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10月 見たもの読んだもの

ヒコロヒー「きれはし」(Pヴァイン)

ひとりで関西で仕事の下見に行った初日、新大阪駅で買って、その日で読んだ。おばあさんの性愛小説も手に取ったけど、それは買わなかった。新大阪から兵庫の丹波篠山を在来線で往復して、移動と待ち時間に4時間とか5時間とかあった日だった。私はどうも、気になる芸人にはエッセイから入ってしまうことが多い。すごく久しぶりに活字がするする読めて、そのことが嬉しかった。


金原ひとみ「パリの砂漠、東京の蜃気楼」(ホーム社)

これもエッセイ。ニューオータニ36時間ステイの間、小さい角部屋で、時折遠くのスカイツリーを眺めて、だらだらと酒を飲みながらずっと読んでいた本。幼い子どもがいても、結婚してても、死にたい気持ちは消えなくて、破綻した心の持ち主は意外にも締め切りを守り、生活インフラを維持することを放棄していなくて、それでもやっぱり酷く孤独であることが、あっていいことなのだと、あり得ることだと知れて、そのことが救いだった。


田嶋列島短編集 ごあいさつ(モーニングコミックス)

あんまりよくわかんないけど、こういう世界のなかから出てきたくないときはある。


「安野光雅ーキャンバスが絵になるとき」(山川出版社)

津和野で安野光雅美術館に行って、ミュージアムショップで買った。おばあちゃんに連れられて行くまで、いまいち誰のことだか分かっていなくて、美術館に着いたら並んでいる絵本が端から家で読んできたものだったので、現金にも懐かしい厳かな気持ちで絵を見て回った。子どもみたいな目と、大人みたいな勉強量と、締め切りを守る力が全部備わっている人がこの世に入るんですね。旅先で見るもの、自分だけの頭に浮かぶもの、そのどれにしたって、あんな風に描き出せたらどんなに楽しいだろう。



最近の私は、地道にボクシングに通うことを続けています。





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