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夫婦のポンデリング

「ポンデリングを焼きたいんだ」

ある日、嫁様がつぶやいた。
ポンデリング?ミスドの人気商品のこと?

「知ってる?夫くん。ミスドのポンデリングを
フライパンで焼くとめっちゃ美味しいって!」

なにかしらの動画を見て触発されたのか
目をキラキラさせて嫁様がまくしたてる。
こうなってしまったら私の話は届かない。

「だからさ、行こうよ、ミスド!今から」

ウチの嫁様の行動力は高い。
特に自身の欲が絡んだとき彼女は止まらない。
止められない。

でも欲望に忠実な所は嫌いではない。
むしろ好きだ。愛している。結婚してくれ。

「ダメだよ夫くん、私はもう結婚してるんだ」

毎回このような小芝居に発展しつつも
適度に切り上げて私たちは買い物へ向かう。
今回の目的地はそう、ミスドだ。

・・・

そんなわけでミスドで8点ほど商品購入。
(ポンデリング以外買いすぎでは?)の
私の疑惑を嫁様が盛大にスルーした所で
ポンデリング焼き焼きタイムが到来する。

結論から言ってしまおう。
ポンデリングはフライパンで焼くと
途轍もなく美味しい商品に化ける。

念のために言っておくと私は元々
ポンデリング大好き男である。
ポンデリング黒糖味が最高に大好きだ。

その私が諸手を上げて一位に推すのが今回
疑惑に満ちたフライパン調理の成れの果て
“焼きポンデリング”だ。これは美味すぎる。
ポンデリング好きなら是非試してほしいッ。
個人的にポンデリング黒糖味を超えた逸品。

実を言うとウチの嫁様はポンデリング否定派。
フレンチクルーラーを好んで買っている人だ。
普段全く食べない彼女が手のひらクルクルと
「これめっちゃ美味しい」と意見を翻すほど
“焼きポンデリング”はとっても美味しかった。
もう食べてる途中にリピ買いを決意する位に。

・・・

「ポンデリングを揚げたいんだ」

焼きポンデリング革命からほどなくして
嫁様がまたもつぶやいた。
なんだなんだ、もう欲しくなったのか?

「違うよ夫くん。わたしは作りたいんだ。
ポンデリングをこの手で作りたいんだよ」

夏の熱気で脳が暖かくなったのだろうか。
よく分からないことを嫁様が言い出した。
ミスドの店員として働きたいのだろうか?

「違うよ夫君くん。店員になるんじゃなく
自宅で、わたしが、作ってみたいんだよ!」

はて、ポンデリングのレシピなんて
ミスドの公式で発表していたっけ?

「ポンデリングそのものは作れないよ。
でも、“っぽい”ものなら作れると思うんだ。
そう、YouTubeの参考動画があればね!」

宣言してからの嫁様の行動は早かった。
正月に使いきれなかった切り餅を使い
あれよあれよと油でカラリと焼き上げ
トップ画像の“ポンデリングもどき“を
爆誕させたのだ。

むう、初めてにしては上出来ではないか。
さすが嫁様、チャレンジ精神がエグイね!

「まあまあ、見た目はちょっと悪いけど
食べてみてよ。熱いから気を付けてねぇ」

ふむ、どことなくたこ焼きっぽいけど
色良し香り良し。どれどれぱくり。もぐもぐ。

「どう?いける?美味しい?」

あっ、これ、沖縄の…

「沖縄!?」

サーターアンダギーだっけ。あれだ。
うん。美味い。美味いよ。やるじゃん。
美味しいサーターアンダギーだよこれ!

「えっちょっ、これポンデリング…」

かくして夫婦のサーターアンダギーが爆誕した。
やっぱりこれからの時代は沖縄だよね。


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