良いことをしたら、悪いことがしたくなる?ちょっと不思議な心理学
こんにちは!
こしあんです。
あなたは何か頑張ったあと、「ちょっとくらいイイかな?」と自分に甘くなってしまった経験はありませんか?
人間は不思議なもので何か良いことをした後、その反動で「ちょっとくらい悪いことをしても大丈夫だろう」と考えたりすることがあります。
たとえば、ダイエットをしていて「今週は運動を続けられたから、週末にお酒を飲むくらいイイよね、、、。」と思ったりします。
あなたにも似たような経験が無いですか?
私はあります。
多くの人がこのような経験があると思いますが、これは決して意志力が弱いからというわけでもないんです。
でも、この考え方には意外な危険が潜んでいたりします。
今回はそんな「モラル・ライセンシング」と呼ばれる心理状態のお話です。
【モラル・ライセンシングに陥るとどうなるのか?】
人がこのモラル・ライセンシングにハマっているとき、例えば、午前中に仕事がかなり捗ったりすると、「あんなに午前中頑張ったんだから、ちょっとくらいご褒美がなくちゃね」と言って午後にだらけたりします。
勉強でも同じように「1日に10時間以上勉強をすることができた」という部分に意識をフォーカスしてしまうと「昨日はあんなに頑張ったし、今日ぐらいいいよね」という甘い部分が出てきて誘惑に負けてしまいます。
実は、このような気晴らしをすることが、自分自身の良い行動に対する最高の見返りだと思うようになってしまうと、自分にとって最も大切な目標から外れ、誘惑に負けてしまうと言われています。
あなたも経験があると思いますが、人って何か良いことをすると充足感があったり、晴れやかな気分になったりしますよね。
人の役に立ってお礼を言われたりするのは気持ちの良いものです。
でも、人間は面白いことに良いことをしようと思いついただけでも良いことをした気になり、自分に甘くなって衝動に従っても構わないと考えるようになります。
ある実験では、被験者に「ホームレス支援施設で子どもたちに勉強を教える」、「環境改善活動に参加する」という二つのボランティアでどちらをやってみたいか?という質問をしました。
そうすると、「どちらのボランティア活動をしようかな?」と考えただけで、実際には参加申し込みをしたわけでもないのに、被験者たちはすでに参加した気分になり、自分へのご褒美を考え始めていました。
また、別の研究ではチャリティにお金を寄付しようと考えただけで(実際にはお金を渡していないのに)自分のために買い物をしたくなることがわかっています。
つまり、私たちは特に何かしなくても、良いことをした「気」になり、自分は良い人間だと思ったり、充足感を手に入れることができるわけです。
そしてその見返りに自分に対してご褒美を考え始めます。
【物事を善・悪で判断するときの危険】
このモラル・ライセンシングは、私たちが抱く善悪の感情に非常に関係があると言われています。
たとえば、運動することや禁煙することを自分の目標として捉えるのではなく、それをすることが「良い・悪い」で判断してしまうとモラル・ライセンシングの罠にハマってしまいます。
ダイエットに取り組んでいる人が甘い物の誘惑に負けたり、禁煙をしている人がつい同僚に誘われて一服してしまったときのことを想像してみてください。
このとき、大抵の人は「罪悪感」を抱きます。
「昨日は新作のスイーツが出ててつい、、、」とか「誘われて無意識に吸ってしまった」と考えモヤモヤした気持ちになります。
ダイエットをサボったり、喫煙してしまったりすると今まで築いてきた習慣がダメになってしまうと考えるかもしれません。
でも、ここでちょっと考えてみてください。
だからといってそれが道徳的に悪いことなのか?
