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漢字談義②漢字が書けない

最近はPCやスマホを使うことが多くて、字を書く機会が減りましたね。当然書けていたはずの簡単な漢字が頭に浮かばなくなって困ったという経験のある方は多いのではないでしょうか。

私自身もしょっちゅうそんなことがあり、日々情けなく感じています。特に、机に向かって書くのではなく、黒板に向かって書こうとすると「あれ?」となることが多いです。これはどうしてでしょうね?? 字を書くとき、手を動かす方向と重力の関係が変わるからでしょうか?

あるとき、「飛」が書けなくなっていることに気づきました。わりと好きな字で、子供の頃何度も書いたはずなのですが。検索すると書き順を示す動画が出てきたので、それを見て何度か練習して間違わなくなりました。それでも、しばらく経ってから書いてみるとまた書けなくなっていたりして、しょうもないですね。

さて、物忘れ外来をしていると、「漢字を忘れた」と訴えて来る患者さんがとても多いと感じます。漢字を忘れるというのは、出来事を忘れるいわゆる健忘とは違いますが、様々な理由で書けなくなるようです。

偏までは書けるけど旁が出て来ないという人がいます。また、似た別の漢字が邪魔して目的の漢字が浮かばないという人もいます。よく聞くと、字を忘れたのではなく、字を書くという動作がうまくできなくなっていることもあります。 

考えてみたら、平仮名もなかなか難しいですよね。「ふ」とか今だにうまく書けたと感じることが少ないです。平仮名は、画数を意識することなく丸みを作りつつ全体のバランスを取るのが難しいと思います。不思議なことに、漢字は書けるのに平仮名の方が書けなくなる患者さんもいます。

いずれにしても、字を書く時には、キーボードで文字を選ぶのとは比べものにならないほど、様々な脳機能が必要になります。逆に考えれば、字を書くことで脳の広い領域を活性化することができます。そんなわけで、私は認知症予防に字を書くことを強くおすすめしています。

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