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高次脳機能障害と構成障害


  • 構成障害は視覚認知障害が基底に認められる構成行為の障害である。

  • 構成障害のスクリーニング検査として立方体の模写や組み立てテストが用いられる。

  • 視覚認知障害の重症度が構成行為のプランニングに影響を与える大きな要因である。

  • 模写による訓練は認知面の障害と行為面の双方の障害に対して有効である。

  • 構成障害の概念は高次神経機能障害を呈する患者において、図形模写などの簡単な構成行為に困難を示す例をよく経験する。

  • 構成行為の障害に対しては構成障害あるいは構成失行という用語が使われている。

  • 過去50年間以上にわたりそれぞれの用語は明確な定義付けがあいまいのまま使用されている。

  • 構成失行という用語が用いられることもあるが、現実には学習された動作や行為の遂行障害を意味する「失行」という概念を厳密に満たしていない。

  • 構成行為の障害を記述するために、構成失行という表現ですべてを記している論文を見かけることは少なくない。

  • 構成障害と構成失行についていまだ共通した理解がないまま、それぞれの立場で臨床症状の記述に使用している。

  • 構成行為に必要な条件はおもに視覚的認知機能としての認知面と、実際に行為を遂行するためのプランやプログラムに基づく行為面に分けることができる。

  • 認知面の障害である視覚認知障害は対象の細部をとらえたり、比較照合などを行う視覚認知の障害を広く含んでいる。

  • 視覚認知機能とは、対象を分割したり、全体に合成しなおしたり、図地の弁別をしたり心的な回転を試みたりといったことができないことと理解されている。

  • 行為面の代表的な概念はいわゆる構成失行としてとらえられる。

  • 構成失行は視覚や運動それ自体の障害ではなく行為の障害、あるいは行為のプログラムへのアクセスの障害である。

  • 視覚認知面の障害が存在するかぎり純粋な行為面の障害を取り出して分析することが難しい。

  • 高次神経機能活動は認知に基づく情報を取り入れて、初めて行為のプログラムが成立すると考えられる。

  • 情報処理過程では視覚的に提示された刺激課題を、まずはじめに正しく認知しなくては正しい行為へ結びつかない。

  • 視覚的認知に関する最初の入力情報は視覚認知面から行為面へと、一方向性に流れると仮定される。

  • ある簡単な図形の模写を試みる場合、その図形の細部を見落としてしまっては、その情報を基にした行為面のプログラムを正しく成立させることは難しい。

  • 構成行為の検査でもあり、知能検査とも相関が高いコース立方体検査なども常に行為面だけをみているわけではない。

  • 構成失行と判断された症例のほとんどが、何らかの視覚認知障害を指摘されている。

  • 構成障害は視覚における認知面の障害に重みをおきつつ、行為面の障害を含んだ概念を示す用語として用いるべきである。

  • 構成失行はより行為面の障害に重みをおいた概念として用いるのがふさわしい。

  • 構成障害を検出するスクリーニング検査として簡便に実施でき、課題自体も難易度が高くないものが望まれる。

  • 構成障害の検査は、非利き手を使用してもその影響が最小限に抑えられることが重要である。

  • 複雑な図形を検査課題として用いることで難易度をあげ、構成障害の検出力をあげることは容易である。

  • 構成障害の検査課題が何をみているのか、どの程度の構成障害のみをみているのか、知的な側面をみていないかといった点を見極めることが困難である。

  • ブロックデザインテストと知指数との相関が高いことはよく知られている。

  • 構成障害の検査としては、標準化された検査を使用することが望ましいと言われている。

  • 通常用いられる検査課題としては、手本を模写する協画課題とブロックデザインテストと呼ばれる組合せ課題が代表的である。

  • 模写課題としては標準高次動作性検査にも含まれている、立方体透視図が一般的に用いられている。

  • 立方体透視図の模写は実際の臨床場面でも高頻度に使われていることからも、妥当な検査課題と考えられる。

  • 定性的な評価がでできても定量的な標準化が行われていない点が、問題と考えられる。

