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親との距離感に悩むアラサーへ|自分を守るための考え方
1. はじめに
「親とは仲良くするのが当たり前」「親を大切にしなければならない」——そんな価値観に違和感を覚えながらも、「親を嫌うのは良くない」「親には感謝しなきゃ」と思ってしまう自分もいる。
この相反する気持ちに戸惑い、親との距離感や接し方に悩む人は少なくないのではないか。
私自身、30歳を過ぎてから親との関係について改めて考えるようになった。
最近になって「アダルトチルドレン(AC)」という言葉を知り、自分の生きづらさの要因が幼少期の環境にあるのではないかと思うようになった。
この1年ほどは「自分を取り戻す」ことをテーマに試行錯誤してきた。
この記事では、そんな私の経験をもとに、親との距離に悩む人が少しでも気持ちを整理できるように、考えたこと・実行してみたことをまとめていこうと思う。
2. 親との距離感に悩む理由
幼少期は、親の言動が“普通”だと思っていた
私が3歳の頃、両親は離婚。私は母に引き取られ、その後すぐに母が再婚し、新しい父と義兄と4人家族となった。
さらに弟と妹が生まれ、6人家族になった。
そんな環境の中で、当時の私は「これが普通の家庭なんだ」と思っていた。
たとえ少し違和感があったとしても、「こういうものなんだ」「これが仲の良い家族の姿なんだ」と受け入れていた。
例えば、
• 私や妹、母のことを『ブタ・ブス・デブ』と呼び、笑いものにする父
• それを本気で止めようとしない母
• 「コミュニケーション」という名の暴力(叩く・蹴る)
• 失敗やドジをすると、大声で笑いながらバカにされる
• 母は趣味のために家を空け、私は妹たちの面倒を見る
• 他の兄弟と比較され、「手がかからない」「優秀」と評価される
• 貯めていたお小遣いを母が借りる(結婚後も続く)
• 家の外では愛想がよく、これらのことは一切表に出さない
• 家では笑い声が絶えなかった
「どの家でもあること」だと思っていた。
「そういうものなんだ」と思い込み、親の考えに従うことが正しいと思っていた。
自分の気持ちよりも、「親が私を面倒くさいと思わないこと」を最優先にしていた。
親に反論するという発想すらなかった。
自分の意見を持つことよりも、親の期待に応えることを優先していた。
「なんか変だったかも」と気づいたのは30歳になった頃
社会に出て、さまざまな価値観に触れる中で、「もしかして、うちの家庭は少し違ったのかもしれない」と思うようになった。
そういえば、他の家庭の話を聞いて「うちとは違うなぁ」と思うことが多かった。
• 友人が「親に相談したら応援してくれた」と話しているのを聞き、「親ってそういう存在なの?」と驚いた。
• 「親と対等に話せるなんてすごい」と思った。
• 「私も本当は、もっと自由に話せる関係がよかったのかもしれない」と気づいた。
それと同時に、自分の生きづらさの原因が、親との関係にあるのではないかと思い始めた。
• 人の顔色をうかがってしまうのは、親の機嫌を気にしていたからかもしれない。
• 自分の気持ちより相手を優先してしまうのは、親の価値観に従うクセがついていたからではないか。
そう思うと、今まで「当たり前」だと思っていたことが、実は違ったのかもしれないと感じるようになった。
親との距離を考えることは、自分の人生をどう生きるかというテーマ
• 「親の機嫌をうかがって生きてきた」
• 「親の期待に応えることが自分の役割だった」
• 「本当の自分を出すと否定される気がする」
アダルトチルドレン(AC)の特徴を知ったとき、「自分に当てはまる部分が多い」と感じた。
• 親の価値観を最優先し、自分の気持ちを抑えてきた
• 傷つきやすく、自己肯定感が低い
• 人間関係でも「相手に嫌われたくない」と思いがち
• 「親だから」という理由で苦しむ
• 「親なのに、どうしてわかってくれないんだろう?」という絶望感
• 「親を嫌いになりたくない」という葛藤
• 「距離を取る=親を見捨てること?」という罪悪感
これまで自分の気持ちを後回しにしてきた私は、ふと「私は本当は何をしたいんだろう?」と考えるようになった。
いまからでも、自分の人生を自分で選び取ってみたい。
そのためにも、これまでの自分を作ってきた「家族」との距離を見直したい——そう思い始めた。
3. 自分を守るために実践していること
① 物理的な距離をとる
• 会う頻度を減らす(無理に会いに行かなくてもいい)
• 連絡の頻度を調整する(すぐに返信しなくてもいい)
• 必要以上に深い話をしない(あえて表面的な会話にとどめる)
以前は、母親とは週に1回以上顔を合わせることもあったが、その距離を見直した。
仕事の昇進や資格の勉強で忙しいことを理由に、徐々に会う頻度を減らし、現在は1年以上顔を合わせていない。
また、母親と同じ趣味を持っていたが、狭いコミュニティのため、距離をとる目的で仕事を理由に休止した。
趣味を諦めることには葛藤もあったが、それ以上に「自分の心が平穏でいられること」を優先することにした。
② 心理的な距離を意識する
• 「親の言葉=絶対」ではない と意識する
• 「親の期待に応えない自分」を許す練習をする
• 罪悪感を持っても、すぐに行動しない(冷静になる時間を作る)
親の気持ちを察して同情する前に、まずは 「自分の気持ちを無視しないこと」 を大切にする。
「自分を当たり前に大切にできてこそ、周りの人を健全に大切にできる」
「自分を犠牲にしてまで相手を優先するのは、不健全な形である」
この考えをまずは強く自覚し、「親にとって都合のいい自分」でいることをやめる決意をした。
③ 自分の価値観を優先する練習
