第27章 がくしゃ の たーん
自身の目指す姿を文章にし、口に出して、強くイメージする。これを一日10回繰り返す事で、すぐにマイナスに考えてしまう癖がついた脳の回路を作り直すことができる。
僧侶「これって、毎回同じ内容が良いのですか。それとも変えていった方が良いのでしょうか。」
勇者「私の場合は、5個くらい理想を書き出し、ローテーションを組むようにしました。そうする事で複数のポジティブな脳内の回路が構築できます。その理想が達成できたら、また別のを考えるという感じです。」
僧侶「なんとなくですが、一つのこと何度も繰り返した方が回路は強くなりそうですが、、」
勇者「それはその通りです。でも我々は、いろいろな種類の課題に出会うわけですよね。そうするとなるべく広い適応力を持つべきなのです。たとえば、戦闘においてパワーが重要だからといって、ステータスをパワーに全振りしたらどうなるでしょうか。わずか1ターンで敵を殲滅できることもあるでしょう。でも、すばやさがゼロのため、不覚にも負けることもあり、10回中5回は負けてしまうかもしれません。」
僧侶「はい。」
勇者「一方、バランスよくステータスを上げておけば、毎回倒すのに3ターンかかってしまうかもしれませんが、10回中8回は安定して勝てるかもしれません。圧倒的勝利が必ずしも必要ではありません。安定して良い思考ができる道を作る事を目指しましょう。」
僧侶「よくわかりました。ちなみに、勇者様はどんな文章を考えられたのですか。参考に教えてもらえませんか。」
勇者「そうですね。たとえば、、、
・朝起きて、何をやろうかとワクワクしている。
・モンスター退治に家をでる。外の空気が美味しい。
・歩くと体がぽかぽかしてくる。血液が流れていくのを感じ気持ちがよい。
・パーティーのみんなと合流。おはようと、元気よく挨拶をしている。
・新しい洞窟にチャレンジしている。経験値がたまり成長していく実感ができている。
・私のしている仕事は、世界の誰かに貢献していると感じ、誇らしく思っている。
・会心の一撃が出て、とても嬉しい。
・酒場で友人と会い、あばれアスパラのソテーを食べながら昔話に花を咲かせている。
などなど、すぐに思いつかなくても、普段生活している中で意識すれば、いろいろでてきますよ。」
僧侶「なるほどー、たしかに普段ならこの数の愚痴を言ってしまっている気がします。」
勇者「それこそ負の思考回路がどんどん強化されてしまいます。ポジティブな性格というのは生まれもって決まるものではありません。脳の仕組みを理解して、変わる勇気を持てば、人は確実に変われます。それは精神論ではなく、脳の仕組みなのですから。」
僧侶「はい、やってみます!そういえば勇者様って、不安障害になってからどれくらいの期間で克服されたのですか。」
勇者「うーん。1年〜1年半ですかね。」
僧侶「えっ!!そんなにかかったんですか!?」