  • ブロックデザインテストはコース立方体検査や、WAIS-Rなどにみられる積木模様の検査である。

  • 構成障害検査では、組合せ課題ができても模写課題ができない場合やその逆の場合など、さまざまな状況が考えられる。

  • 検査課題としてベントン視覚記銘検査、RCFT、コース立方体検査などが標準化された検査として利用するのに適している。

  • 構成障害検査のなかには、構成行為以外の側面を評価する目的で作られているものもあることから、その解釈には慎重さと多くの臨床経験が望まれる。

  • 構成障害の臨床的特徴が左半球損傷上右半球損傷例では異なるか否かという論点で長いあいだ論争が行われてきた。

  • 模写課題にしろブロックデザイン課題にしろ、左右半球間にはそれぞれ構成障害の特徴がみられるとする報告は多い。

  • 4個の積み木を使用するブロックデザインテストでは、左半球損傷例は積み木を正しい位置に配置するが模様を構成できないという特徴がある。

  • 右半球損傷例では、模様にとらわれて正しい位置に積み木を置けないといった特徴があげられている。

  • 立方体透視図の模写においても、左半球損傷では行為のプランニングの障害が指摘されている。

  • 右半球損傷例では図形知覚の段階の障害、特に半側空間無視の影響が認められるとする報告が多い。

  • 様々な研究を熟考すると、共通して視覚認知障害が構成行為の成績に関係しているという知見で一致している。

  • 損傷半球にかかわらず視覚認知障害の重症度が、構成行為のプランニングに影響を与える要因になることは想像に難くない。

  • 構成障害の診断にあたっては、視覚認知障害の程度を知ることが必要である。

  • 立方体透視図の模写のみに限らず、RCFTやレーヴン色彩マトリックス検査などの検査課題を利用して、詳細な症状分析をすることが必要である。

  • 視覚認知面の障害が強いのか、行為面の障害を認めるのか、あるいは半側空間無視や知的側面などの他の要因が関与しているのか、といった鑑別が可能になる。

  • 構成障害はあまりに包括的な概念であるため、構成障害の障害構造を深く掘り下げて検討する必要がある

  • 構成障害の障害構造を深く掘り下げて検討するためには、個々の症例ごとに視覚認知障害の程度や障害水準を詳細に鑑別しなければならない。

  • 視覚認知障害を鑑別するのに有効な検査の一つは、手本と同じ線画や図形を選択する同定課題である。

  • スクリーニング検査として標準高次視知覚検査があるが、詳細な視覚認知機能を鑑別するにはさらに課題の難易度を上げる必要がある。

  • 構成障害の責任病巣は脳前方、脳後方のどちらの病巣でも出現する可能性がある。

  • 構成障害および構成失行の責任病巣に関しては一定の見解がない。

  • 視覚認知障害は構成障害の基底をなす。

  • 視覚認知障害は他の障害とも密接に関連する。

  • 構成失書は視覚認知障害に関連した障害の一つ。

  • 構成失書は文字を構成する線分を熟知の文字に構成できない状態。

  • 構成失書は漢字を扱う日本において特異的にみられやすい傾向がある。

  • 構成失書では自発書字、書取、写字がともに誤る。

  • 構成失書は非常に希有な症状であり、構成失書に関する報告は多いとは言えない。

  • 構成失書の根底には、視覚認知障害が存在すると考えられている。

  • 構成障害の責任病巣検査において、MRIで両側前頭葉内側面および、脳梁幹部から膝部に信号域を認めた例がある。

  • 立方体透視図の模写では平面化し立体的にならなず、自発描画を手本とした模写も細部まで正確に描けない。

  • 音読ができず視覚的イメージの再生が困難で、正しい漢字を選択し、誤りを指摘する課題も難しいケースも多い。

  • 漢字そのものが構成的な描画物となってしまう性質があり、訪日した人々が日本語の難しさに苦労する理由は、無意識的に構成能力が働いているからなのかもしれない

  • 構成障害では、視覚的な弁別力も障害されていると考えられる。

  • 構成失書は文字を図形として模写するような構成障害と同じ発現機序である。

  • 文字課題と図形課題に共通の視覚認知過程の障害を想定する考え方もある。

  • 構成失書には構成障害を合併するが、構成障害をともなう多くの症例には構成失書を認めないことが多いと言われている。

