🇱🇰サファイアの煌めき
小さなころ、新聞の折込みチラシが好きだった。
特に好きだったのは宝石屋のそれだ。
ダイヤモンド、ルビー、サファイア、オパール・・・様々な石がプリントされたチラシはまるで宝箱のようで、夢中になって眺めていた。
気に行った宝石を見つけてはペンで丸印をつけて母に見せながら言った。
「大人になったらこれ買ってあげるねー!」
それから今の今まで宝石に縁はなかった。
自分で身に着けることもなかったし、誰かにプレゼントすることもなかった。
もちろん新聞ももう取ってはいないのだ。
ところで、スリランカは宝石の産出地として有名だ。
ダイヤモンド以外の宝石は大体採れるそうだ。
スリランカは「聖なる輝く島」という意味だが、宝石が取れることもきっと由来になっているのだと思う。
中でもその高い品質で有名なのがブルーサファイア。
紫がかった澄んだブルーは希少で価値も高い。
そして奇しくも僕の誕生石はサファイアだ。
だから、今回の旅では宝石屋を回るプランを実行した。
コロンボやゴールにある宝石屋をリサーチして見て回ってみた。
初めて、しかも海外の宝石屋だ、きっとおどおどしていたに違いない。
見るだけと思って入ったのに、シアタールームに連れていかれて宝石の映像を見せられたり、頼んでもいないのに紅茶とお菓子が出てきたりカモにされないか、いや、ここから生きて帰れるのか気が気でなかった。
もちろんそんなことは杞憂で、きっちり自分の予算や好みの色や形を伝えれば、それにかなった宝石を丁寧に見せてくれる。
僕はやっぱりサファイアが欲しかったからたくさんのサファイアを見せてもらった。
さすがサファイアの国、色とりどりの美しいサファイアに子供のころのわくわくが蘇る。
とはいえ真贋はもちろん、品質もわからないので、最終的には直感で気に入ったものを「えいやっ」で選ぶのみである。
そう、大切なのは決断である。
そうして最終的に僕はグリーン、淡いブルー、濃いブルー、3つサファイアを購入した。
初めて手にした宝石は子どもの頃にチラシで見たものより随分と小さいけれどやっと母との約束を果たせそうだ。