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海から始まる美山川のこと
美山川のこと
京都府の中北部に位置する南丹市美山町。
僕の住む南丹市八木町から車で90分の奥地に芦生(あしう)という集落がある。
ここは京都大学が管理する「京都大学芦生研究林」と言う森があり、由良川の最上流であり、温帯と冷帯が混在する植物学者なら一度は学ぶべき森と言われる貴重な森です。
由良川の源流だけでなく、桂川(淀川水系)の水源であり、豊かな水を生む母なる森です。
南丹市に引っ越ししてくる前、「豊かな川はどこだろう?」と関西圏の楽しい川を探しました。
豊かで楽しい川ってなに?
僕にとって一番、心に残っている川は海部川です。
海部川は徳島県の右下らへんを流れて、太平洋に注ぐ川です。じいちゃんの田舎が日和佐だから親戚の家から90分ぐらい室戸岬方面に走ったところです。
轟の滝のある川といえば有名かも。はたまたサーファーにとっては海部川の河口域は世界的に有名なサーフスポット、宍喰といえばダイビングでも有名、とにかく「水」としてアクティビティーで有名です。もちろん海の幸も川の幸も豊かです。
そんな海部川、「いい川だよ〜」と誰から聞いたのか、たぶん田舎の親戚。
「行ってくるわー」と車を走らせ、牟岐の川とかも下見しつつ、ゆっくりじっくり向かったのを覚えてる。たぶん30代前半。
綺麗な川で、エントリーもしやすく、美しかったのが第一印象。納得のいい川でした。
でも僕にとって「いい川」の定義は「いい海」とイコールの価値観です。
僕の田舎は日和佐の漁師町です。祖父の出の集落はドンツキの集落。親戚は漁師でした。
子どもの頃の夏休みの過ごし方は「日和佐で過ごす」というのが必須のハイライトでした。
フェリーや瀬戸大橋、明石海峡大橋など時代とともに移動手段は変わったけど、ほんとにどこでもドアが欲しかったです。
親父にアクセル踏んで飛ばせ!昼飯なんかいらん!早く行こう!などとせがみ、しばかれたもんです。
到着すればすぐに浜に行き、海水を飲みました。そして「日和佐の味がする」と訳のわからんことを言うてました。
(我ながらええ感性をしたガキです)
海での遊び方は「漁」です。
朝起きて、エネルギーとして朝食を摂取したら海。昼飯食べて海。寝て起きたら海。墓参りとか親戚に会いに行くとか億劫で仕方なかった。
とにかく海に浸かってたかった。そして獲物を獲るのが楽しくて、晩ごはんに自分の獲物が出てくることが誇らしかった。
成長につれて獲れるものも変わっていった。
最初はもぐれないから、浮き輪にしがみついて水面からみんなが獲るところを見ていた。
サザエやアワビ、伊勢海老にタコ、色々な食料が獲れた。
小さな僕はタカタカやイソモンといった小さな貝を拾ったり、浅いところの岩をはぐって流れ子を獲ったりして少しずつ、サザエやアワビ、タコなどのランクの高いものを獲るようになった。
大学生になると、海に潜って夕飯の肴を狙い、飲みながら漁港に行ってワタリガニを突き、寝て起きたら近くの山に登って朝焼けを楽しみ、朝食にワタリガニの味噌汁、また潜っては獲物、満潮になると日羽佐川に行き泳ぐ。そして飲んで、ワタリガニ。。。このエンドループな夏休みを過ごした。
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水との相性
水のある風景、たぶんみんな好きなんじゃないかなー?
