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【連載小説】「くじらは神話を運んでくる(仮)」 | 第1話

深海1万メートル、漆黒の海の奥底に”楽園”のような国が存在する。
その名は海底帝国「パラディソス」。
パラディソスは水中にあるわけではなく、国自体は巨大なドームに覆われて、冷たい深海の海水と水圧から守っている。
ドームは水圧から守れるほどの分厚い透明なガラスで覆われている。
ドームの中には一際目立つ城とその城下には活気あふれる街が拡がっている。
城下町に暮らす人々の数はおおよそ1万人、もしかしたらそれ以上住んでいるかもしれません。
皆の共通点が人々は暗い海の底でも明るく心穏やかで楽しく暮らしている。
人々の明るい性格は環境によるかもしれないが、パラディソスは一日中明るく、一年中夜という概念がないのである。
それはパラディソスの天井には巨大な人工太陽灯が設置されており、国全体を照らされている。
その明るさは、ドームの外から確認するとドームのガラスから透過する光は毎日が夜のように暗い海の底でも太陽のように光り輝いているように見える。
人工太陽灯のおかげで深海でも作物が育ち、食べるものに困っていない。
そして、パラディソスには歓楽街も発展しており、人々は暇を持て余す程に娯楽も楽しんでいる、そうその国はまるで楽園のようだ。
だが、パラディソスには楽園にそぐわない一人の王子がおり、その国に嫌気をさしている。
王子の性格は一言で言うと破天荒である。
王室に何人もの女を連れ込み、はべらかせたり、ギャング達と抗争になったり、何度も違法出国したり、などと様々な悪行を行ってきた。
王子とは言い難い傾奇者である。
その王子の名前は「ロプト」である。

<続く>

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