母と空港と牛乳─ホノルルマラソン完走より難しい旅の始まり
ホノルルマラソンに参加するため、家族で空港にやってきました。
チェックインカウンターの列に並んでたら、もう母が何かと騒がしい💦
まず目に入ったのが母のキャリーケース。よーく見ると、南京錠がついてるんです。でもそれ、普通の南京錠。TSAロックじゃないとダメって聞いたことありますよね?
「これ普通の南京錠やけど大丈夫なん?TSAロックじゃないやん」って母に聞いたら、びっくりした顔でこう言うんです。
「えっ!これキャリーカート貸してくれた友達がくれた南京錠だけど、ダメなの!? どうしよう!」
いやいやいや、なんで友達がくれたものにそんな絶対的な信頼を置いてるんですか。なんなんですか、その友達への過剰な信用は。結局、私が南京錠を外しました。
で、その次。
「おみかん持ってきたんだけど、持ち込めるかな?」って聞いてくるんです。
いやいや、農産物ですよ?それは無理でしょう。
「無理だと思うよ」って答えたら、「えー、じゃあ食べなきゃいけない!」って慌ててるんです。
で、「白いスジまで取りたいけど、そこは諦めるわ!」って、そんなとこ詳しく伝えなくていいから。
いや、そもそも空港に来る前にその判断をしておいてくれ、と。
不満そうな母、次の質問ですよ。
「牛乳のパック、持ち込める?」
いや、もう想像しただけでアウトな感じしません?「いや、多分水分系は厳しいから無理やろ」って答えたら、母がまたこう言うんです。
「密封されてるのに!なんで?じゃあ、係の人に聞いてみるわ!」
私の説明に納得してない。
いやいやいや、もう係の人を巻き込まんといてくれ。そんなに牛乳を連れて行きたいんか、と。
そして次に登場したのが「おかき」。
「おかきはどう?」って聞いてきたとき、さすがに私のメンタルがもう、無理でしたね。無視して、聞こえないふり。
無視してたら「濡れおかきもあるんやけど?」
いやいや、「濡れおかき」!? ピンポイントすぎるやろ!なんで濡れてるんですか!普通の乾いたおかきで済ませてくださいよ!似たようなもの2種類も。
母「濡れおかき!」
私「知らん!」
もう完全に会話が崩壊しました。
そんなドタバタ劇を繰り返しながら、やっとチェックインカウンターを通過して、手荷物検査のコーナーに行ったんですけどね。
私が先に手荷物検査を通過して振り返ったら、案の定、母が係の人に止められてるんですよ。
で、その時の光景。母、止められたその場でパックの牛乳をゴクゴク飲んでるんです。立ったまま!
いやいやいや!そのまま捨てて!しかもその顔がね、全然焦ってないんですよ。むしろ、「ちゃんと処理してますよ」みたいな顔してるんです。
周りの乗客も「何してんの、この人」って顔してるし、もう俺としては恥ずかしいやら情けないやらで。
でも母、飲み干した牛乳パックを手に、「ゴミ箱どこですか?」みたいな顔で係の人に聞いてるんですよ。いや、目の前にゴミ箱あるから!もう自分で探してくれ!
その時、ふと我に返りましたね。
「ああ、この旅行、先が思いやられるな…」と。この調子だとホノルルマラソン最後まで完走できるかどうか怪しいもんでした。