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CSEdCon2022レポート〜初めてのアメリカ出張で世界のコンピュータサイエンス教育の情報を浴びる〜
こんにちは、みんなのコード・パートナー部(ファンドレイジング担当)の洞まなみです。
今年9月、みんなのコードが創業するきっかけとなったアメリカのNPO「Code.org」が主催するCSEdConというカンファレンス(9月20日〜22日)inフロリダに参加してきました。
Code.orgは2013年に設立された「すべての学校のすべての生徒が、幼稚園から高校までの一貫教育の一環としてコンピュータサイエンスを学ぶ機会を持つ」というビジョンを掲げる非営利NPO団体です。
私にとって、人生初の海外出張でとても刺激的な3日間でした。アメリカで学んできた世界のコンピュータサイエンス教育についてシェアさせてください。
カンファレンスについての報告
今回のカンファレンスは、新型コロナウイルスの世界的パンデミックの影響で、約3年ぶりの開催となりました。アメリカ50州の教育関係者・Tech企業・全世界でCode.orgのパートナーとなっている団体等、総勢300名が参加しました。
誰も知り合いがいない中での参加だったので、不安があったのですが、初日の朝食会で出会った韓国とタイの方々と意気投合したことで、3日間のカンファレンス期間中、充実して過ごすことが出来ました。
本カンファレンスの詳細(各セッションの動画、写真、スライド)はこちらです。
1日目 internationalパートナー対象のワークショップ
初日は、約30カ国50人のNPOや大学関係者、政府の第三機関等、様々なセクターの方が参加していました。
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この日は、数カ国のパートナー団体が、その国の状況や団体の成果を発表しました。 他国の話で印象的だったことをご紹介します。
インドネシア:「子供たちのために、みんなでASIA CODE WEEKをしよう!」と熱いメッセージがありました。彼の発信がきっかけとなり彼のおかげで、アジアの他の国も巻き込みながら、これから面白いことができる予感がしています。
ドイツ:ちょうどカンファレンスが始まる前日に、中学校で2025年にコンピュータサイエンス教育の必修化が発表されたそうで、参加者全員からおめでとう!の声が🎉
イギリス:micro:bit財団の登場に会場が湧き、micro:bitは全世界で愛されているプロダクトだとんだなあと実感しました。
韓国:コンピュータサイエンスが小中で既に教科化されています。さらに、2025年から授業時間が増え、小学生では17時間から34時間に、中学生では34時間から68時間に倍増します。本内容は、日本語でも報道されていますね。(参考記事はこちら)また、STEM教育専門の第三機関があり、そこが主導して教員研修等を行っているそうです。
そして、私も日本の現状についてプレゼンする機会をいただきました。
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プレゼンを終えて、日本におけるコンピュータサイエンス教育の現状を、多くの方が評価してくれました。
特に、高校1年生が年間35時間かけて学ぶ「情報I」の教科については、海外のNPO団体だけでなく、Code.orgのアカデミー分野の責任者も興味を持ってくれました。
嬉しいことに、みんなのコードが提供する無償教材プログルについて、インドのエンジニアも興味津々で、「英語版はないの!?」とオファーされました(多言語対応したい!)
このような貴重な機会を設けてくれたCode.orgに感謝です。
わたしのプレゼンも公開しているので、ぜひご覧ください。
2日目 アメリカ各州のコンピュータサイエンス教育会議&レセプションパーティー
2日目は、アメリカのコンピュータサイエンス教育に特化した発表が多くありました。
アメリカは連邦共和制なので、州ごとに政策や教育制度が異なります。 そのため、日本のように「2020年度から全国の小学校でプログラミング教育を必修化しましょう」と国で議論されるのではなく、必修の学校もあれば、選択科目の学校もあり、取り入れ方は様々です。 またこれは日本も同様ですが、コロナのパンデミックや教員不足が影響し、思い通りに実施できていない現状もあるようです。
そんな中でも積極的に取り組んでいる州の代表者が登壇するState Education Chiefs for CSが印象的でした。State Education Chiefs for CSに登壇した教育長11人中8人が女性であり、ジェンダーインクルーシブな感じも最高でした。
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内容に興味のある方は、Code.orgのYouTubeからセッションをご覧ください。 CSEdCon 2022: State Education Chiefs Panel
そして、セッション後にはレセプションパーティーがありました。この日誕生日だった私を、International パートナーの仲間たちが祝ってくれ、最高の思い出になりました…!