  • 構成失書は構成障害と密接な関係がある。

  • 根底の障害構造は図形と文字という課題間の処理過程の違いを反映。

  • 視覚認知過程を詳細に検討すると、文字の視覚心像を得る過程と非言語図形を模写する経路の両方の障害が仮定できる。

  • 構成障害のリハビリテーションは視覚認知障害に対するアプローチが中心となる。

  • ブロックデザインテストによる認知リハビリテーションの報告は多くの論文に出てくる。

  • 描画課題によるリハビリテーションの報告はあたりみられない。

  • トレーシングペーパーを用いたトレースは、評価における描画課題でよく用いられる。

  • トレーシングペーパーを用いたトレースは、簡易評価に実施できる。

  • 構成障害患者にとっても容易な訓練法と考えられる。

  • トレーシングペーパーを用いた課題は認知面と行為面の双方に対応できるが、日常生活動作を通して構成障害の改善を試みるほうが実用的だ。

  • 左半球損傷で失語症を合併し視覚認知障害が重篤な症例では、文字の写字も難しいケースが多い。

  • 机上での構成障害の評価は、非言語図形のみでなく文字の書字訓練としても有効。

  • 机上での構成障害評価は、自分の名前のような親近性のある課題から始めることが多い。

  • トレーシングと模写を繰り返すことで、机上での構成障害は徐々に改善するケースも多いが自然回復の要素を見をとしてはいけない。

  • 右半球損傷例の左半側無視は視覚認知機能に関連しており、右半球損傷例の訓練法はよく検討され報告も多い。

  • 視覚認知障害は長期間にわたり持続する場合も少なくないが、時間経過の自然回復や訓練により少しずつ改善がみられる場合が多い。

  • 視覚認知障害の改善には時間がかかり、リハビリテーションは患者の状態に応じて調整する必要がある。

  • 視覚認知障害の訓練は個別化が重要で、机上での訓練だけでなく日常生活動作の中に認知リハビリテーションを取り入れる必要がある。

  • トレーシングペーパーを用いたトレースは患者の負担が少ないが、机上での訓練という限定的な側面がある。

  • 視覚認知障害の訓練は日常生活動作の認知リハビリテーションを通じて、根気強く続けることが重要。

  • 視覚認知障害の改善は患者のQOL向上に寄与する為に、視覚認知障害の訓練は家族の協力も重要。

  • 視覚認知障害の訓練は、作業療法士や言語聴覚士などの専門家の指導のもとで行うことが望ましい。

  • 視覚認知障害の訓練は定期的な評価が必要で、認知リハビリテーションの成果を伝達して患者の意欲を引き出すことは重要となる。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の個人因子や環境因子に合わせて進める。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の日常生活に取り入れることが重要となる。

  • 視覚認知障害の訓練は、患者の興味を引く課題を選ぶことで効果的となりやすい。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の達成感を重視することで、構成障害訓練のストレスを軽減するように誘導することも大切となる。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の生活の質を向上させる。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の家族の理解を深め、周囲のサポートを充実させることが必要。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の環境を整えることで、モチベーションを維持する工夫が大切となる。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の日常生活動作や社会参加を含めて、目標を明確にすることが重要となる。

  • 視覚認知障害の訓練は患者の進捗を記録する。

  • 視覚認知障害の訓練は患者のフィードバックを取り入れ、患者の成功体験を積むことが大切となる。

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