と考えるとそうではありません。
これってどちらかというと自分との闘いですよね。
でも、このとき私たちは「自己コントロールできたかどうか」を道徳のように捉えることがあります。
自分の目標を善悪で捉えると、「体に良いことを1週間続けることができた!私は正しいことをしたんだ」と考え、次の瞬間にはちょっと自分に甘くなり、今週は甘いものを少し食べても問題は無いはずだと考えたり、お酒を少し飲んでもいいだろうと思ってしまいます。
頑張って前に進んだけれど、そのせいで気が緩み、相反するふたりの自己のせめぎ合いが始まってしまいます。
1歩進んで2歩さがる~♪といった感じです。
そもそも、人は長期的な利益と目先の満足の両方を望んでいます。
減量などをして「健康を手に入れるぞ!」と考えながらも、目の前のデザートは欲しいと思ってしまうのが人間です。
ある研究では、人は目標に向かって前進すると逆に目標から遠ざかるような行動をしたくなるという研究結果があります。
長期的な目標に進捗が見られると自己コントロールによって押さえつけられていた欲求が高まり、誘惑を感じると抑えのるが難しくなっていくことがあると言われています。
ちなみに、これを心理学者は「欲求の解放」と呼んでいるそうです。
私たちは、このような善悪の判断が自分の最終的な目標を見えなくする可能性があることを知っておかなければなりません。
そしてもう一度よく思い出してください。
あなたの目標は善悪から出発したものではないはずです。
語学を学びたいと思って日々努力するのは「良いこと」だからでしょうか?
違いますよね。
もっといろんな人とコミュニケーションが取りたいと感じていたり、仕事でどうしても必要になると思って学んでいるわけで、そこに善悪は無いはずです。
【こんなところにもモラル・ライセンシング】
あなたはボランティア活動やエコ活動などに参加したことがありますか?
実は、「エコ活動が罪悪感を鈍らせている」という意見があります。
チャリティに募金したり、植樹に協力したり、身近なところではエコバッグを使ったりと私たちが進んでできることは多々あります。
誤解のないように言っておくと、環境のことを考えたり、活動したりすることはむしろ推奨されるべきことだとは思います。
ただ、私たちがエコバッグを使ったり募金することによって真剣に地球のことを考えるようになり、エコを心がけるようになるのか?
また、「私は環境に良いことをしている!」といい気分になって、逆に害を及ぼすようなことをしていないか?と考えることもできます。
モラル・ライセンシングの性質を考えると、その可能性は十分にあるのではないでしょうか。
イェール大学の経済学者マシュー・J・コッチェンは「環境にやさしい」小さな活動が消費者や企業の罪悪感を鈍らせてしまい、かえって害をもたらす行為につながるのではないかという懸念を提起しています。
エコバッグを持参したせいでいい気分になり、要らないものまで買ってしまって、食品を無駄にしてしまったなんてこともあるかもしれません。
また、ペナルティ制度にもモラル・ライセンシングの傾向が見られます。
有名な話では、保育園で子どものお迎え時間に遅れた保護者から延長料金をとるというものです。
園の関係者は、保護者はみな料金を払いたがらないだろうから、時間通りに迎えに来る人が増えるはずだと考えました。
でも、ふたを開けてみると時間通りに迎えに来る保護者は逆に減ってしまいました。
保護者からしてみれば、「お金を払うのだから遅れてもいい」と考えるようになり、遅れることを「悪い」と感じなくなります。
つまり、保護者の人たちは時間に遅れる権利をお金で買ったつもりになってしまったんです。
人間は基本的にラクをしたいと考える生き物です。
だから「ちょっとお金を払えば迎えに行く時間に余裕ができる」という考えにシフトしてしまい、終いには「遅れても大丈夫!」なんて思ったりします。
最後に
このモラル・ライセンシングから抜け出すには、いい気分になったあとの「自分の気持ち」をよく観察する必要があります。
「ちょっとくらいイイだろう」と考えている場合は、もうこの心理状態にはまっています。
自分を甘やかしていることに気づいたら「なぜ良いことをしたのか」を考えると、この罠から抜け出すことができるかもしれません。
あなたは自分を甘やかすために何か行動を起こしたわけではないはずです。
他には、サボってしまう前に自分で「怠けタイム」を作る方法もあります。
長期的な計画の場合、どうしてもモラル・ライセンシングに陥りやすくなります。
なので、本格的にサボってしまう前に、毎日1~2時間の怠けタイムを設定することで生産性が上がると言われています。
このとき重要なのは「罪悪感」を持たないことです。
こんな忙しい時に休憩してもいいんだろうか?
と考えず、思いっきり好きなことに没頭してください。
息抜きが上手な人、メリハリがつけれる人は集中するのが上手く、生産性も高いものです。
あなたもいい気分になったとき、計画を遅らせる行為をしようとしていないか?と自分を観察してみてくださいね。
今回はここまで
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それではまた次回お会いしましょう。
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