かず | 旅のフラグメント
July 2024
August 2024
自己紹介はじめまして。 都内に住む会社員のかずと申します。 美しいものを見つけたり感じたりすることが好きです。 noteでは、主にそんな僕の心の琴線に触れた旅の記憶のフラグメント<破片>を紡いでいこうと思っています。 投稿内容旅は国内国外関わらずですが、役に立つ情報というよりも、旅の空気を感じ取っていただけるようなものを以下の方向性で書きたいと思っています。 ①1つの記事は500~1,000文字前後 自分自身も書きやすく、また読み手の方にもさらっと読んでいただけるよう
初めて訪れる国では、マイルールがある。 いや、ルールというほど大したものではないのだけれど、それはその土地の骨董屋に行くことだ。 古いものに惹かれる。 その土地の歴史を刻んだモノたちの佇まいは美しい。 そしてそれらに触れることでその土地の新参者である僕もその土地と深く繋がれる気がするのだ。 そんなわけで、スリランカでは、世界遺産の街ゴールにいるときに骨董屋を探すことにした。 今の時代は便利なので、ネットで調べればある程度の情報は手に入る。 ネット上で僕は1つ気になる骨董屋
(眩しい・・あれ・・ここはどこだっけ。天国?) プナカの日が沈む。 明かりもなく、何も見えない。 砂利道を進む僕を乗せた車の音が闇に消えていく。 ごおっという水の流れる音だけが川の存在を感じさせる。 やがて、1つの建物の前で車がとまる。 建物から人が出てくる。僕は車から降り、その人たちの元へ近づく。 そうここは今夜のホテルだ。 出迎えてくれたスタッフが優しい口調で挨拶をし、建物の中へと促す。 案内されて大きな門をくぐって石畳の外庭を進むと、木とガラスのコントラストが美し
ブータンの首都ティンプーからドチュラ峠を抜けて古都プナカへ向かう。 車酔いしやすい僕にとってブータンでの移動はなかなかつらいものがある。 街を移動する場合は大抵山を越えなければならないからだ。 ぐねぐねとうねる道の連続に僕の救世主センパアも完全に酔いを抑え込むことができない。 この道に慣れているブータン人にとって車酔いという概念がないのだろうか、グロッキーな僕に構わず話かけてくる。 でもごめん、全然頭に入ってこないよ。 車に乗って4~5時間ほど経ったころだろうか、窓に体を
ブータンは敬虔なチベット仏教徒が多い。 そしてチベット仏教には殺生を禁じる戒律があるので、ブータンの人々は無用な殺生を好まない。 また、ブータンの人々は輪廻転生をとても重んじている。 だから彼らは身近な人が亡くなったら、周囲の動物に生まれ変わっているかもしれないと考えている。 この殺生観と輪廻転生の2つの考えがあるからブータンの人々は家畜はおろかハエや蚊であっても殺さない。 ・・・これはガイドのSさんに聞いた話だ。 「え、ちょっと待って、でも肉食べるよね?」 といじわ
ブータンでは必ずガイドを付ける必要があり、空港に着いたらまず同行してくれるガイドとまず落ち合う。 山々に囲まれた美しい空港に名残惜しさを感じながら空港を出ると、何名かのガイドらしき人が待機していた。 オフシーズンだからか人はまばらで、僕はすぐに僕のネームプレートを持っている女性を見つけることができた。 手を振ると向こうも気付いて手を振り返してくれる。 近づいてびっくりする。日本人そっくりだ。 民族衣装キラを着ていることだけが、唯一彼女をブータン人だと識別する方法に思える。
ブータンへは直行便がない。 だから、どこかの国を経由する必要があるのだけど、一般的なのはタイ経由だろう。 僕もタイのスワンナプーム空港でのトランジットにした。 ここで今回のフライトスケジュールを確認してみる。 羽田からスワンナプームまではANAで、到着予定は4時35分 スワンナプームからブータンのパロ空港まではブータンエアラインズで、出発予定は6時30分 そのため乗り継ぎの時間は2時間弱。 受付終了は1時間前なので実質1時間弱だ。 ちなみにANAとブータンエアラインズはバ
ルヌガンガという言葉は神秘的であり力強いうねりのようなものを感じる。 シンハラ語で塩の川という意味らしい。 それは偉大な建築家ジェフリー・バワが週末に過ごした別荘につけられた名だ。 長い年月をかけ作られ、バワの未完の理想郷とも言われる。 うだるような暑さの日にそのルヌガンガを訪れた。 照りつける太陽が肌を焦がし、噴き出す汗が顔を伝う。 塩の川という名前はこの生理現象を指しているのではないかと思ったほどだ。 しかし、木々に囲まれた大きな門をくぐり、敷地に足を踏み入れるとふ
