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デザボン

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デザイン本をオススメする正体不明のモンスター
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デザボンってなに?

デザボンとは、デザインやそれに関連する書籍をオススメする謎の怪獣である。デザインブックレビューモンスター、なんとなく縮めてデザボンです。レビューはイラレ職人コロが作成しています。 どこで読めるの? イラレ職人コロのX(旧Twitter)およびnoteにて投稿しています。普段はAdobe Illustratorの投稿が中心なので、デザボンだけを読みたい人は下記のnoteマガジンをフォロー推奨。 どんな本を読んでるの? グラフィックデザインを中心としたクリエイター向けの書

イラレって難しい?『はじめてイラレ 初心者でもIllustratorが使えるようになる入門書』 #デザボン

「イラレ意味わからん」 イラレ入門書に挑戦した人の多くが、一度は抱く感想でしょう。 なぜこんなにも難しく感じるのか。それは、最初から「プロになる」を前提にしているからではないか、と著者は考えました。 いきなり一人前を目指すのではなく、「最初の一歩」を転ばずに踏み出す。本書はそんなコンセプトから生まれたイラレ入門書です。 A5サイズ、176ページというコンパクトさ。可愛いイラストに、文字数は少なめ。パッと見でハードルの低さが伝わります。 そして「プロの知識」をバッサリ

ロゴの「切り口」図鑑『ロゴのかたち クリエイティブな70の発想法』 #デザボン

ロゴの案出しで、実際にこの本を開いてみた。 「モチーフを他の形に見立てる」 「一部を別の形に変える」 「パーツを繰り返し並べる」 「ネガティブスペースを利用する」 ロゴデザインの「表現の切り口」70種類が、作例とともに図鑑のようにコンパクトにまとまった本です。 「この方法は違う」「これは使えそう」と目を通していくうちに、だんだんと自分の考えがまとまり、これはどうだ!こんなこともできそう!とアイデアやストーリーが広がっていきます。 自分一人で漠然と考えるよりも、ずっと効

まず「楽しく描く」のが大事『はじめての人物イラストレッスン』 #デザボン

「イラストが苦手なデザイナー」は、実は珍しくもない。何を隠そう僕も、そして今はイラストレーターとしても活躍する本書の著者もまたその一人でした。 本書を一言で表すと、「デザイナーが編み出したイラスト入門書」です。造形や描写を単純化し、レイアウトやコンセプトで魅せる。なんともデザイナーらしい切り口で、軽やかに人物のイラストを描くことができます。 さて、僕が注目したのは、何よりもまず「楽しく描く」ことを重視する著者の考えです。本書はあえてデッサンや人体などの難しい基礎は省略し、

好奇心が止まらない!『Adobe Fresco イラストメイキングガイド』 #デザボン

えっ?そんな面白い機能あるんだ、と何度も驚かされました。 FrescoはAdobe製のドローイングソフトで、リアルなアナログ表現が特徴…なのは、Adobeユーザーならなんとなく知っているでしょう。 本書はその Frescoの入門書ですが、率直に言って Frescoを侮っていました。かなり興味深いです。 まず、本物の油彩のような凹凸のある表現を見て、こんなこともできるの!?と驚かされるでしょう。 『ライブブラシ』は、「水量」というデジタルソフトで初めて見たパラメータで、

デザイン徹底解析『伝わる図解化』 #デザボン

情報を「わかりやすく伝える」ということを考える。 近接、整列、ジャンプ率などなど、デザインにおける情報伝達にはいくつもの原則があります。しかし、知れば誰でも使いこなせるかと言えば、そうとも限らない。個人差はあれど一定の訓練を積み、ある種の感覚を掴むことが必要となります。 なぜなら「わかりやすく伝える」には、情報を整理し、分解し、目的を定め、選別し…と、膨大なプロセスが内包されているからです。その1つ1つにどんな意味があり、どのように作用するのかを論理的に説明できる人は少な

走りながらできるようになるしかない『Adobe Express 使い方入門』 #デザボン

Adobe Expressは「自分が今できないことを補ってくれるアプリ」だと思う。 例えば僕はAfter Effectsを使えないので、イラレで描いたイラストをアニメーションにしたい時はExpressを使います。 他にも自動で画像切り抜きをしてもらったり、隙間時間でサムネ素材を生成したり。わざわざフォトショやプレミアを開くのも億劫だなーなんて時にも便利です。 つまり、技術や時間などの都合で諦めていたことができるようになるのです。僕らの表現の選択肢が広がると言っても良いで

