食べて自分たちの命を繋げていく。
なんというか、日本の「いただきます」の究極系なのかもしれないと思うとすとんと腑に落ちた。

そういえば、ブータン行く前に読んだ「未来国家ブータン」に興味深い記述があった。
ブータンの東部には「魚葬」の文化が残っているらしい。
あんまり想像したくないのだけれど、亡くなった人を魚に食わせるというものだ。
これも彼らの殺生観の表れなのかもしれない。


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