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<料理>「ワンチャンごはん」キムチの一生

「ワンチャン」といっても、犬のことではない。
「ワン・モア・チャンス」の略だ。

レフトオーバー(残りもの)となったものをリメイクしまくり、最後の最後まで食べ尽くす…という、しみったれたというか、根性の入った食事の流れを意味する。

「フードロス」について考えて、できるところからと始めたことだが、冷蔵庫で出番を待つレフトオーバーを「どうしてやろうか」と頭を使う「脳みそに汗をかく」作業でもあり、楽しい上にクリエイティブ。

「生活を楽しむ」手仕事のひとつとして、いつも楽しんで取り組んでいる。

今回は、白菜のキムチ(ペチュキムチ)。
もちろん自家製だ。

かれこれ15年くらいは作っているだろうか。
元になったレシピはあるが、勝手に改変してしまった。

さらに、わが家の場合はだいぶ前からヤンニョムに使う調味料を自作化したので、かなり「わが家の味」と言い切っちゃっていい感じになっている。

そもそも「キムチは家庭ごとに作り方が違うもの」と聞いているので、これでいいんだと思う。

大量に漬けると保存場所に困るので、1回の漬け込みで半割の白菜を使っている。

アメリカの白菜は水分がやや少ないのか、レシピ通りに陰干ししてから使うと水分がしっかり出なくて作りにくいので、いきなり塩漬けにしてしまう。

ニラが手に入れば使うが、いつもあるとは限らないので、そんなときはスカリオン(日本で言うワケギに近いネギ)を使う。
他の野菜は入れない。

塩漬けして下ごしらえした白菜に、手で白菜の1枚1枚にキムチヤンニョムを丁寧に塗って(これは支配人の大好きな作業)、くるんと丸めて漬け容器に収める。

しっかり蓋をして嫌気環境を作り、そのまま一週間ほど室温で発酵させる。
プクプクと発酵してきたら、冷蔵庫でさらに熟成してできあがり。

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わが家は乳酸発酵で酸っぱくなったのが好きなので、しっかり漬けてから食べる。

普通にザクザク切ってごはんと一緒に、おつまみに、麺のトッピングにと、いろいろな形で楽しむ。

そして、最後のひとつ(1/4株)になったら…。

白菜はざく切りにして具材に、漬け容器に残っているヤンニョムはスパチュラでしっかりぬぐって調味料にして、ぜんぶを使ってキムチチゲを作る。

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出汁は煮干し。

具は豆腐、玉ねぎ、根菜(人参、大根)、きのこ、ネギ(またはリーク=ポロネギ)を入れるのは決めているが、ほかはその時あるものでまとめる。

タンパク質は豚肉のときもあれば鶏肉のときもあるし、イカや白身魚で海鮮のときもある。入れずに野菜だけのことも。

玉子は落としたり落とさなかったり、気分で。

ホクホクと汗をかきながら具をいただき、お汁を少し楽しんだら、わたしたちはそこでお腹いっぱいになってしまうので、残りはしっかり保存する。

で、数日後にもう一度!

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ちょこっとのこった具と鍋汁をベースに、エスニックな麺で食べきるのだ。

汁の量が足りなければ、追加の出汁や保存してあるボーンブロスを足したりして調整する。

味付けは醤油と塩で。ナンプラーでもいい。
キムチヤンニョムがベースなので辛さは結構にあるが、好みで唐辛子を使ってブートアップ。

この日は米麺を使ったが、ラーメンの麺でも、ひやむぎでも蕎麦でもうどんでも、好きなもので美味しい。

キムチヤンニョムがベースのところに、いろいろな具材の出汁がでまくったスープはとにかく複雑な味わい。
味付けを軽くして、最後までしっかり飲んでしまう。

実はこれ、わが家が少食のあまり、チゲのときにシメまで一気にたどり着けないので編み出した「ワンチャンごはん」なのだ。

こうして、容器のヤンニョムまですっかりさらったキムチは、一生を終える。

最近はいつもキムチを切らさないようにしているので、しばらくしたらまたチゲを食べる日が来ると思う。

今度は麺じゃなく、雑穀ごはんのおじやにしてみようかな。

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