見出し画像

【感想】地球の長い午後

2020年も終わりが近づいてきました
国からの自粛要請もあり、今年は年末年始を巣籠もりすることにしたので、小説をどかっと買いました。その中の一冊を読んだ感想を吐き出しておきます。


あらすじ

「地球の長い午後」は、1960年代のSF小説です。名作と呼び声が高く、ジブリの「風の谷のナウシカ」の元ネタと言われています。


舞台は数億年後の地球。月の影響で自転は停止しており、死に向かって膨張する太陽が地球の片面を焦がしている。地球では人間に変わって植物が世界を支配しており、人間は知性を失って現在の1/5程度に矮小化してしまっている。この世界では弱肉強食が自然の摂理であり人間も油断すると凶暴化した植物に食べられてしまう。人間は小さなグループを作り生活をしており、主人公の男グレンもそんなグループの一員だ。グループの中心は女性であり、男性は貴重な存在として危険から遠ざけられ丁重に扱われている。しかし、グレンは自分の考えが正しいと信じ衝突を繰り返すことで、グループから追い出されてしまう。ここからグレンの過酷な旅が始まり、やがて世界の真実へと到達する。その時グレンが選ぶ選択とは?

感想

正直期待していたほど面白いとは感じなかった。植物の支配する世界のあり方をどのように描き出すのだろうとワクワクしていたのだが、なんとも拍子抜け感は否めない。もちろん壮大な世界観には圧倒されるのだが、どうしてものめり込めなかった。以下はのめり込めなかった理由を考えて書いてみた。ただ、これを書くために一部見返してみたら引っ掛かりがあったので、今後、作者の訴えたかったことなど考察もしていきたいと思う。かなり難しい内容なのでもう一回読まないといけないなぁと思う。


理由1 主人公に感情移入できない

主人公グレンに全く感情移入できない。客観的に見ると非常に悲惨な状況に追い込まれているのだが、それが臨場感を持って感じられない。というのも、言い方は悪いが、グレンがバカに思えるのだ。裏を引き続けていると言ってもいい。人類から知性が消えているという設定なので当たり前なのだが、その場その場の感情に囚われた選択を行なっており、救いようがない。その選択をしなければいけなかった必然性が理解できなかったのだ。どうしても冷静になってしまって感情移入ができなかった。

理由2 衝撃の事実がピンとこない

作中で何回か衝撃の事実が発覚するシーンがあるのだが、周りの人間のリアクションが薄いせいか、いまいちピンとこない。また、その事実自体がうまく物語にリンクしていないように見える。作者オールディン氏の発想力は素晴らしいのに、その設定をさらっと流しすぎてうまく活かせてないように思えるのだ。もっと欲張っても良かったのではないかと思う。




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?