• 親の意見ではなく、 「自分が本当にやりたいことは何か?」 を考える
• 「親に認められるか」ではなく、「自分が納得できるか」 を基準にする
• 「自分が幸せでいることが一番大事」 と言い聞かせる
キーワードは 「本当は、自分は何がしたい?」
結果的に相手に合わせる選択をすることもあるし、それ自体は悪いことではない。
ただし、 「自分で決める」という選択肢すら持たない状態にはならないようにしたい。
「自分にもっと気を遣ってあげる」——
これを意識するだけでも、今までの無意識の習慣から抜け出すきっかけになると思う。
④ 無理に許さなくてもいいと考える
• 「許すこと=関係を修復すること」ではない
• 「理解できなくてもいい」と思えるだけで、気持ちが楽になる
• 許せない気持ちがあっても、それはそれでいい
「親を許せない」と思う気持ちを、まずはそのまま受け止める。
ここでもやっぱり 「まずは自分の気持ち」 を大切にする。
結果がどうなるかは考えず、 「私は本当はどう感じているんだろう?」 と問いかけてみる。
「親を許しているかどうか」は、あくまで 心の中の問題 なので、言葉や行動で表現しない限り、誰にも分からない。
だからこそ、自分に問いかけることは自由。
親友に話しかけるように、自分に尋ねてみる。
「ねえねえ、自分はどう思ってるの?」
大事なのは 「何をしたか」ではなく、「自分に問いかけたかどうか」。
自分の気持ちに意識的に耳を傾けることを、わざとらしくても、大袈裟にでも、強制的にでもやってみる。
そうすることで、 親とどう付き合いたいか が少しずつ見えてくるし、自分の人生を歩むための第一歩 になる。
4. 距離を取ることへの不安と向き合う
「親を大切にしない自分は冷たいのでは?」という罪悪感
「親を大切にできない自分はダメ」—— そう思ってしまうのは、日本の文化や価値観の影響が大きい。
きっと親自身も、同じように親から「親を大切にしなさい」と言われて育ってきたのだろう。
でも、考えてみてほしい。
• 自分を大切にできてこそ、他人を本当の意味で大切にできる。
• あなたが幸せでいることが、本当は親にとっても良いことなのかもしれない。
だからこそ、 「あなたが心安らかに過ごせる方法」 を探してみてほしい。
「距離を取る=完全に絶縁する」わけではない
親との関係は、 「こうしなければいけない」と一つに決める必要はない。
大切なのは、 「今の自分にとって適切な距離感を探ること」 であって、必ずしも関係を断つ必要はない。
もちろん、 「断つべきなら断つ」 という選択肢もある。
ただし、一度絶縁すると修復は難しくなるため、慎重に検討することが大切。
たとえば、私の場合——
• 家族LINEには、誰かの誕生日や記念日ごとに通知が来るが、 スタンプ1つで返すだけ。
• 個別にメッセージが来た場合は、 「仕事と資格勉強で多忙なので、時間ができたらこちらから連絡する」 と伝えている。
「親との関係は、白か黒かではない」
グレーなままでいい。
距離を取ることは、 「親を捨てること」ではなく、「自分を大切にすること」 なのだから。
5.距離を取ることで感じた変化(良かったこと、辛かったこと)
「精神的に楽になった(あまりにも!)」
親との距離ができたことで、 「自分は自由に生きてもいいんだ!」 と思えるようになった。(今思えば当たり前のことなのに)
それだけ、 自分が親の理想像に縛られていた ことを実感した。
「自分の気持ちを大切にできるようになった」
歩行者優先なのに、いつも車に「お先にどうぞ!」と言って横断歩道を渡れなかった昔の私。
それが、 「歩行者優先」というルールを知って、手をあげて堂々と渡れるようになった —— そんな感覚。
多くの人が当たり前に知っていることに、私はずっと気づけずに大人になってしまった。
「自分の気持ちは、何があっても、どんな結果になっても、省略されるべきではない大原則である。」
そう認識するだけで、 「ああ、自分は生きているんだ」 という実感が湧いてくる。
そして、周りの人も 「自分の気持ちを大切にしていい世界」 に生きていると気づけるようになると、
少しずつ 自分も、周りも許せるようになってくる。
そうすれば、自己否定や自罰的な言動も自然と減っていく。
いい循環ですねえ。
「親からの言葉に振り回されることが減った」
物理的に距離をとることで、 自分の意思で選択する回数が必然的に増える。
そして、自分に問いかける習慣がつくと、 「自分のための、自分だけの人生」 が広がっていく。
あとは、 心の中に住み着いたあの頃の親と向き合うだけ。
「本当にこれでよかったのかな?」と悩む瞬間もある
距離を取っても、やっぱり 悩む時はある。
怒り、悲しみ、憎しみ……
「もう絶縁しかない!」と思う瞬間もあれば、
時間が経てば気持ちが落ち着いたり、また再燃したりと、 感情は一定ではない。
絶縁すべきかどうかは、慎重に考えればいい。
まずは、
• 連絡の頻度を減らす
• 親に無理に合わせるのをやめる
• 理想の子ども像を演じようとしない
こんな小さなところから始めてもいいかもしれない。
親の経済的・心理的支配から抜け出し、1人の自立した人間として生きる。
それを、自分自身にも、そして親にも示していこう。
6.まとめ
• 親との距離感に悩むのは、決して珍しいことではない
• 罪悪感を持つのは当然。でも、それで自分を犠牲にする必要はない
• 「適度な距離を取ること」が、自分にとっても、親にとっても大切な場合がある
• 無理に関係を修復しようとせず、「自分はどうしたいか?」を大切にする
私と同じように悩みを持つ人達の気持ちが、少しでも軽くなって、自分の人生を歩めますように!一緒にゆっくり歩いていきましょう。