でも「足をつけたくなる水」かどうかには大きな壁がある。
僕の中で段階があって、
①手を濡らしてもいいのか。
②足が濡れてもいいのか。
③ズボンにしぶきがついていいのか。
④上半身の服にしぶきがかかってもいいのか。
⑤顔を洗ってもいいのか。
⑥泳いで、お風呂に入りたくなるのか。
ちょっと意味わからんかもしれないですが、だいたいは①で、匂ってみて、手で水を揉んでみてわかります。
ヌルヌルするのか。キュッキュッってなるのか。
ノンストレスな汚れか、我慢できるレベルの汚れかで判断します。プールの水は汚いし、塩素臭いから大嫌いです。温泉も塩素臭いから苦手です。塩素がきついと夜に匂いで眠れなくなってしまいます。
美山川や海部川、穴吹川、古座川の支流、亀尾島川などは合格でした。違和感のない川の水って探すのが難しい。民家がなくて、護岸工事がなくて、水量が多くて、森が豊か。
本当にどこに究極の川はあるのだろう。
風景ではなく水質にこだわりたい。そんな思いで川に関わっています。ええ川があったら教えてください。
美山川との出会い
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30代の半ば、人生の選択をできるタイミングを迎えました。そんなときに「稼ぐ」と「川」を天秤にかけてどっちもを選ぶことにしました。
「じゃあ、納得ができる川の近くで稼いで生きれる場所ってどこ?」
近畿地方の地図を開き、川、電車の路線や高速道路網、観光資源、気候、風土、人口、産業、生活圏などなどがっつりマーケティングリサーチして自分の得意を掛け合わせて、住む場所と遊ぶ場所と働く場所のバランスを考え切りました。
その結果が京都府の南丹市でした。そしてその中でも八木でした。文化的に非常に面白い町です。
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自宅の裏には大堰川(桂川)が流れ、保津峡を通る保津川は嵐山の渡月橋を潜っていきます。大山崎のサントリーウィスキーを作るのはこの川の伏流水です。
自宅の上流には日吉ダムがあることで水害対策はできているようですが、水質は悪化しているようです。また水深も浅くなっていると感じます。良し悪しはあるのでしょうが、正直汚いので遊ぶときは極力触りたくない水です。①の壁にぶち当たります。でも景色はいい。街に川が似合う街です。またどこかで書きたいと思います。
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美山川に話を戻します。
自宅から芦生までは約90分。まーまー遠いところに住んでいます。
道すがら、大堰川、日吉ダム、田原川、神楽坂峠、原川、そして美山川を遡上していきます。水位系チェックをして川を見ながら、ツアーのシミュレーションをして川に思いを馳せます。
由良川の上流部を美山川と呼びます。
国土交通省の河川法では一級河川由良川という名称ですが漁協の経済区分では美山川と呼ばれています。
全体で146kmある由良川の最上流部の約25kmぐらいは京都大学の原生林研究所になっていて人は住んでおらず清流を保っています。文句なしで⑥以上です。本当に綺麗です。
ここにあるのは「人と川の付き合いが近い」という文化です。
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鮎のシーズンになると、網入れの日になると、暑い日が続くと、、、とにかく川に入る。川を見る。
川があることが当たり前であり、川が生活の一部になっている人が多いような気がします。
僕が異常なほど川に興味を持ってるからなのかもしれませんが、川を愛する人が多いような気がします。
そして仲間がいて、川のことを話せて、川をどうすれば豊かにできるのだろうと一緒に遊べていることも大きいです。
僕の所属する #芦生山の家 では子どもたちのキャンプ事業、芦生川と森の冒険学校というプログラムがあります。
インパクトレスなキャンプを行い子どもたち自身が大きなチャレンジの中で自然と共に過ごす時間を体感して育ってくれています。焚き火の始末の仕方、キャンプでの排水の仕方、トイレの仕方など教わらないと知れない内容を学んでいます。
おしゃれキャンプではない自然と共にあることを大切にするキャンプです。
そんな子どもたちと川のこと、森のことを一緒に感じて自然の連環の一部になっています。
この写真は芦生の森にある巨木です。
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子どもたちはこの木の元まで歩いて森の豊かさを知り、森から流れ出る川を泳ぎ、魚を取って食べる。
知れば、川にゴミを捨てたり、焚き火した跡をそのまま放置してその場を離れるなどはしません。
川の上流の努力を共有できればと願っています。
次回はアラスカの旅について書きます。
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20年前、星野道夫に憧れてアラスカに旅立ってテント担いでデナリに出会って、ユーコン漕いで、むちゃくちゃしました。書けるレベルのことだけ書きます。
それではまた。
かっぱさんさんさん
https://lit.link/kappasan33
芦生山の家
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Tradi
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