2人分のごはんの量がわからない
ぽっかり。
連休の終わりとともに、産後の里帰りをしていた長女は赤ちゃんと自宅に帰り、帰省していた息子も職場の近くのアパートへ戻った。
家の中のあちこちに点在していた子どもたちのたくさんの荷物がすっかりなくなり、リビングもキッチンも、洗面所でさえも、がらんとして見える。
ずっと玄関に置いてあった息子のクロスバイクも、彼がアパートへ持って行ったので、玄関も物足りないくらいに広く感じる。
彼らがいなくなった初日は、残っていたアドレナリンで、彼らの布団たちを干し、カバーやシーツを洗い、すべて押し入れにしまった。
用がなくなったベビーベッドも2階に片付けたり、たまっていた用事も済ませたり。
なぜだか換気扇まで磨いて、庭の草取りもして。
すっかり片付いて、やれやれ、と思ったのは2、3日だけだった。
一気に片付けて、どっと疲れて、ちょっと後悔した。
急にやり過ぎて、家の中がぽっかりと空虚に感じる。
自宅へ帰る日に、長女の夫くんからもらった10枚くらいの赤ちゃんの写真を、全部冷蔵庫に貼ってみた。
めちゃくちゃかわゆい。
今のところ、冷蔵庫は私と夫が毎日立ち止まって眺める、癒しのミニ写真展になっている。
シーンとした部屋で、ジーッと二女の横に座って、私は手持ち無沙汰な時間を持て余していた。
いよいよほんとうに、夫と二女との3人の生活が始まったことを実感する。
3月から4月、張り切りすぎてパンパンだった満の気持ちがシューっとしぼんで、空っぽの5月。
さみしいではなくて、気が抜けた感じ。
ホッと安堵して、でもずっと気がかりで、頭の切り替えに手間取っているような。
身軽なくせに、全然動けなくなった。
身体がではなく心が動かない。
ため息のかたまりで出来てしまった私のぽっかりを埋めようと、少し楽しいことに意識を向ける。
4月から全く観れなかった新ドラマをいくつか撮り溜めていたので、再生して観てみたけど、あまり集中できない。
noteも少しずつ読むけれど、いつものようにサクサク読めない。
本は、字を追うだけで頭に入ってこない。
時間があるのに、なんじゃこりゃ、だ。
書きたいことが頭の中にいっぱいあったけれど、結局、いまいちどれもまとまらず。未完成で投稿できず。
忙しくしていた時の隙間時間の方が、よっぽどスラスラ書けたりするから、おかしなもんだな。
とりあえず今の気持ちを書いて、まずは落ち着こうと思った。
困ったことに、ご飯を作ろうとするたびに、頭の中が混乱する。
二女はご飯を食べられないので、これからは夫と私の2人分を用意すればいい。でもこれまでたくさんの量を作ってきたので、2人分がわからないのだ。
ご飯をたくさん炊く癖が抜けないし、魚を2切れだけ買うのにも慣れないし、おかずも味噌汁も、大量に作り過ぎてしまう。
2人分のごはんから始まった私たちの結婚生活は、長い年月をかけて少しずつ量が増えてきた。一回に使う材料も、買い物する量も、染みついた感覚は増やす方向には応用が効くが、減らす方向は心のアラームが鳴るようだ。
急にまた2人分なんて、わからない。
しかし食べてくれる夫がいるので、なんとか作る気持ちは切れずにいる。
2人の食卓が、「〇〇は、どうしているのかなぁ」っていう子どもたちや孫の話ばっかりになっていることに、2人で呆れてしまった。
ついつい子どもたちに連絡してみたい気持ちになるが、グッと堪えていた。厳密に言うと、LINEするのを10回に1回くらいに我慢している。
考えない、考えない。
私は、また私のやりたいことに意識を向けるぞ!と繰り返し自分に言い聞かせた。
二女のお世話をすることは変わらないので、そこに気持ちのピンとした張りは常にある。それは、今の私にはありがたい。
そんなセンチメンタルな母の日、長女が孫を連れて遊びに来た。
息子も、急用ができて帰ってきた。
あらら!まぁ、めちゃくちゃ嬉しい!
張り切って食材を買い込んでご飯をたくさん作り、彼らが帰る時には、あれもこれもと、それぞれにたくさん持ち帰らせた。
彼らからの母の日のプレゼントは、先週、花やケーキをもらっていたけれど、「顔を見せてくれたこと」も、「何かを彼らにやってあげられること」も、親にとっては嬉しいプレゼントなんだなぁって思った。
おしまい、ではないんだな。
離れて暮らすけれど、おしまいではない。
子どものことを考えたっていいし、心配はする、いつも。
だって親なんだから。
でも、依存や執着は違う。
それぞれが頑張ろ!ってことなんだとようやく気づいた。
少しだけコンパクトな生活を、そしてもう少しだけ、夫も私も、各々が自分のために自由に動ける時間を作れたらいいかな、と思っている。
子どもたちから、「あはは、母さん、楽しくやっとるな」と安心しでもらえる母でありたい。
ということで、5月19日の文学フリマ東京、行っちゃお!と思っております。
こんな歳なのに、情けないことにこの20年余り、ひとりで遠くに出かけたことがなくて。
まさに、初夏の大冒険!
迷子、いや、迷婆になりませんように。
noteで出会えた大好きな方たちにお会いできること、そしてすてきな本に出会うことが、今から楽しみです。
さぁ、子どもたち、母はまた動き出すよー!