第13章:ぶどうか の たーん
僧侶は自分自身の身体を見つめた。そこには今まで見えていなかった承認欲求という名の重たい不自由な鎧がありありと見えてきた。
僧侶「承認欲求という鎧を脱ぎ去り、自由に生きることを手にする、それこそ、私の悩みを払拭し、幸せにさせるというのですね!勇者さま!どうか私をきつく締め付けるこの鎧を剥いでくださいませ!」
勇者「うるさいっ!!」
僧侶「えっ!!?、、、すいません。、えっ?」
勇者「、、、私がなぜ怒ったかわかりませんか?」
僧侶「え、、す、すいません。わからないです。」
勇者「そうですか。実は今日、モンスターと戦ってうっかり全滅してしまいましてね。頑張ってやった結果なのに、王様に”死んでしまうとはふがいない”と言われる始末。それでイライラしており、あなたにあたってしまったのです。」
僧侶「そ、そうでしたか、、言っていただければ、日を改めましたのに。。」
勇者「、、ニコッ。驚かせて申し訳ない。今のは嘘です、演技です。」
僧侶「な、なんですか?やめてくださいよ!」
勇者「ごめんなさい。今の私の言動は演技ですが、実際にはありうるケースだと思いませんか。」
僧侶「まあ、そうですね。」
勇者「あなたは、実際であれば、どうすればこれを回避できたでしょうか。また、その場でどうするべきでしたでしょうか。」
僧侶「え、どうしようもないのでは。。自分のミスなら、言葉遣いや音量、身振り手振り直すとかあるかもしれませんが、相手がどんな状況なんて完全に理解する事なんて無理ですし。もう、誰とも会わないくらいしないと。」
勇者「そう、まさにその通りなのです。これは、あなたにはどうしようもない課題なのです。これを他者の課題といいます。」
僧侶「他者の課題?」
勇者「そう。他者の課題です。この他者の課題については、あなたがいくら考えても、しかたがないばかりか、あなたがその課題に侵食することは、他者への過剰な干渉であたるのです。これに縛られて不幸せに生きる必要はないのです。」
僧侶「うーん、まあ、割りきければそうなんでしょうが、、、それでも相手を想い、尊重し、愛し、相手が喜ぶ事を考え実行する、これは人として重要な行いではないでしょうか。それを捨てなければ幸せになれないというのでしょうか。」
勇者「いいえ、違います。私は相手の事を考えるなといってるわけではないのです。他者の課題を切り分ける行為は、他者に関わる想いを全て断ち切りなさいというのとは違います。」
僧侶「と、おっしゃいますと。」
勇者「あなたは、むしろ、他者、もう少し広い、あなたが所属する大小様々なパーティーのために何ができるかを考え、実行するのが良いでしょう。ただ、その先に他者が自分をどう思うかを考えるべきではない、そこはもうコントロールのしようがない、他者の課題だといっているのです。」
僧侶「なるほど、それを伝えたくて、演技をしたわけですね。」
勇者「はい。」
僧侶「私は不安障害かもしれないのですよ!緊張に追い込むような方法ではなく、もっと普通に言ってもらえれば理解できますよ!!」
勇者「、、、」
僧侶「私のは演技ではないですよ。」
勇者「あはは、、あ、冗談ですよ、冗談、、」
僧侶「、、、★♯♂s♪◉〜$$⌘、」
勇者「ちょっっ!!何を詠唱しているんですか!?すいません、、!えっ!?即死魔法??待って、ごめんなさい!!」
僧侶「私が何しようと、他者の課題なのでは?勇者様。」
[攻略の手引き]