おすすめの一冊『insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』その1
こんにちは。紀藤です。毎週日曜日は、おすすめの1冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。今回ご紹介するのは「自己認識」をテーマにしたこちらの書籍です。
「自分を知る」という、自己認識の世界の解像度を高めてくれるすばらしい本です。骨太の本なので、これから複数回に分けてお伝えしたいと思います。
それでは、早速みてまいりましょう。
「自己認識」の世界を旅する一冊
「自己認識は重要である」。
こんな話を耳にしたことがある人は、少なくないと思います。私が学んだ大学院でも、何度も繰り返し言われてきました。しかし、深く広く、とらえどころがなく、誤解も生まれやすい。
この自己認識の世界について長年研究してきたのが、本書の著者であるターシャ・ユーリック氏です。
組織心理学者であり、研究者である彼女は、自己認識にまつわる膨大な論文・文献を読み、多くの研究に精通をしています。
かつ、世界の著名な人々の中で、「この人たちは自己認識がすごい!」と思う人を、数千人の中から50人をピックアップしました。そして彼/彼女らを『自己認識ユニコーン」と名付けインタビューしました。
こうして「自己認識」の世界を、現時点でわかっている研究データと、数多くの著名人のインタビュー調査をもとに、解き明かしたのが本書です。
自己認識にまつわるありがちな誤解を解き、どのようにすれば正しく自己認識ができるのかを、紐解いており、読む中で多くの発見があります。実に、興奮します。
まさに、「自己認識の世界」を旅する一冊、と言えるでしょう。
本書の構成 ー目次のご紹介ー
さて、本書は4部構成となっています。
第1部:「自己認識にとっての必須要素や妨害要素」について
第2部:「内的自己認識」に焦点を当て、自己認識にまつわる迷信や誤解を解き明かし、何が内的自己認識を高めるのかを語る
第3部:「外的自己認識」に焦点を当て、最大の誤解やフィードバックにおける忖度の難しさと、それに対する対処法を説明
第4部:「優れたリーダーがどのように自己認識を成長させているか」という視点で自己認識を見ていく
という形です。以下、目次の全文をご紹します。
第一部 自己認識の基礎
ちなみに、「自己認識」とは、”自分自身と、他人からどう見られているかを理解しようとする意志とスキル”、と本書では定義されていますす。
では、ここから「第一部 自己認識の基礎」から、ポイントをご紹介したいと思います。
インサイトの7つの柱
ではそんな「自己認識(インサイト)」を高めるために、どのような方法があるのか?
「自己認識」を解剖したときに、どのような要素にわけられるのかを「インサイトの7つの柱」として紹介しています。
内的自己認識と外的自己認識
自己認識には、2つの側面があります。それが、「内的自己認識(自分から見た自分像)」と「外的自己認識(他者から見た自分像)」です。そして、両者をバランスよく捉えることが、自己認識において重要と述べます。
ただし、自己認識をめぐる大きな間違いは「ひたすら自分の内側を見つめればいい」という考えであると述べます。
「内的自己認識」では、自分の「価値観」「情熱」「願望」「フィット」など”周りから見えないもの”を見つけることができ、「外的自己認識」では、自分の「パターン」「リアクション」『インパクト」など”周りから見えやすい”ものを見つけることができます。
重要なのは、「内側と外側の両方の視点を持つ」ことなのです。
自分のことは自分で見えない
しかし、実際に頭でわかっていても、「自分のことは自分で見えない」ものです。行動経済学者でノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマンは「自分の無知を棚に上げることにかけて、私たちは、ほとんど無限の能力を持つ」と言いました。
ゆえに、”自分を実際の能力以上に考えてしまう”ことを「ダニング・クルーガー効果」と呼びますし、逆に”自分は取るに足らない”と謙虚すぎる視点で捉えることを「インポスター症候群」と呼ぶ、など、自己認識は多くの錯覚が生まれるそうです。
しかし、職場で従業員が自己認識を欠いていると、チームのパフォーマンスが下がり、平均36%の判断の質が低下し、46%協調性が低くなり、30%衝突が増す(P79)という研究があるそうです。
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そして、自分が見えなくなる理由として3つの盲点として、以下を挙げています。
まとめと感想
インサイトの7つの柱、が特に興味深かったです。
たしかに、価値観、情熱、願望などは、自分でしかわからず、リアクションやパターンは他者からの視点が必要。この7つの柱のそれぞれを深めるだけでも、かなり自分のことを理解できるようになりそう・・・!と思いました。
また、「インサイトの7つの柱」を探求するための質問である「巻末付録」なども用意されており、これは使えそう・・・!(研修などでも)と嬉しくなりました。
それでは、また続きは明日以降に続けたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました!