小説『闇に堕ちにて、空に溶けゆく』5/16(木)【第3話 三日月に魅せられて】
晴香の自宅が、自分と同じ方向だと
いうことは知っていた。
店を出て自宅方向へ2人で並んで歩き始めた。
ふと、空を見上げると、上弦の三日月だった。
ただの好みの問題なのだが、
私は満月よりも、三日月のほうが好きだ。
何故?と聞かれても明確な答えは
ないのだが、月に抱く神秘的なイメージが、
なんとなく満月よりも三日月に近い気がする、
ただ、それだけだ。
そんなことを考えながら空を見上げていると、
晴香が聞いてきた。
晴香「辻本先生は、月がお好きなんですか?
なんとなくです