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日本語教師のキモ!例文作成

日本語のレッスンでは例文を示す機会が多々あります。経験の浅い日本語教師の中には例文の準備が苦手という方、少なくないと思います。今回は日本語教師のキモ、例文作成について考えていきます。


日本語教師はレッスン前の準備が大切!

教師が教科書だけを参考にしたり、頭の中で例文や会話文を作ったりすると、実生活では使わないような不自然な例を作ってしまうことがあります。例えば、「〜てしまう」でよくテキストに出てくる例文は「この雑誌は全部読んでしまいました」(みんなの日本語29課)ですが、正直あまり使用頻度は高くないですね。また、一つの文型で意味がいくつかある場合、既習の語彙を使った例文をとっさに作るのは非常の難しいです。

そこで、大切なのが授業前のしっかりした準備です!

今の時代、「〜てしまう・文型・教え方」などとキーワードを入れれば、インターネットなどで簡単に例文を検索することができます。ただ、出てきた例文をそのまま使うのではなく、学習者によってちょっと工夫を加えることがポイントです。学習者によって響く・インパクトのある例文はそれぞれ違いますからね。覚えなければいけない文型は山ほどありますから、できるだけ記憶に残る文を見せられるといいですね。


例文作成&分析をしてみよう

Cotoにはオンライン上に『例文トレーニングの部屋』という全ての講師が書き込めるページがあります。

ちなみに、『例文トレーニングの部屋』では語彙のコントロールはしていません。ただ思いついた時に、思いついたものをボソッとつぶやき、ストックしていくという方式を取っています。溜まってくると、自然と分析したくなるのは日本語教師のサガでしょうか。

はい、それでいいんです!!!

今回はここから「〜てしまう」をピックアップし、例文作成から文型分析について考えていきたいと思います。

日本語の初級文法の「〜てしまう」では2つの用法が紹介されています。一つは完了、もう一つは残念/後悔ですね。

①完了:動作の完了を表し、全部終わったという意味

②残念/後悔:話し手の後悔・残念な気持ちを表す

③その他(未分類)

>>>「〜てしまう」の例文をご覧になりたい方はブログ記事

ブログ記事で紹介した例文はほんの一部です。例文を見ていると、どんな人が作っているかわかって面白いですね。とってもリアル、あーなんとも愛しい例文たち(笑)。そして、日本語教師にとっては宝の山!!!

それはさておき・・・例文から傾向を分析してみましょう。

①完了:例文があまり出ませんでした。ここから「ています」には完了の用法が少ないことがわかります。

②残念/後悔:数の上では圧倒的に多く、「終わる」「忘れる」「なくなる」「消える」など消失の概念を表す動詞との組み合わせがたくさん出てきました。無意識動詞との相性が良いことがわかります。そして、文末はほぼ「〜てしまった」で過去形です。

③その他:注目すべきはこの未分類の③です。①②とは毛色が違いますね。「愛しちゃったのよ〜♪」「好きになってしまった」ことで望ましくない結果を引き起こすと考えれば、②に分類されるのかもしれません。でも、それ以外はなんでしょう。グレーな感じです。

このように、完了・残念/後悔以外の意味の「てしまう」が結構あるのです。この文法項目は初級で提出するものですから、レッスンの際は、このグレーゾーンの例文を間違えて紹介しないよう気をつけなければなりません。これらを踏まえて、使用頻度の高い語彙を入れて、学習者が日常的に使える例文を作るといいでしょう。

例文作成で日本語教師力UP!!!

たくさん例文をあげていくことで、使用する場面、一緒に使う言葉の傾向が見えてきます。「この例文を出したら学習者が混乱してしまう」というものも見えてきます。これらの作業はある程度自分でやっていかないと気が付かないことで、時間がかかります。日頃から例文をストックしておけば、あとは分析して、導入や会話に適した文を作るだけです。

「例文を出して考察する」は脳トレです。これを日々繰り返すことで、自分で考える力は確実に身に付きます。慣れれば、処理スピードも上がってきます!日本語教師力、アップすること間違いなしです!!

コトハジメの運営会社であるCoto World 株式会社が運営する日本語学校 Coto Japanese Academy では現在、対面・オンライン日本語教師教材や日本語の問題を作成してくださる方を募集しています。英語圏出身の方を中心に世界各国の方にプライベートまたは少人数グループレッスンで会話中心のレッスンを提供しております。またこれから日本語を教えてみたいという方向けのオンライン講座も提供しております。詳細はコトハジメのHPに記載しておりますので、ぜひご覧ください。

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