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パートナーが話を聞いてくれる方法
私は結構怒りやすかった。
思えば学生時代が怒りやすさのピークで
少しでもカチンときたら噛みつくという
狂犬みたいな男だった。
しかしケンカはそこまで強くもないので
男相手に返り討ちに合うこともしばしば。
カチンとくる相手が女性だったのなら
人として手を上げるわけにはいかない。
口の上手さでは全く歯が立たないので
ぐぬぬと耐え忍ぶしかなかった。
なんやかんやと敵を作っては噛みついて
敗北してハンカチを噛みストレスMAX。
あの頃の私は常にイライラしていたのだ。
あまり褒められた生き方ではなかったが
あのとき、あの時代に
イライラストレス生活を送って良かった。
なぜならイライラ生活を続けた果てに
何も良いことがない
ということが分かったからだ。
おかげで穏やかである人の素晴らしさが
少しだけだが分かったような気がする。
その経験が今、確実に役に立っている。
・・・
さて、結婚生活は基本的に楽しいのだけど
時折パートナーにイラッとすることはある。
では、何に一番イラッとするのだろうか?
私の場合、それは話を聞いてくれない時。
私の話を適当に流されてしまったり
私の話の途中で別の話をねじこまれた時だ。
あまつさえ「それって〇〇すればいいよ」
などと、全く求めてもいないアドバイスを
したり顔でされた日には目から火花が散る。
話を聞いてくれるだけでいいというのに…
ここまで書いて、ふと
(だから男はキャバクラに通うのだな)と
妙に納得した気持ちが湧き出てきた。
キレイに着飾った妙齢の女性達が
こちらの話をニコニコと絶妙の合いの手で
興味を剥き出しにしてうんうん聞いてくれる。
もちろん、うるさいことなど何一つ言わない。
なるほど、金を払いたくなるのもうなづける。
同様の理由で、女性がホストにハマるのも
納得してしまった。皆癒やされたいのだろう。
・・・
さて、パートナーが話を聞いてくれない。
これは私に限らず多くの夫婦の悩みの一つ。
この問題を放置してしまうと
やがて心が離れて「そういうお店」に通ったり
マッチングアプリで新しい出会いを求めたりと
夫婦関係が希薄になっていくのは明らか。
なのでこれは夫婦で解決すべき最優先事項と
私は捉えている。
でも実際問題、どうやって解決すればいいのか。
「私の話聞いてよ!」と言ったくらいで
相手が全力で傾聴姿勢になるのであれば
こんな話は全く取るに足らないものだが
実際は
「あー聞いてる聞いてる」とダルそうに
返事をしてくれるくらいが関の山。
(私はこんなに訴えているのにあの人は
なんにもしない!私は悪くないのにぃ!)
と憤慨したくなるってもんだ。
でも落ち着いてほしい。
憤慨して強い怒りを相手にぶつければなるほど
相手は面食らって反省するかもしれない。でも
時間が経てば即元通り、になってないだろうか。
しかも「怒りを相手にぶつける」という行為は
実行すれば実行するほど効果が薄まってしまう。
(はいはい、まーた怒ってる。メンドイな)と。
うまい手とはお世辞にも言えない。
ここでのポイントは
ただ「聞いて」と伝えただけでは
相手は一ミリも変わらないということ。
だって、相手は別に聞きたくないんだから。
・・・
というわけでウチでは結婚初期の段階で
申告制度を導入した。
申告制度とは何か?というと
「私がこれから話をするので、静かに
口を挟まないで聞いてくれると嬉しいな」と
話し始める前に相手に申告する方法である。
これがドンピシャ、上手くいった。
聞いてほしい話をしっかり聞いてくれる。
こんなに嬉しいことはない!
嬉しくなったら相手に感謝の気持ちが湧く。
感謝の気持ちが湧いたら優しくしたくなる。
自分が好きで優しくしているだけなのに
相手からも優しくしてくれるようになる。
好意の好循環が始まったのだ。
この申告制度、ひとつ注意点がある。
申告したからと言って、いきなりダラダラと
終わりの見えない話を長時間するのはNG。
はじめは2~3分で切り上げるのがコツ。
そして「聞いてくれてありがとう」と
相手への感謝までがワンセットだ。
いくら結婚して夫婦になったからとはいえ
聞きたくない話は聞きたくない。
「いいから聞いてよ!」と我を通す前に
相手に敬意を払うのが筋ではないだろうか。
不思議なことに
自分に敬意を払ってくれてる人の話は
「聞きたい」って思ってしまう。
少なくとも私はそう。
だから嫁様の話がすっごく面白い。
会話が楽しい。何時間でもいける。