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庭仕事のサウンドスケープ
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『空耳日記』
この1年、身体がキツくなってきた父から30年ものの薔薇たちを受け継ぎ世話をしている。庭仕事をしてわかってきたのは、根本的にサウンドスケープで語られる「調和」と同じだということ。それぞれの植物たちの声をきいて心地よく響き合う「風景」をデザインする。自分にはそれが合っている。始めから設計図をつくり、自分の思い通りに庭を構築できる人もいるけれど、私はそういう考え方がどうも得意ではない。庭は人生観そのものだなとも思う。
天候不順や想定外の時間も多いので、コントロールしようとすると敗北感が積もる。緩やかにハプニングも楽しみながら、何より即興性を大切に関わりたい。家の中では息詰まる問題があっても、庭に出て話すと解決することもある。コロナ禍に限らず野外のひらかれた空気の大切さも実感する。
父がコツコツと作ってきた時間を蔑ろにせず(自分とは相容れない美意識も含め)、薔薇だけでなく雑草やトカゲや苦手な(泣)虫たちもひっくるめての「庭」である。虚栄心ではない「外目線」が道行く人の楽しみになったら良いし、何より内側の自然が生きたい方向に無理なく生きていったらよい。その水先案内のような作業を毎朝している。
庭とサウンドスケープの哲学。自分の内面が少しづつ変わってきているのを感じる。
「庭」や「風景」をテーマにした音楽は沢山ありますが、中でもジョン・ケージのピアノ曲『In a Landscape』は好きな曲です。西洋クラシックの伝統に則った構築的な音作りではなく、音が水平線に広がりながら生きものたちが静かに共生しているような音風景が目に浮かびます。
昔の自作曲には子どもの頃の夏に訪れた祖父母宅の自然にあふれた庭の記憶を音にした『光る庭 Summer Garden』(『青い花』収録1999)という曲があります。尺八(坂田梁山)さんと私のピアノのデュオ(2000)、同じく自身のピアノソロ(『Peace and Quiet』収録2005)2バージョンがありますので、よろしければリンクからお聴きください。
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