共感的コミュニケーション①自己共感
共感的コミュニケーション
社会にもっと、お互いに耳を傾けあったり、相手を傷つけずに伝えられる
コミュニケーションが広がるといいなと願っていて、
その方法として共感的コミュニケーションがとても有効だと感じています。
共感的コミュニケーションによって仕事においても、単なる仕事上の関係性だけでなく、立場を超えてお互いに支援しあえる関係性を築いていける可能性を感じています。
この共感的コミュニケーションは、
『NVC 人と人の関係にいのちを吹き込む法』という本に
体系的に書かれています。
関係性を作る上でとても大事なスキルとあり方が身につく、
共感的コミュニケーションを
誰もが知っている社会になってほしいという願いがあります。
私はまだまだ学び中ですが、共感的コミュニケーションのエッセンスを私なりに文章にまとめるチャレンジをしてみようと思います。
共感的コミュニケーションを大きく分けると、3つに分けられます。
・自分に共感する
・相手に共感する
・自分の思いを伝える
まずは共感的コミュニケーションの土台となる、「自分に共感する」から
できるだけわかりやすくシンプルにまとめてみます。
「自分に共感する」
例えば、「仕事で失敗してしまった」とか、「遅刻した!」というシーンを思い浮かべてみます。
一般的にはすぐに、なぜそれが起こってしまったのかを考えたり、どう言って説明しようかと考えます。
脳の反応として、最初は思考が働きますよね。
通常ですと、そのまま思考→行動すると思います。
「やばい!」と焦って慌てて理由を説明したり、「自分はダメな奴だ」と考えて落ち込んだり…
①観察する
自分に共感するステップではまず、観察をします。
まずは今何が起こったか、出来事を観察します。
「入力ミスをした」とか、「約束の時間より10分遅れて到着した」
また同時に、自分の中で浮かんできている思考を観察します。
「またやっちゃったよ」
「ミスした書類で提出しちゃった!どう説明しよう…」
「私ってほんとだらしないな〜」
「これは〇〇のせいだ」
などなど、いろいろと浮かんできますね。
そういう思考を「今自分は~~考えている」と観察します。
この思考は、事実ではない(事実かどうかまだわからない)ということを
意識することがポイントです。
②気持ちに気づく
次のステップは、気持ちに意識を向けます。
事実の観察から沸き起こる気持ちにフォーカスします。
「とっても残念だ…」
「間違えてしまって悔しい」
「人を待たせてしまって悲しい」などなど
忙しい日常の中では、気持ちをしっかりと味わうことは少ないと思います。
むしろ、感じないように押し殺したり、無かったことにして、すぐに対処しようとすることが多いのではないでしょうか?
もしくは、自分の思考(事実ではない推測や決めつけ)を事実としてとらえ、それをもとに対応することが多いと思います。
また、気持ちと似た「思考」もあるので要注意です。
こちらのNVC JapanさんのHPにある感情リストを見ると、参考になります。
感情をいくつか見つけたら、最も強く感じる感情を1つか2つ
じっくりと感じてみます。
③自分が必要としていること
気持ちを感じたら、その気持ちはどこから出ているかを見つけます。
自分はいま何が必要だから、その感情が湧き出てきたのか?
ここが通常の考え方とは違うので、最初のうちは分かりにくいところです。
通常であれば
「ミスをした。だから残念なんだ」
「遅刻してしまう自分。その自分にがっかりする」
というように起こった出来事が原因で、気持ちが沸き起こったと考えますが、共感的コミュニケーションでは、
「必要としていること・大事にしたい価値観」があるから気持ちがわく
と考えます。
気持ちは「必要としていること・大事にしたい価値観」を教えてくれている
サインと捉えます。
この「必要としていること・大事にしたいこと」を、NVCでは「ニーズ」と表現します。ニーズは人間が誰でも持っている普遍的なもの、それがないと生きていけないものを言います。
こちらもNVC JapanさんのHPにあるニーズリストを見ると参考になります。
今自分は何を必要としているのか、を見つけてそれが自分の内側にたっぷりあることを想像してみます。
例えば、「残念に感じているのは信頼を大切にしたかったから」とか
「自分にがっかりしているのは秩序を必要としていたから」など。
もし自分を責める声があるとしたら、「自分への優しさ」が必要かもしれません。
自分が必要としているものが自分の中に十分あるとしたら、どんな感じでしょうか?信頼・秩序・優しさなどは自分の心をどんな風に満たすでしょうか?味わってみます。
④お願いする
大事にしたいことをしっかりと味わったら、それを満たすために、
「今ここ」で出来ることを「自分で」やります。
NVCでの通常のリクエストは、「人に対するお願い」なのですが、
NVC Japanの西東万里さんの1mmリクエストがとても効果的だと感じているので、私はこの1mmリクエストを取り入れています。
例えば信頼のニーズを満たすための「動作」を考えます。この動作は別に何でも構いません。
例えば、信頼を味わいながら「信頼している人の顔を思い浮かべる」など。
大事なのは、自分がニーズを感じられる動作をすることです。
私は、この1mmリクエストは、マインドセットの書き換えと理解しています。「信頼が不足している」と感じていた脳を、「信頼が十分ある」「自分で信頼を満たした」と書き換えるようなものだと思います。
これによって、今起きている自分の感情を相手になんとかしてもらうのではなく、自分で受け止めて、その奥の必要としていることを自分で満たすことができます。
自分で1mmリクエストをすると、体の感覚が変わり、落ち着きを感じます。
その状態で、相手に今お願いしたいことがあれば、それを表現します。
ここまでが自己共感のステップです。
かなり単純化しており、文章だけでは理解できないと思いますが、実際にやってみると、①の前の焦ったり落ち込んだりした心の状態が
変化していることに気づくと思います。プロセスを実践できると、心の中にゆとりや落ち着きを感じます。
このように自分の在り方が変化することで、焦った状態で相手に言い訳や説明をしたり、自分を責めたりするのではなく、
起こった現実をしっかりと受け止め、落ち着いた気持ちから相手への行動を選択することができるようになると感じています。
終わりに
長々とした説明になってしまいましたが、お読みくださりありがとうございます。「自分への共感」「相手への共感」「自分の思いを伝える」のまず最初の土台である「自分への共感」について文章にしてみました。
実際に身につけるには、練習が必要だと感じています。
私も練習途上ですが、自分への共感を知らなかった時とは、人との対話の質・自分へのかかわり方が全く違うものになっていることに驚いています。
対話の土台となる自分への共感。
自分が何かしてしまった時だけでなく、例えば「部下が失敗した」という時にも、「何やってるの?!」というイライラした状態で対話するのではなく、かといってイライラを押し殺して顔だけ笑顔で対応するのでもなく、
自分の感情を自分で受け止めてから対応できるようになると思います。
観察を取り入れてみると、いかに自分が推測や思い込みでコミュニケーションしているかに気づきます。
そんな思い込みも自分で受け止め、今何を必要としているか明確にすることで、相手に対しても誠実な行動ができることにつながると実感しています。
相手の話を聴く前に、また、相手に何かを伝える前に、まず自分を整えることができます。
次回は、「相手への共感」にチャレンジをしてみようと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。
ご感想などいただけましたら、大変嬉しいです。