憧れのまほうつかい
タイトルはさくらももこさんのエッセイのひとつ。
さくらさんが憧れている絵本作家のエロール・ル・カインさんについてのお話し。
エッセイの中でルカインさんの訃報を知ったときのさくらさんの胸の内の言葉がとても印象に残っている
さくらさんの訃報を聞いたとき、わたしの頭の中にこの一文が蘇ってきた。
わたしにとってさくらさんは憧れのまほうつかいのひとりだった。
子供のころさくらプロダクションで働くにはどしたらいいのかを考えたこともあった
(大学生の就活時代にも募集がないか確認した)
さくらさんの描く絵が好きでコジコジや動物の絵を真似して書いていた。
さくらさんの訃報のニュースをみた日
どんなに日常に馴染んでいて当たり前の存在になっていても永遠などないのだと深く実感した。
子供のころ母の本棚にはさくらさんのエッセイがたくさん揃っていた
さくらさんの目線で語られる何気ない日常の話は面白い。
わたしが動物や旅行好きになった理由のひとつにはさくらさんの影響があると思う。
何よりわたしは、さくらさんが“好きなこと”を仕事にしていたところが大好きだった。
漫画家を目指して応募を続け、自分の漫画の方向性が定ったときにデビューが決まりゆくゆくは長寿アニメとなり
エッセイでは自分の日常を楽しそうに伝えている。
動物のこと、旅行のこと、可愛らしい小物のコレクションや宝石への思い。
お茶や食へのこだわり
好きな芸能人のこと、結婚したこと
出産したこと、離婚をして再婚したこと
もちろん苦しいことも大変なことも沢山あったと思うけど
自分の“好き”を大事にして突き進み、発信しているさくらさんはとても素敵だった。
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そんな子供時代に感じた「好きな事をしている人」に対する憧れは
大人になってもずっと残っている。
わたしは“好き”を仕事にしている人や
“好き”なことに取り組んでいる人をみるのが好きだ。
人間関係だって旦那さんや彼氏のことを大切にしている女性って美しいと思し
奥さんや彼女を大切にしている男性は格好良い
好きを大切にするって素敵だ。
仕事に対して、なんて事ない感じで「〇〇してるときは大変だけど、やっぱりこの仕事好きなんだよね」と語る男性はとても魅力的に感じるし格好良いと思う。
わたしが好きになる人は大抵そういう男性だった
だけど、わたしはずっとその「好きなことをしている側」には立てないと思っていた
「好きな仕事」をしている人は本当に一部だと思っていたし
「好きなこと」を発信できる才能もない
そもそも“わたしには何もないと”思う気持ちが強かった
それだけが理由ではないとは思うけど
わたしは“自分の仕事が好き”な男性とはうまくいかなかった
わたしの憧れの押し付けや
自分には無理だからという卑屈な部分が見えていたのだと今なら思う
そういった卑屈な気持ちの根本は
自分のことが好きになれないという思いの強さだと思う。
自分のありのままでいては人から好かれたりすることは遠いできごとのように感じていた。
愛される人には愛される理由があるのに
存在だけで無条件に愛されるいるのだと思いこみ
永遠にそっち側には立たない気がしていた
そんな気持ちのままだと
そのままのわたしを見てほしいのに取り繕ってしまったり
対等な関係を望むのに下手に出てしまったり
なんとも不器用な生き方をしてきたんだと実感している。
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ここ一年はわたしにとって大きな変化の日々だった。
仕事を辞める決断をしたこと
実際に仕事を辞めたこと
この経験で本当に大切にしたい人間関係が見えた。
辛さから逃れるために変わりたいと思った。
自分と向き合いたい、こんなままでいたくなくて
お金をかけて自分と向き合う機会を作った。
その自分の行動のお陰で自分のことが前よりだいぶ好きなった。
他にも見えたことがある。
嫌いなはずの会社だったけど
取り扱っていた商品のことは好きだった、長く働く中で好きになった。
わたしもちゃんと“好き”と関わりながら働けていた事に気づいた
前職の上司の言葉を受けてわたしは
今までの9年間で何も得られなかったような気持ちになり、働いてきた期間が無意味に感じて泣いていた。
社会にも人間関係にも居場所がないような気持ちにもなった。
だけど自分と向き合った先には、職務経歴書の枠いっぱいに自己PRが書けるくらい自分がやってきたことに自信がついた
1番の変化は周りの大切な人達の「憂理はそのままでいいんだよ」という言葉を信じられるようになったこと。
以前は、優しい人達だからそういう事を言ってくれるんだ
そのままでいいなら苦労しないのに、と斜に構えていた。
どんなに大切な人達の言葉でも受け取る側が扉を閉めていると入ってこないのだと気づいた。
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わたしの憧れの魔法使いはもういないけど
心の中にずっと残っている。
わたしが忘れなければわたしの中では永遠だ。
わたしは今までのたくさんの“憧れ”に出会ってきた。
そしてこれからもたくさんの“憧れ”に出会って行きたい。
夢を見てるなんて思われるかもしれないし
理想が高すぎると思われるかもしれない
だけどその“憧れ”に向かって進んで行きたい。
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