
読書記録 グミ・チョコレート・パイン パイン編/大槻ケンヂ
ワクワクしている自分がいる
この読後感は何だ?
今まで感じたことのない高揚感に満ちている。
”ワクワク”これが一番しっくり来る。
何に対してワクワクしているの?
そう問われると困ってしまうのが正直なところだが
こうして文章にしてく中で考えると
漠然とだかこれからの自分にワクワクしているのかも。と思った。
この作品に出会えたことは自分の人生の中でわりと大きなことなのかもしれない。
不登校でろくに友達もおらず
たまに登校してみたら、いじられバカにされ
それが嫌でまた不登校になる。
そんな小中学生時代を過ごした。
高校も途中で色々理由をつけて結果的には逃げて中退した。
自分ってダメな奴だなぁ
そう思って生きてきた。
当時はアニメや漫画、ライトノベルに夢中になっていた。
本著の主人公、賢三でいうところの
マニアックな映画や音楽や小説だ。
当時から文章を書くことが好きで
作家になる!と意気込んで毎日PCにむかい自分で思いついた設定やキャラクターを使って物語を書いていた。
今思えばただの、現実逃避以外のなにものでもなかったのだが
あのときは本気で自分は他の奴らとは違って特別な何かを持っているんだ。文才があるんだと思っていた。
まぁ、結局はうつ病になって双極性障害拗らせていつの間にか物語を書くことはおろか本を読むことさえやめてしまっていたのだが...…。
当時の記憶はぼんやりとしていてあまりないのだが、少し思い出させてくれたのがグミ・チョコレート・パインだった。
なんやかんやで今こうして読書記録を書いているが
このなんと表現したらいいかわからないこの謎の高揚感、ワクワクはきっと
賢三にも出来たんだから自分にも1つくらい特別な何かを見つけることができるんじゃ?と単純にも思ってしまったからだろう。
大きな挫折を経験し地の底まで落ちた賢三が周囲の人の助けをかりて這い上がり
渋谷屋根裏で初ライブをするキャプテンマンテルノーリターンのメンバーたちのもとへ、ただ必死にひたすら全力で走って行く賢三の姿に感化されたのだ。
自分はもういい歳だけれど、
自身と向き合い先が見えない不安の中で人生に果敢に挑む賢三たちに負けていられない。
そう思った。
「逃げるな少年よ。不安恐怖葛藤はあるがままに、やりたいことをやれ、行きたいところへ行け」
大きな挫折を味わった賢三に更に追い打ちをかける事件が起こり、賢三はメンタルをボロボロにされてしまう。
病んだ賢三を山籠り修行に連れ出す山之上のじーさんはボクシンググローブをつけての殴り合いと言うとんでも荒療治で賢三を立ち直らせようとする。
山籠り修行も終りを迎えた日、元の現実に戻ることを躊躇する賢三にじーさんが言ったセリフだ。
不安、恐怖、葛藤はあるがままに
逃げずにやりたい事をやれ。
転職活動をしていて先日内定が決まった。
これから新しい環境で新しい仕事に挑戦するタイミングでこの記録を書いている。
不安だ。自分にやり遂げることができるのか?そんな疑問ばかりが頭に浮かぶ。
だがそんな不安や恐怖を抱えたまま、あるがままに逃げ出さずに前へ進め。
このセリフは弱気な自分にじーさんが喝を入れてくれているような気がした。
「オレはダメだな~」と思っている 総ての若きボンクラ野郎どもへ、 心からの心を込めて、本作を贈る。
そんな一文から始まったグミ・チョコレート・パインの完結編であるパイン編。
大きな挫折を経験した賢三は立ち直れるのか?
カワボン、タクオ、山之上と組んだキャプテン・マンテル・ノーリターンの初ライブはどうなる?
一気にスター女優となった美甘子と賢三の青春はどんな結末を迎えるのか。
ぜひ本著を読んで悶々とした日々に先の見えない人生に果敢に挑んでいく十七歳の少年少女たちの行く末を見届けてもらいたい。
結末をみて
人それぞれ、いろいろな意見や感想を持つと思う。
ただ、少なくとも僕はこのグミ・チョコレート・パインを読んで
自分を肯定して前へと進む勇気をもらった。
グミ・チョコレート・パインば僕の人生のバイブルだ。