- 運営しているクリエイター
#眠れない夜
【連載小説】「くじらは神話を運んでくる(仮)」 | 第5話
「なんで、分かるんすか」
少女ことフレイは、八つ当たりでロプトが座っている樽を蹴飛ばすが、ビクともしない。
蹴った反動でフレイの足が風船の如く赤く腫れ、「いってえ」と泣き叫ぶ。
ロプトはフレイの幼稚な行動を見て、やれやれ、というふうに力なく笑う。
「声で丸わかりなんだよ。お前の声は女子供とは程遠い、百年以上生きた爺さんみたいに低くてハスキーなんだよ」
フレイは足の痛みが収まったのか、意識が再度ロプ