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3日目 パートナープレゼン&表彰式
最終日は、Google、Microsoft、Amazonなど、コンピュータサイエンス教育の発展に賛同するTech企業から、これまでの注力支援分野、その効果についてのプレゼンがありました。
また、各国のコンピュータサイエンス教育の取り組みへの表彰式もありました。中でも、ウクライナの文科省が表彰されていたシーンがとても印象的でした。こちらのスピーチもYouTubeからご覧ください。
CSEdCon 2022: Pushing and Recognizing Progress in CS
私に起こった変化
今回のアメリカでのカンファレンス参加は、私にとって人生初の海外出張で、とても刺激的な3日間でした。参加したことで、私自身に大きな変化がありました。
私は、2020年5月に、みんなのコードに入社しました。(その時の話はこちら)
私が所属するパートナー部は、「社内外の繋がりをつくり、みんなのコードの活動資金を生み出し続けること」をミッションとして活動しています。しかし、コロナ真っ只中の2年間、NPOの強みであるコレクティブインパクトを、思うように生み出せないまま過ごしていました。
そんな中、今回の海外出張チャレンジを通して、同じ目標を持って進む世界の仲間たちと出会うことができ、視座が上がりました。
帰国後、以前から代表利根川やCOOの杉之原、同僚の釜野に薦められていた、「これからの「社会の変え方」を、探しに行こう。」という本を、改めてきちんと読みました。
すると、インパクトの高いNPOとは、自団体の資金や社員を増やすのではなく、市場の力を利用して、エバンジェリストを生み出し、NPOネットワークを育てることによって、その影響範囲を広げていけるNPOのことを言うんだそうです。まさにコレクティブインパクトの大事さが書かれていました。
アメリカ滞在中、アジア諸国のNPOの方々から、「みんなのコードはどうして、多くの外資系企業のパートナーと繋がっているの?」と聞かれ、担当者を紹介した場面もありました。
そういった経験から、「たくさんの企業や先生がサポートしてくれているみんなのコードは、世界と比べても、つながりを多く持っているのではないか。私たちだけでなく、その環を世界にも広げて、みんなでインパクトの高いNPOになっていきたい!」という気持ちが湧いてきました。
そこで、このアメリカへの出張をきっかけに、私たちは、新たに海外のNPOとの取り組みを始めてみようと思います!
具体的に、これから海外のNPOと取り組みたいことはこちらです。
定期的な情報交換ミーティング
ASIA CODE WEEKの開催
ファンドレイザー同士での、本や論文の輪読会
日本のコンピュータサイエンス教育に関する資料を翻訳して、海外に発信
合同でスポンサーを集める
たくさんの夢を語りましたが、私の英語力はまだまだです。そこで、ボランティアやプロボノで関わってくださる方々とチームを組んで取り組んでいけたらと考えています。興味のある方は、ぜひご連絡ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
みんなのコードは「子どもたちがデジタルの価値創造者となることで、次の世界を創っていく」をビジョンに掲げ、2015年の団体設立以来、小中高でのプログラミング教育等を中心に、情報教育の発展に向け活動し、多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでまいりました。
もし、私たちの活動に共感いただき、何かの形で応援したい、と思ってくださった方は、みんなのコードへの寄付をご検討ください。
引き続き、21世紀の価値創造の源泉である「情報技術」に関する教育を充実に向けて、これからも取り組んでいきます。