納得のいかない他者の評価に振り回されて悩まないために、必要な距離感とは?
経営者であれ、社員であれ、仕事を他者に認められない限り、自分の利益にはつながりません。
どんなに「これは素晴らしい商品だ」と経営者が考えても、その商品をお客さんがお金を払って買ってくれない限り、会社経営は成り立ちません。
また、「自分はこんなに頑張っている」と社員が思っていても、上司や社長がその仕事を評価しない限り、昇格や昇進につながらず、時にはリストラの対象になったりします。
つまり、仕事である以上、好き嫌いに関わらず、他者の評価とは切っても切り離せない関係にあります。
一方で、この他者の評価を自分で100%コントロールすることはできません。お客さんの嗜好は日々変わっていくし、たとえ立派な人事評価制度があっても、どうしても相性やタイミングの問題もあるので、納得できない評価というのは生まれます。
私も今から21年前の8月に最初の勤め先である銀行を退職したのですが、その最大の理由は「自分に対する評価に納得できなかった」ことです。
その年、私は昇格の対象だったのですが、昇格できませんでした。しかも、後から直属の上司に聞いた話では、そもそも昇格対象のリストに名前が載っていなかったのです。
当時は4年近くに渡る海外赴任から戻ってきて、審査部という部署で働いていました。各支店から上がってくる本部審査の融資案件を朝から晩までチェックして、右から左へとベルトコンベアーのように流していく仕事です。
帰国後にその部署への異動が決まった際、人事担当者から「体力はあるよね」と言われたのですが(笑)、まさに頭を使うというよりは、余計なことはあまり考えずに、ひたすら申請書類と向き合うという、まさに体力勝負の仕事でした。
やっていた仕事自体が全然面白くないうえに、昇格できないわ、だれのチョンボか分かりませんが、昇格対象リストからも漏れているわ、という状況に接し、「この会社では私の未来はない」と実感し、仕事の合間を縫って転職活動を始めました。
通常は退職するまでに3ヵ月ほどかかるらしいのですが、運良く9月1日入社で新しい先から内定をもらったので、「何が何でも辞めます!」と主張。退職理由に関する説明書なども書いて、辞表を出してから1ヵ月で退職にこぎつけました。
いま振り返ると、かなり強引かつ自分勝手な行動で、いろいろな方にもご迷惑をお掛けしたのを反省しています。けれども、「感情→思考→行動」のプロセスに沿って考えてみると、人は自分の仕事が評価されないと感じた時に、大きく感情が動き、結果的に大胆な行動にもつながる事例であることが分かります。
私の場合は「あの時に会社を辞めて本当に良かった」と心底思っています。しかしながら、「自分の仕事に対する他者の評価に納得できない」からと言って、すぐに会社を辞めることはお薦めしません。
なぜなら、他者の評価はその評価基準が曖昧なケースが多いのは事実であるけれども、そこからは、何かしら自分の成長につなげられる要素も見つけられるからです。
他者の評価を100%自分でコントロールすることはできないにも関わらず、他者の評価に依存しすぎて、それに振り回されると、たいへん生きづらくなります。
一方で、仮にそれが納得できないものであっても、他者の評価は自分では絶対に見ることができない、外部から見た自分の姿です。
「自分は頑張っている」と思っていても、それはあくまで自分基準。自分以上に頑張って成績を残している同僚がいれば、相対評価として、その頑張りも認められません。
また、「自分はこれが大切だ」と感じている価値観も、他者からみれば、それが優先順位の低い価値観に相当するケースもあります。この場合、価値判断の基準が違うので、評価されなくても、ある意味当然です。
このため、他者の評価とは一定の距離を保つことが大切です。
・評価結果と自分の自己評価との距離を保つ
・評価基準と自分の価値判断との基準との距離を保つ
・評価された時と理解するまでの時間的な距離を保つ
私自身が銀行員時代に評価されなかった事実を自分でも腹落ちできたのは、6年ぐらい前のこと。つまり、15年くらいは「自分はなぜ評価されなかったのか」を頭の中ではなんとなく理解できても、心の中では納得できていなかったのです。
他者の評価と一定の距離を保って、他者の評価に必要以上に振り回されずに、自分が成長する糧とするためには、自分の中に核となるものを言語化して、自覚することが早道です。
もし、「自分はいつも他人の評価に振り回されているなぁ」と感じておられるのなら、「こちら」の体感セッションを一度お試しください。新しい気づきが必ず得られます。
サポートは、マインドの感情とマネーの勘定を整えることで、自己成長につながる研究費に活用させていただき、得られた気づきをnoteへの記事に投稿する形で還元します。