「台北にも家あるから遊びにおいでよ」 最近仲良くなった日台で芸能の仕事をしている日台ミックスのYくん。 あ、じゃあ行くわ、と2つ返事で台湾に行くことにした。 急遽決まったこともあり、2泊3日の弾丸、しかも深夜便だ。 Yくんは別便で現地で落ち合うことになった。 ヨーヨーカードという台湾版SUICAをこれ使っていいよ、と事前に渡してくれたり、とにかくいいやつなのだYくんは。 Yくんは2週間ほど台北に滞在するのだが、彼は遊びではなく仕事。 忙しいのにも関わらず、僕が滞在中、仕事
いや、普通に考えれば別におかしいことじゃない。 日本人だってみんながみんな抹茶好きなわけではないのだから。 そんなわけで僕のガイドのスリランカ人Mさんは紅茶があまり好きではないのだそう。 最初聞いたときは信じられず、 え、じゃあ何飲むの?と間抜けな質問をする僕に 「コーヒーです」 そんなの当たり前だろと言わんばかりに返される。 ・・・すみません。 「ちょっとお茶しましょう」 ダンブッラへ向かう途中でMさんの提案でカフェに入る。 「ここのコーヒーは結構美味しいです」 実は紅
世界遺産の街ゴールで気になる建物を見つけた。 コロニアル様式の白い建物で、中にはたくさんの本が見える。 ただ、門は閉まっているし、看板もないので観光地ではないのかもしれない。 「見たいですか?聞いてきます」とガイドのMさん。 こちらの答える前に中にすたすた入っていった。 すぐに戻ってきて「大丈夫です、入りましょう」と。 一般には公開されていない場所のようだったが、さすがMさん。 中に入ると、スリランカ人の女性が声をかけてくる。 「こんにちは、ここは歴史図書館よ、スリランカ
コロンボの北にあるビーチリゾート、ネゴンボ。 このネゴンボのビーチはゴールデン・ビーチと呼ばれているそうだ。 確かにビーチの砂はやや赤みを帯びた黄色といった感じで日本のビーチの砂とは異なった美しさがある。 とはいえ、ゴールデンとは言うには物足りない気がする。 しかし、太陽が落ちてきて、空を染めはじめる頃、その意味が分かった。 太陽はまだ眠りたくないとでも言うように大きさを増し、色を黄金に変える。 その黄金の太陽によって海も砂も黄金に輝く。 まさにゴールデン・ビーチだ。 ゴー
スリランカにきて思ってたほどいなかったもの 猫、G スリランカにきて思ってた通りにいるもの 蚊 スリランカにきて思ってた以上にいるもの 牛、猿、犬 そうなのだ。 とにかく野良犬が多い。 街を歩けばそこら中にいるし、 道路の真ん中で寝ているし、 ビーチに行くと仲間で追いかけっこをしている。 海外で出くわす野良犬は注意しなきゃいけない、それは実際にそうだと思うし、むやみに触らない方がいい。 しかし、スリランカで見る彼らは一様に穏やかで優しい目をしている。 十分な食事があ
スリランカの旅を通じて好きだった光景がある。 それは掃除だ。 この旅は、ジェフリー・バワのホテルを巡ることが一つの目的だった。 バワ建築と言えば「境界なき建築」であり、「外」と「内」がない。 つまり外たる自然が内たる建築に侵入することを許す。 スコールが多く、海岸沿いは風もあるので、夜が明けると落ち葉が敷地内に散乱していることに気付く。 これはバワ建築の宿命なのだ。 そしてこの落ち葉を掃除するのがバワ建築で働くホテルスタッフの朝の日課なのであろう。 サロンを巻いた男たち(
成田からおよそ9時間のフライトを経て、スリランカのバンダラナイケ国際空港に到着する。 飛行機から降りた瞬間のその国、その土地の匂いが鼻腔を捉える瞬間が好きだ。 スリランカのむわっとした空気が日本から連れてきた空気を飲み込む。 荷物を受け取って、両替をして、到着ロビーに進むと、一瞬たじろいだ。 ゲートの外にびっくりするほどたくさんの人がプレートを掲げて声をあげていたからだ。 スーパースターは毎回こんな気分なのだろうかと想像しながら、すぐさま彼らが迎えだと気づく。 かく言う僕
スリランカという国に行ってみたいと初めて思ったのはいつだったか。 雑誌でジェフリー・バワの美しい森の建築を見たときだろうか。 日本と同じ島国の国をなんとなく調べていたときだろうか。 あるいは、四谷のスリランカ料理店に友人と行ったときだったかもしれない。 とにかくいつか行ってみたいと思っていて、少しいとまができたので、行ってみることにした。 海外に旅に行くとき、マイルールがある。 それは旅に出る前に、最低限その国の歴史を知っておくというものだ。 そのルールにしたがって僕はス