見出し画像

受験指導とペアワーク~思考と言語化~

高校3年生の担当をしていると、よくこのようなお話を耳にします。
「受験生はペアワークなんてやってる暇はない」
「講義型で予備校もやっているし、学校でも講義一択だ」
実際のところ、受験という差し迫った目標を持つ生徒を対象にする場合、
ペアワークやルーブリック提示型学習を行わなくても、
生徒は常に「受験問題の解答に役立つか」「模試での正答率に好影響があるか」などの視点で、自分の学習と効果を常に検証し続けるサイクルに入っているので、
無理にペアワークなどを入れなくても高い学習モチベーションや気付きを生み出す授業が可能です。

その中でも、ペアワークを入れることで受験問題指導や長文指導において学習効果を増す手法もあります。

キーワードは「思考と言語化」です。

先日、勤務校での夏期講座において、長文読解における日本語での記述問題を練習する講座を担当しました。
オーソドックスに進めるのであれば、
①段落構造やパラグラフリーディングに注目させ、マクロ・ミクロの視点で読解を進める
②設問については、どこに着目すれば解答がまとめられるといったことを解説する
③設問の解答に必要な語彙・語法・文法について解説する
といったことが指導内容となります。

今回はこれらを軸にしながらも、
以下のような「約束事」を講座開講時に確認しました。

当講座においては、
全ての設問について自分が考えたことを「口頭+文字情報」で言語化し、
ペアで説明し合うことを求めるというのをルール化しました。
これにより、「なんとなく解答する」ことから離れ、
予習段階から根拠を探し出し、それを説得力ある形で言語化することを強く求めることができました。

以下は設問例です。(東大過去問・Cutting Edge2022 Orange Chapter18より抜粋)

①オレンジのパートを共有する ②青文字のところはペアワークが終わった後に解答例として共有する

学習効果の検証までは至りませんが、
少なくともペアワーク時には熱心に伝え合い、相手の意見を聞いて自分の解答を修正しようとする生徒がいるなど、
まさに高い次元での「学び合い」が発生しているように見えました。

「生徒が学ぶこと」をゴールとするならば、
ただ知識を伝達するのではなく、
自己の考えを明確に「言語化」する機会を多く与えていくことは有効な指導方法となるはずです。
そしてその機会により、自分が「言語化できない箇所」が浮かび上がり、
その後の知識を受け取る機会(≒講義)に対して視点が明確になり、積極的になるという好循環も期待できます。

受験期こそ、深い言語化の機会を与えてみませんか?


本日もありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!