新春特集第2弾|神の正体を暴く(前編)|『プロビデンスの目』の正体
by 情報室 水野竜人
プロビデンスの目(Eye of Providence)
今年もよろしくお願いします。リュウです。
関東では11日が鏡開きでした。鏡開きは1日から7日までの松の内の間、穀物神である年神様が宿る依り代(よりしろ)となった鏡餅を食べて年神様の霊力を頂戴して一年の良運を願う風習なのでいっぱい食べたから今年は良運だらけだと思います。😁
新春を迎え、年神様にちなんで、日ごろ情報室で培ったインテリジェンスを発揮して😅「神様」について考えたいと思います。
といっても、概念的な話では🥱😴面白くありませんから出来るだけ具現的に「神」🤗を解明してみようと思います。よろしければ少しの間おつきあいください。
みなさんは「プロビデンスの目(Eye of Providence)」をご存じですか?
アメリカ合衆国の国章の裏側に描かれているピラミッドの上に載っている目が「プロビデンスの目」と呼ばれています。
基本的な意匠は『三角・一つ目・光背』です。
このデザインがフリーメイソンの紋章(下の画像)と似ているといって陰謀論者の間にはフリーメイソンアメリカ合衆国支配説などがありますが、フリーメイソンが米国の未来を左右する権力集団の一翼を担っているかどうかは別として、フリーメイソンに限らず「プロビデンスの目」はキリスト教に関連して様々な時代に登場しています。デザインが奇抜なゆえにオカルトなイメージですが、浅薄な陰謀論ではなく、先ずは「プロビデンスの目」の意匠の歴史と起源を明らかにしてみましょう。
「Providence 」は「摂理」ですが、ケンブリッジアカデミックコンテンツ辞典では「the care and control of God or of a force that is not human in origin」と定義しています。「(創造主である)神の(被創造物への)配慮と導き」という意味になります。
キリスト教新約聖書では「父と子と聖霊の名において。。。」のとおり、父(主なる神)・子(神の子たるキリスト)・霊(父と子に仕える聖霊)の三位一体の神のシンボルとして使われています。三角が三位一体を表し、目が神の見張りを表していると考えられます。下の図がキリスト教の意匠で神の全能の目( all-seeing eye of God)とされています。
以上の理由から、「プロビデンスの目はキリスト教における三位一体の神のシンボルであり神が創造した全創造物に配慮し導くために見張っている目」という仮説になります。
画像はフィレンツェ、ウフィツィ美術館所蔵の16世紀(1525年)の作品「エマオの晩餐」に描かれたプロビデンスの目です。三位一体の神としてキリストの頭上に描かれているのが分かります。
ヘッダーのイラストは1789年のフランス人権宣言の版画に描かれたプロビデンスの目です。やはり、三位一体の神のアイコンとして天上に描かれています。
1ドル紙幣に印刷されているプロビデンスの目はよくご存じだと思います。ここでは、プロビデンスの目がピラミッドの上に載っています。このピラミッドは何を意味しているのでしょうか?その謎解きは後述します。
これは、18世紀、1716年に建設が始まり1754年に完成したチェコ、オロモーツの聖三位一体柱です。よく見ると3段目にプロビデンスの目がデザインされています。
更にその千年前、8世紀にカール大帝によって建設された北ヨーロッパ最大の皇帝の大聖堂と呼ばれている▼ドイツのアーヘン大聖堂にもプロビデンスの目があります。
このようにキリスト教に関わるさまざまなオブジェに使われているプロビデンスの目の起源は、やはりキリスト教にあるのでしょうか?
「三角・一つ目・光背」の意匠はいつ頃から使われ始めたのでしょうか?
米国の国章や1ドル紙幣のプロビデンスの目がピラミッドに載っている由来は何でしょうか?
といった疑問が湧いてきます。
調べていくと、
「プロビデンスの目」の起源は、キリストの死後、その弟子によってキリスト教が盛んになる紀元150年頃よりはるか昔3千年以上前の古代エジプトの神話に登場する天空神ホルスの左目であるということがわかりました。
米国国章や1ドル紙幣に描かれているピラミッドは、「プロビデンスの目」の起源が古代エジプトのホルス神であることを示唆しています。
古代エジプトの天空神ホルスの左目
古代エジプトでは、太陽と月はハヤブサの姿の天空神ホルスの両目だとされていました。左目は月の象徴「ウジャトの目」、右目は太陽の象徴「ラーの目」でした。
ウジャトとは、頭にコブラをつけた女性の姿で描かれるエジプトを守護する女神です。ウジャトの目は満ち欠けする月の象徴であり、欠けた月が再び満ちるように失ったものを修復再生するという意味がありました。
古代エジプト神話では、ホルス神は、父であるオシリス神の敵だったセト神との戦闘で左目(ウジャトの目)を失いますがウジャトの目は世界を巡って知見を高めてホルス神のもとに戻りました。
知見を極めたウジャトの目は世界のすべてを見通す知恵と万物再生の象徴になりました。
この古代エジプト神話の「世界のすべてを見通す知恵と万物再生の象徴であるホルスの左目、ウジャトの目」が摂理の目「プロビデンスの目」として時代を担う人間集団のシンボルとして使われたと推察します。
では、「三角・一つ目・光背」の意匠はいつ頃から使われ始めたのでしょうか?
エジプトで使われていたホルスの左目(ウジャトの目)には三角形も光背もありません。
前述したフランク王カール大帝が786年に建設を始めた8世紀のドイツのアーヘン大聖堂にプロビデンスの目の彫刻が登場しました。カール大帝は神聖ローマ帝国初代皇帝でもあり、その頃には「三角・左目・光背」の意匠が使われていたようです。
その後、11世紀末に始まる十字軍として12世紀初頭に台頭したテンプル騎士団がプロビデンスの目を好んで使い、15世紀の薔薇十字団、16世紀のフリーメイソン、18世紀のイルミナティー、そして18世紀1783年に建国されたアメリカ合衆国で紋章に取り入れられています。
近年、「三角・左目・光背」という奇抜な意匠ゆえになにかと陰謀論のシンボルに挙げられるプロビデンスの目ですが、その起源をたどると古代エジプト神話のエジプト創造の神、オシリスの子、天空神ホルスの左目、ウジャトの目だということが明らかになりました。
その3千年後西暦150年頃にキリスト教が興り、その約900年後、戦闘宗教集団として権勢を増したテンプル騎士団が時代の覇者を目指して「プロビデンスの目」をテンプル騎士団の意匠として使いました。
その意匠は、テンプル騎士団を受け継いだ薔薇十字団、それを継ぐフリーメイソン、イルミナティー、そのメンバーの多くが集って建国したアメリカ合衆国に受け継がれたということになります。
プロビデンスの目の『三角・左目・光背』意匠の起源が解明できました。
では、目の主(ぬし)であり、キリストの主であり、聖霊の主である「神」とは何なのか?
古代エジプト神話のオシリス神やホルス神、ギリシャ神話のパンテオンの神々、インカ神話の神、マヤ神話の神、古代中国の神、古代日本の神々とはいったい何なのか?
後編ではそれを解明します。