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愛する、ってきっとこういうことだ。
2020/8/11 読書記録no.2『流れ星が消えないうちに Before Shooting stars fade out』橋本紡
本との、出会いとは。
先週紹介した本と同様、こちらの本も引っ越す友人から貰いました。
しかし、この本は表紙がすごく綺麗だったので速攻手に取りました。
「パケ買い」ならぬ「パケ貰い?」笑
この綺麗な表紙に違う意味が込められていることに、
読む前の私は、まだ気づきませんでした。
裏表紙のあらすじ
忘れない、忘れられない。あの笑顔を。一緒に過ごした時間の輝きを。
そして流れ星にかけた願いをー。高校で出会った、加地君と巧君と奈緒子。けれど突然の事故が、恋人同士だった奈緒子と加地君を、
永遠に引き離した。加地君の思い出を抱きしめて離さない奈緒子に、
巧君はそっと手を差し伸べるが……。悲しみの果てで向かい合う心と心。
せつなさあふれる、恋愛小説の新しい名作。
私はあまり恋愛小説を読まないのですが、
表紙に惚れたので、とりあえず譲り受けました。
本を、読み終わって。
本の内容と、表紙のイラストの意味が重なった。
ただ綺麗な流れ星のイラストじゃなかった。
そのイラスト一つに色んな想いが込められていて、
その瞬間、読み終わった充実感に1人で浸っていました。
亡くなった恋人を忘れられず、
その恋人との思い出がいっぱい詰まった部屋で寝られず、
自宅の玄関に布団を敷いて毎晩そこで寝ている主人公・奈緒子。
ずっと好きだった奈緒子に中々想いを伝えられず、
手作りのプラネタリウムで、不器用に、でも必死に、
振り向いてもらおうと奮闘する、加地君。
結果、両思いで付き合い始めた奈緒子と加地君。
しかし不慮の事故で加地君は亡くなってしまい、
その悲しみに耽る奈緒子をずっと見て、支え続けてきた巧君。
主人公だけではなく、
登場人物一人一人にスポットが当てられて、
同じ場面でもどう思っていたのか、どういう考えを持っていたのか、
家族であっても、人、1人にそれぞれ生活があって、色んな出来事があって、
でも、最後はみんな同じ家に帰ってきて。
つい、自分と重ねてしまう箇所も多数ありました。
心に、残ったこと。
数多くある気になった文章の中で、時に心に刺さったモノを紹介します。
結構多くなってしまった、、、。
P122 長く生きるのっていいなって。
いろんな経験を積んで、少しずつ賢くなれるからって。
P152 俺たちが思っているより脆いものなんじゃないかな、未来って。
だから、俺はもう考えるのをやめて、
まあ、全部はやめられないだろうけど。
それでもやれることをやろうと思ってるんだ。
考えすぎて立ち止まるのは、いい加減にしとこうってさ。
動くことによって見えてくるものがあるはずなんだ。
P164 また同じように、シュートを打つ機会は訪れるよ。
人生には、たいてい敗者復活戦があるからね。
そこで、今度こそ素晴らしいゴールを決めればいいんだ。
P202 そう、年を取るっていいことだ。しょっちゅう迷って、
たまには泣きじゃくって、それでも歩き続けて、だんだん大人になる。
やがて、いろんなことを受け止められるようになっていく。
P232
人というのは、変わらないように思えてちょっとずつ変わっていく。
ただ生きていくというそのことが、無為に過ぎていくかのような1日1日が、けれど確かに何かを変えていくのだ。
P332 不幸なんて、いくらでもある。珍しくともなんともない。
けれど、ありふれているからといって、平気でやり過ごせるかといえば、
そんなわけがないのだ。したばたする。泣きもする。嘆きもする。
それでもいつか、やがて、ゆっくりと、私たちは現実を受け入れていく。
そしてそこを土台として、次の何かを探す。探すという行為自体が、
希望になる。
とにかく、終わりが来るそのときまで、私たちは生きていくしかないのだ。
たとえ、それが同じ場所をぐるぐる回るだけの行為でしかないとしても、
先を怖がって立ち止まっているよりは、100倍も、いや10000倍もマシだ。
だから、私は進もうと思う。
恐れながら、泣きながら、進もうと思う。
一つ一つの言葉が、
時が経つことを恐れず、むしろ歳を重ねることをプラスに考える、
自分の背中をソッと押してくれるような、
そんなものばかりで。
読んでいて、涙することもありました。
「愛」とは、何か。
この本は、恋愛小説ですが、
壁ドンされたり、顎クイされたり、
そういう今流行りのキュンキュンではなくて、
一途に相手を想い続けることの尊さだったり、
家族と打ち解け合う大切さだったり、
心がギュッと掴まれるような、そんな恋愛小説だと思いました。
小説の終盤、巧君の想いが言葉になっている箇所があります。
忘れようとすればするほど、加地の影はくっきりと浮かび上がる。
だったら、取り込んでしまえばいい。
お前という人間はこの世にいないけど、それでもお前は僕と奈緒子の中で、いや、僕たちのあいだで生きているんだよ。
………
とにかく、奈緒子はもう僕のものなんだ。
そして、お前が奈緒子という人間の一部になってしまっているのなら、
僕はお前ごと奈緒子を大切にするよ。
全てを包んで、生きていく。
愛する人の愛する人とも、手を繋いで生きていく。
まだまだ「愛」を語るには、歳が若すぎるけど、
きっと、「愛する」ってこういうことかもな…って思いました。
少しだけ、ほんの少しだけ、恋愛観が変わった気がしました。
ずっと手元に置いておきたい、そんな大切な1冊です。
おりょう☺︎