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土・風・水と太陽と。瑞穂の神が宿る建築|滋賀

私は建築物が好きです。
その中でもとりわけ心を惹かれるのが、
建築史家で建築家・藤森照信さんの建築です。

斬新で奇抜なのに、自然と調和して懐かしさや安らぎを感じる不思議な感覚。

縄文時代の竪穴式住居やトルコのカッパドキアのような、原初的な面影を色濃く感じます。
それは、建築というよりも自然の“間借り”。
私はそのように感じています。

藤森照信さんの建築物
岐阜県多治見市モザイクタイルミュージアム

ラ コリーナ近江八幡へ

そんな藤森建築の集大成とも言えるのが、滋賀県近江八幡市にある「ラ コリーナ近江八幡」。1872(明治5)年創業の菓子舗「たねや」さんの本社兼お店です。

全体マップ

駐車場からゲートを潜ると一面に「おかめ笹」が生い茂ります。

おかめ笹と草屋根のメインショップ

久しぶりの訪問ですが、ずいぶん笹が高くなって驚きました。
その先には、草屋根と個性的な形をしたメインショップ。
まるで、雲海に浮かんでいるかのよう。

屋根の上には松の木が風に揺れています。

屋根一面には草が生えている

もうすでに幻想的でこの世のものとは思えません。
スタジオジブリの作品に飛び込んだ感覚になります。

ランランララランランラン♪

草屋根のメインショップ

入り口の横、軒下
土壁と軒を支える柱に自然をいっぱい感じる

建物の中に入ると1階には和菓子とバームクーヘンの売り場、
2階にはカフェがあります。

ここでしか販売していないお菓子もあって、ついつい手が伸びてしまいます。

壁にはお菓子の型も展示されていて、さながらミュージアムです。

松竹梅に鶴や亀、鯛に海老。
何かいい事がありそうな予感
メインショップを裏側から

田んぼ

メインショップを抜けると今度は、田んぼが。
従業員の皆さんで田植えから米作りをされるそうです。
今の時期は稲刈りも終えて一休み。
一面の草が風にそよぎます。

建物に囲まれて田んぼが広がる

ところどころに配された石が、日本庭園?宇宙船?惑星?などを思い起こして、空想が広がります。一つ一つの石に人格も感じて、まるで対話をしているようにも思えます。

土のオブジェ。扉は実際に開く。小さな子どもさんが通り抜けていた。
小人さんが住んでいそう

フードガレージ

田んぼの周辺には個性的な建物が並びます。

お団子やバームクーヘンを使ったスイーツ、コーヒーなどが楽しめるフードコートエリアには、田園風景とは打って変わって、ガレージが現れます。

ガレージ?

建の中にはロンドンバスやレトロな車、スクーターなどが所狭しと並んでいて、その合間がお菓子やパンの売り場になっています。

中にはロンドンバスが。お菓子とパンの売り場です。
ロンドンバスの中にはマカロンが

バームファクトリー

田んぼを挟んで反対側にはバームクーヘンを製造している工房を見学できる「バームファクトリー」があります。

潜水艦みたいな建物(本社)とバームクーヘンの工房

建物の中は、ちょっと年代を感じさせる工場の演出。
錆びた鋼鉄の柱と少しエイジングされた木材が、手作り感を醸し出しています。

バームクーヘンのオーブン1号機が展示されている
工房の中。階段もすてき

工房の中ではオーブンの前で職人さんが一つ一つ丁寧に焼き上げておられます。
美味しそうなバームクーヘンがいっぱい…目から涎が出そうです(笑)

職人さんが丁寧に焼いている。

土・風・水と太陽と。

ここは、まるで瑞穂の神が宿る場所。

藤森さんの独創的な建築を中心に、自然と人とものづくりが調和する、どこか懐かしいけど、安らかな未来を感じる空間を作り出しています。

建築ってすごいですね。

私もこれまで何度も訪れていますがそのたびに、植物が成長するなど常に変化をしています。

機会があればぜひ、訪れてみてくださいね。

風と土と水、太陽を感じる

今日のお菓子

たねやさんでは、令和6年12月20日から数量限定で、福井県の黒龍酒造さんとコラボした「酒饅頭」を販売されています。

廃棄されるお米を原料にした紙で作ったパッケージ
紋様が「米」になっている

包装を開けた途端、日本酒の香りがふんわり漂う。
きめ細かなこし餡を純米大吟醸の酒粕を使った生地が包み込んでいます。

あんこがたっぷり

実食!
まず、日本酒の芳醇な香りと味わいが口いっぱいに広がって、その後、こし餡のほのかな甘みがやってきます。

一瞬お酒感を強く感じましたが、こし餡と交じり合うことで、すーっと穏やかに。私のようにお酒が苦手な方でも楽しめると思います。

酒樽を見立てたのだそう

関西ではラ コリーナ近江八幡のほか、うめだ阪急店
関東では伊勢丹新宿店、日本橋三越店の限定販売だそうです。
お早めに!

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