「Peter Brown: 自然と人工物が交わる世界」~英語多読のための読書ガイド [児童書]~
本記事は、英語学習誌 ❄『多聴多読マガジン』❄ の連載「多読のための読書ガイド」からスピンアウト掲載したものです。 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介しています。
児童書編 ~2025年02月号~
執筆:小林 裕子 (桜蔭学園講師・SEG(エデュカ)多読講師)
Peter Brown: 自然と人工物が交わる世界
児童書作家でイラストレーターのPeter Brownは、アメリカ・ニュージャージー出身で、45歳。今回は彼の作品を紹介します。
1冊目は絵本 The Curious Garden(2009)。少年リアムが荒れ果てた高架線跡で見つけた植物を育て、街全体が緑豊かに変わっていく物語です。
ニューヨークのハイラインパークに着想を得たこの作品は、人工物と自然、人間の共生を描いています。
日本でも渋谷の旧東横線跡地や銀座の高速道路跡地の公園化など都市開発と響き合う内容で、自然への愛を感じられる一冊です。
2冊目は児童小説 The Wild Robot(2018)。アニメ映画化され、今年2月に日本でも公開予定(『野生の島のロズ』)。
嵐で無人島に流れ着いたロボットRozは、動物たちを観察しながら生存術を身につけ、家族や仲間を得ていきます。
しかし、島を守るため自ら去る決断を下します。
この物語は3部作で、第2作The Wild Robot Escapes(2020)、第3作The Wild Robot Protects(2023)も含め、展開が早く、短い章でテンポよく読めます。
Rozの心情はイラストからも切なく伝わります。
(1) The Curious Garden
外で遊ぶのが大好きな少年リアムは、荒れ果てた高架線跡で今にも枯れそうな植物を見つけ、一生懸命に世話を始めます。
リアムと植物は心が通じ合っているようです。
リアムは植物たちに歌も歌います。
“庭”自体がリアムの愛情に応えて広がっていきます。
街の人々も一緒になって植物の世話をしていくにつれ、周囲の風景も鮮やかに変わります。
自然の緑と空の青が美しいイラストに心が洗われます。
(2) The Wild Robot
Rozは嵐で無人島に流れ着き、唯一生き残ったロボット。
動物たちを観察しながらサバイバル生活を始めます。
ある日、誤ってガンの親鳥を殺してしまい、残された卵を大切に育て、ひなにBrightbillと名付け、母親になります。
その姿が動物たちの心を動かし、Rozは島の仲間に。
厳冬や火事など困難を乗り越えますが、島を守るため自ら去る決断をします。
果たしてRozは島に帰ることができるのでしょうか。
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【特集】英語キーワード150で読み解く
「どう変わる? アメリカと世界2025」
トランプ大統領が「MAGA(Make America Great Again)」を掲げ、再び政権に復帰しました。その影響はアメリカ国内にとどまらず、世界全体に広がることが予想されます。
1. 外交 2. 経済 3. 地球温暖化 4. 多様性 5. 民主主義
本特集では、上記の5つの視点に基づき、decoupling(関係断絶)、climate justice(気候正義)などの150の英語キーワードを通して、トランプ政権の政策がもたらす世界の変化を予測し、考察します。