言葉を学んでセンスを磨く『言の葉配色辞典』 #デザボン

「彩雲(さいうん)」という言葉があります。朝日などで美しく色鮮やかに見える雲のことで、幸せを呼ぶ雲とも言われるそうです。 これをデザインに取り入れるなら、どんな表現にすれば良いだろう。 本書は情緒あふれる日本の美しい言葉をテーマに、連想されるビジュアルや色をまとめた、少し変わり種の配色本です。 他の配色本との最大の違いは、テーマとなる言葉の意味や連想される言葉などを掘り下げていること。 なんとなくこの色が綺麗、可愛いで終わるのではなく、元になった言葉を知ることで

デザインの守破離『愛されるデザイン』 #デザボン

おそらく、デザイン初心者は読まない方が良い。これは、劇薬だ。 そもそも「愛されるデザイン」とは何か。 ただ機能するだけ、消費されるだけでは終わらない。「愛されるデザイン」を、様々な角度から模索したデザイン評論書です。 僕はこの本を読んで、「守破離」という言葉を思い浮かべました。 教えや型を守り、他の考えも取り入れ型を破り、教えから離れて独自の形を作る。武道などの修行の段階を表す言葉です。 法則を知らなければ、法則以上の答えは出せない。法則を理解していなければ、新しい

絵を描くのが好きだった大人へ『おいしい!イラストレッスン クレパスで描きました』 #デザボン

子どもの頃は、休み時間には自由帳に絵や漫画を描き、授業では図工が好きでした。 しかし、モノづくりを仕事に選び効率化していく中で、あの時の大事な何かも、一緒に削ぎ落としていたのかもしれません。この本を読んで、自分の中にぽっかりと空いた部分に気付かされたように思います。 本書はクレパスを使って、食べ物などの簡単なイラストを描くための入門書です。 クレパスというと子ども向けのイメージがありましたが、使い方次第でこんなにも豊かな表現ができるのかと驚きました。単純に赤を塗る、青を

「知る」と「使える」は違う!『Photoshop & Illustrator & Firefly 生成AIデザイン制作入門ガイド』 #デザボン

『新しい機能』を実務に取り入れるのは、意外と難しいものです。 使い方は分かっても、それを使うタイミングがわからない。実際に使ってみても、なんか思ってたのとは違う。 そんな経験は誰しも一度はあることでしょう。 そう、「知る」と「使える」には大きな隔たりがあるのです。 特に生成AIは出来ることの幅が広く結果もランダムなので、仕事で扱い切れてない人は多いのではないでしょうか。 本書はAdobe FireflyをはじめとしたAdobeソフトの生成AI機能を、実務で「使える」

新しいデザインの世界へようこそ『VTuberデザイン大全』 #デザボン

広告デザイン育ちから見ると、Vtuberのデザイン界隈はかなり不思議な世界です。 キャラクターデザインはもちろん、ロゴやサムネイルなど、制作物一つ一つに対して誰がデザインしたものだと広く知れ渡っている。 また、視聴者自らがクリエイターとなり、イラストや配信素材を作る側に回る様子も多く見られる。 言うなれば、クリエイターとユーザーの距離がものすごく近いんですよね。 そこはアマもプロも関係ない。皆が自分の「好き」を飾り、盛り上げていく。混然としつつも華やかで活気のある世

発信が上手くいかない人へ『なぜウチより、あの店が知られているのか?』 #デザボン

『なぜウチより、あの店が知られているのか?』 このタイトルにピンときてしまったら、読んだ方が良いかもしれません。 本書は個人単位で経営される小さなショップやブランドが、SNSで「よく知られる店」になるためのビジネス書です。 広告業界のノウハウが元になっており、キャッチーなタイトルや表紙に反して、中身は教科書のように手堅くロジカル。まずブランドの強みや方向性を分析し、具体的なテクニックを学び、成功例からイメージを具体化していく、という流れになっています。 ショップやブラ

叱られるは宝になる『デザイナーが最初の3年間で身につけるチカラ』 #デザボン

「ちゃんと叱られたい」 その体験の貴重さは、大人になるほどよくわかるものだと思います。 一見華やかなデザイナーも、実態は普通に「会社員」です。人間関係や社会の理不尽と何度も直面することになります。 例えば、先輩にデザインをチェックしてもらいたいけど、とても忙しそうです。あなたならどのように伝えますか? 「お手隙の時に」とやんわり伝えますか? 「〜日〜時までに」とキッチリ伝えますか? 上手くいく場合もあれば失敗してしまう場合もあるでしょう。そういった経験を積み重ねて