『わたしの兄の本』と他3冊を読んで、モーリス・センダックに迫る
昨日の絵本を借りる際に、センダック最後の作品となった本も一緒に借りてきました。
モーリス・センダックが絵本作家になったきっかけが、児童文学作家だった兄ジャック・センダックの2作品に挿絵を描いたことだそう。その後『かいじゅうたちのいるところ』でコルデット賞を受賞し、日本でも有名に。
『わたしの兄の本』は亡き兄ジャックとの再会を希う想いの最後の表明といわれるおとぎ話らしいのですが…まずはモーリスの絵本2冊と、兄との共著『とてもとてもサーカスなフロラ』を読みました。
少しあらすじと感想を。
『まよなかのだいどころ』
さく/モーリス・センダック
やく/じんぐう てるお
発行所/冨山房(1982年)
『ピエールとライオン』
ためになるおはなし はじまりのうたといつつのまき
さく/モーリス・センダック
やく/じんぐう てるお
発行所/冨山房(1986年)
『とてもとてもサーカスなフロラ』
文/ジャック・センダック
絵/モーリス・センダック
訳/江國香織
発行所/集英社(2017年)
さて、彼の遺作となる
『わたしの兄の本』
著/モーリス・センダック
訳/柴田元幸
出版所/集英社(2017年)
すごく抽象的で幻想的な絵と、詩のような文章。
今まで見てきた絵本とはまったく違いました。
表紙カバー裏の解説、序文からして難解です…。
とりあえず、センダックがシェイクスピアの『冬物語』に影響を受けていることが分かったので、ウィキってみました。(知らんのかい笑、これまた面白そうな喜劇)
さらに集英社さんのHPによると、
詩人であり画家であるウイリアム・ブレイク(これも無知なものでウィキる)の子孫といわれると、この本での表現にそのルーツが窺えるような気がしました。そしてもう一度読み返すと、断片的に『冬物語』が絵としてイメージとしてこの本に取り込まれ、組み込まれている感じも納得でした。
ことばにならない愛する人への想い
生と死を意識した魂のメッセージ
それによってこの作品が出来上がったような気がします。
晩年のセンダックは絵本作家ではなく、詩人・画家として命を削って作られた作品を別れの詩として残されたんだなぁと感じました。