「3人いれば怪物だって怖くない?」~英語多読のための読書ガイド [ファンタジー]~
英語学習誌『多聴多読マガジン』連載記事「多読のための読書ガイド」からのスピンアウト! 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介するコーナーです。
ファンタジー編 ~2024年08月号~
執筆:石黒 恵介 (会社員)
3人いれば怪物だって怖くない?
今回は3人トリオの主人公が、怪物に追われる物語と怪物を追い回す物語シリーズをそれぞれ紹介します。
「13th Street」では、いとこ同士の3人が怪物の巣窟「13番通り」に迷い込み、通りの住人(幽霊やゾンビ)の協力を得ながら脱出を試みます。
怪物は描写だけ読むと恐ろし気なのですが、コミカルな弱点と愛嬌のある挿絵も相まって、全体としてはどこかユーモラスな雰囲気があります。
テンポが速いことに加えて、各章が短く、毎ページに挿絵があるので物語に没入しやすいです。
「Mysterious Monsters」では、3人姉弟がビッグフットやエイリアンなどオカルト界隈で話題となる生命体を探し出します。
設定は現代であり、作中でもこれら生命体は「見たことがある人はいるけど実在する証拠がない生物」として扱われています。
一家の父親はTVで人気の懐疑論者であり「そういったオカルトは全部嘘!」と毎巻オカルト好事家とひと悶着を起こすのですが、そんな彼の取材調査の裏で子どもたちはシレっと生命体を見つけ出していきます。
(1)『Battle of the Bad-Breath Bats』 (13th Street Series #1)
Maliaはこの夏、離れた街で暮らしている叔母の家に遊びに来ている。
今日はいとこのDanteとIvanと3人でウォータパークに出かけることに。
道中、怪しげな老婆が教えてくれた近道を進んでいくが、いつまでたっても通りの終わりがやってこない。
天気も荒れ、雷が鳴り響き始めた。
地図を確認すると、どうやら今いる13番通りはそもそも存在すらしていない。
混乱している3人の前に、巨大なコウモリが姿を現す。
(2)『Bigfoot』(Mysterious Monsters Book#1)
Mattigan一家は3人姉弟と父親の4人暮らし。
父親のMarcusはオカルト関連の嘘や詐欺を暴きだすTV番組に出演している人気のSkeptic(懐疑論者)。
現地調査のため彼が不在のある日、姉弟の元にひとりの老人が訪ねてくる。
自分がMarcusの父親であることを打ち明けたうえで、老人は、「謎の生命体の探索を続けていたがもう老い先短い……。どうか代わりに見つけ出してほしい」と自身の手記を3人に託す。
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特集は「ミステリーを英語で読むための4ステップ大作戦」。
犯人は誰だ!? 結末が気になるミステリーは最後まで読み通す強い動機づけになり、多読におすすめです。多読継続のために、そしてミステリーファンのために、4段階の無理のない読み進め方を提案します。
最初は英語学習者向けに語彙制限されたリーダーからスタートし、児童書、シャーロック・ホームズものやアガサ・クリスティーの名作、綾辻行人や東野圭吾の英訳本とステップアップ。
さらに、まだ翻訳されていない作品にも、癖がなくてすらすら読みやすく、とびきり面白い本があります。最後はそんな旬のミステリーの世界にご案内します。
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